グンマー2100~群像の精器(マギウス)
第30話 愚者は深みに嵌る
衆愚政治の高級玩具箱、首相官邸。 通信会線が開かれ、統合幕僚長から報告を受けた。 第100代首相の阿倍野見玖須は震えた手で、通信を切る。
「機体に問題発生で飛ばせないだと……チクチョウーメ」
プルプルと報告を受け、メガネを外す。
「アイツ等は予算、予算ばかりで、機密費まで使って、金喰い虫だ!」
地図の上に、タッチペンを投げ捨てる。
「いっそ、キャバクラ行って、オッパイプルンプルンしたいわ!」
左手を握り締め、顔を歪めながら言う。 首相は、気を取り直し、報告書を眺める。
~~作戦失敗ノ報告書~~
NEO埼玉空軍基地から、出撃予定だった戦闘機は前部車輪がパンク。 駆け付けた消防車も横転、空自の使用する滑走路を塞がれた。
調査の結果、砂糖が発見された。
マギウス残渣から、砂糖を使う適合者の仕業と考えられる。
米軍滑走路から、予備の機体の出撃を計画するが米軍は拒否。 空自の機体安全が保障されるまで、使用を認めない旨の報告を受ける。 現在、空自は機体の再点検を行い、出撃を見合わせている。
~~終了~~
NEO埼玉の滑走路は、多数あるが殆んどが在日米軍の滑走路。 日本側に与えられているのは、2本の滑走路。 2つとも、現在は使用不能の状況。
阿倍野見玖須は考える。
在日米軍に頼み込むか? 答えはノー。 また、脚元見られ難儀な条件を付けられる。
首都圏連合に依頼するか? 答えはノー。 首都圏連合と霞ヶ関は、仲が良くない。 何より、グンマーによる能登半島攻略を歓迎している。 拒否されるに、決まっている。
南関東連合に依頼するか? 答えはノー。 監督・監査官が決まっていない。 栃木に至っては、既に戦争中。 依頼処ろでは無い。
関西勢に依頼をするか? 答えはノー。 関西勢と東日本勢は仲が悪い。
だが、何とかして、グンマーの躍進を止める。 そうしなけば、中央の権威はガタ落ちで有る。
何とかして、関東勢力でグンマーの進撃を止める。 駒が無い……。
ふと、目に入るは、グンマー校の戦力報告書。 今回のグンマー校は、作戦に多くの隊員を西に送っている。 と書いてある。
~~グンマー校戦力分析~~
親衛隊の内で、攻撃に特化した3000名。 攻撃特化部隊を西に貼り付けている。
親衛隊は1万名いるが、3000名以外は対した戦力が無いと推測される。 首都圏校との演習でも、3000名の生徒以外は、出して来ていない。
~~報告終了~~
「自衛隊も使わず、南関東連合を使わず、あるじゃないか」
阿倍野見玖須は、もう一つの組織を思いつく。
戦死にも戦費にも記録されない、理想的な組織。 民間軍事会社、通称:PMC。 東日本に有るのは、日光安全保障局、通称:NSA。 退役した自衛隊員及び、仕事に溢れた人間を抱えている。
「治安の健全化も兼ねて、彼等に依頼しますか?」
呟くと回線を開く。 会談の後に、満足そうな顔をし回線を切る。
彼の依頼は、後にグンマー・栃木最大の戦い。 【わたらせ渓谷】の戦いを産む。
この時、彼と情報部は間違いをした。
1.3000名以外は、対した戦力が無いと仮定した事。 2.グンマー側が西側のみに、全力に力を配分したと仮定した事。 3.戦力を親衛隊のみと仮定した事。 4.グンマーには、親衛隊より強力、無慈悲な組織が有る事。 組織名は、群馬警備統合部、通称GPU。 親衛隊と陽とするならば、姿を見せない陰の恐るべき組織。
組織名は、群馬警備統合部、通称GPU VS 日光安全保障局、通称:NSA。
GPUの実力は? NSAの実力は?
いずれ、戦いで明らかにされる。
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