グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第43話 運動は豚の塔にて 後編★

  畳が敷かれ、和風の掛け軸が掛けられている。 真ん中には、白い寝着の美少女が佇む。 少女の口は布で、塞がれている。
 「フフフ、今日は君だ」
 緋色髪に倒錯した格好の少年は、少女の細い顎を撫でる。
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 「ンーンンー」
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 「どうか、可愛がって下さい?」
 少女は、首を横に振る。 そんな、少女を見ながら少年は笑みを浮かべ両手で少女の頭を掴む。
 「君も最初は、嫌がるだろう。だが、君も彼女達の様に受け入れる」
 頭を壁の方に向ける。 壁には、両手を吊るされ虚ろな瞳で全裸の少女達が10名程、掛けられている。 何れも、上から下まで白濁した液体で塗れている。 名前と写真が貼られ、展示品の様にされてる。
 「便女って最高だろ?君もそうなる、フフフ」
 男は持っていた箱から、注射器を出す。
 「ムームー」
 「君も楽しい世界へ」
 男は、嬉しそうに言う。 今まで、数多の少女達を毒牙に掛けてきた。 この少女も遊んで、言う事を聞かせれば……。
 っという所で、男の思考は止まる。 バスっと音がし、障子が破られ扇子が床に刺さる。
 「何者!」
 ガラリと障子が開けられ、少女が現れる。 長い銀髪に朱い瞳の美少女。
 「お主の悪徳も今日で終わりだ!」
 「何奴!」
 「痴れ者!余の顔を忘れたか?」
 「何だと……お前は、首都首席の白虎乙姫びゃっこおとひめ
 「女子への暴行、許しがたし!日本人なら潔く腹を切れ」
 乙姫は、一歩前に出ると男は後ろに下がる。
 「僕のパパが誰かか知っているのか?」
 「阿倍野来都あべのらいと、現首相で阿倍野見玖須あべのみくすの孫」
 「知っているなら、黙って帰れ!それとも、可愛がって欲しいのかな?」
 ペキと乙姫の端正な顔に、怒りのマークが浮かぶ。
 「成敗してくれるわ!」
 「出会え、出会え、曲者だ!」
 来都ライトは声を上げる。 だが、誰も出てこない。
 何時もなら、詰めていた護衛の者が来ると思っていた。
 「(一体?どうした……)」
 そんな彼の考えを代弁する人物が現れる。
 『護衛の人達なら、ビルから紐なしバンジーしたよ』
 黒髪に瞳、黒に金色の筋の制服。 誰もが知っている、グンマー首席の至誠賢治しせいけんじである。
 「お前は、グンマー首席」
 『ウン、そうだよ』
 「こんな事をして、許されるでも!」
 『思っているよー』
 賢治の姿は消え、来都ライトの前に現れ左手で、頭を掴む。 ベキっと音と共に、右腕が床に落ちる。 不思議な事に、血は流れていない。
 「ぎゃああやあああ」
 『まだ、右腕をちぎっただけだよ。血は流れない』
 左腕、右脚、左脚をちぎる。
 「もう、やべて」
 『下半身満足な人は、五体を不満足にしないとね!』
 「な……なにを?」
 『学校教師から、議員になりかけた男の話しだよー』
 賢治は、そう言いながら左手を離す。 来都ライトは、床に落ち転がる。
 『最低な人間は、去勢しないとね』
 「なっつ!!」
 脚を振り上げ、来都ライトのマグナムを潰す。 プチっと音がし、9cmのマグナムは潰れる。
 「ぎゃあああああyhjkjkjkjk」
 ブクブクと口から泡を出し、白目を向く。 そんな、彼を乙姫は覗き込む。
 「死んでいないが、男としても社会的にも死んだな」
 『まぁ、一般人を殺したら問題になりますし』
 「そうだな」
 『あとは、この子達をどうする?』
 賢治は、虚ろな瞳の少女達に近づく。 頬に触っても、全く反応が無い。
 「此処にいるという事は、精神メンタルが壊れたのだろう」
 『データでは、彼女達は身寄が無い』
 「生涯ずっと、このままで、精神病院の中にいるのかも知れない」
 『もしかしたら、我が浪漫ロマン部が何と出来るかもしれない』
 「そうか……後で、其方に任せる様にしよう」
 乙姫は、大剣を出し振る。 壁に吊り下げられていた、少女達は床にスルスルと落ちる。 賢治が、そこらに有った毛布を少女達に掛ける。  ドン、ダダダット音がし、バトルスーツ姿の人物達が銃を持ち現れた。
 『ようやく、警視庁の特殊部隊さんの登場……遅いですね』
 「首都圏首席に、グンマー首席、一緒に来て貰えますかね」
 『断ると言ったら?』
 「無理矢理にでも」
 銃を向ける。
 『出来るかな』
 一瞬にして、賢治は隊員の前に立ちデコピンをする。 ペチっと肉が潰れる音がし、壁に赤いアートが出来る。
 『一発なら、●●●●誤射かもしれない●●●●
 他の隊員は、賢治に銃を撃つが其処に姿は無い。
 『ホイ、ホイ』
 あっという間に2人が、デコピンで吹き飛び血肉に変わる。
 『乙姫さん、車持ってくるね!後輩ちゃんを何とかしておいてね』
 「分かった」
 乙姫は、後輩の塞がれた口の布を取る。
 「乙姫首席!わたし、わたし」
 「頑張ったね、もう大丈夫」
 抱きつき、安心させる。
 一方の賢治は、撤退する隊員を追いかけている。 隊員達は、慌てながらエレベータに乗り、下に降りようとする。 扉が締まり、安心したがギギギっと音がし扉が開く。
 『さて、兵士諸君、任務ご苦労』
 笑顔の賢治が現れ、隊員が落とした閃光弾を投げ入れる。 ピカッと光り隊員達は、目を抑える。
 『行き先は、一階インフェルノ。一発に耐えれば死なないよ』
 無邪気に宣言をしながら、1階のボタンを押し扉が締まる。   1階に付くとエレベータが開き、床に赤いカーペットが広がる。
 「動くな!」
 隊員達が、銃を構える。
 『お断りします』
 ピンと隊員達をデコピンしていく。 兵士達は、ガラスの壁を突き破り、放物線を描き宙を舞い刺さる。 刺さった先は、多数のポール。 その様は、モズの早贄はやにえ
 賢治は、玄関から出ると同じ様に、隊員達をデコピンで倒す。 装甲車に乗っていた隊長格もデコピンで吹飛ばし、運転席に座る。
 『さて、迎えに行きますか……』
 賢治は、刀を鞘ごとサイドブレーキの様に突き刺す。 装甲車は、宙を浮き51階へ飛んで行く。
 バリバリと音を立て、ガラスが割れ装甲車が入る。
 『持ってきたよー』
 「分かった、彼女達も連れて行くよ」
 『分かった、手伝う』
 十数人の少女達を装甲車の後ろに運び込む。
 『さて、何処に行く?』
 「此の子は、我が首都校に!最後は警視庁に!」
 『分かったー出前頼んどくよー』
 アクセルを踏むと装甲車は、首都校に向けて走り始めた。

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