グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第19話 会議は、踊るグンマーは進む


 グンマー勢、浅間山からビーストへ大攻勢を掛ける。 一報を受け、国連軍司令官ジョンは緊急安全保障会議を召集。
 スクリーンに映るは、国連の総長。 アメリカ、ロシア、大漢民国、イギリス、フランス、日本の首脳達。
 「本日、グンマーが能登半島へ大攻勢を掛けました」
 各国へ爆炎が上がる長野市と上田市の映像を表示させる。
 「我が米国は、フィリピン等世界中で、ビーストと戦っている」
 「ロシアは、グンマーのビーストの攻勢を歓迎する」
 「街を吹飛ばした事は問題無いアル。我が国も毎日、ヤっているアル」
 「イギリスは、ビーストとバトルオブブリテンで忙しい」
 「我がフランスもビーストとライン戦線で戦っている。苦戦しているが勝利する」
 「日本政府は、この件は知らされて居りません。遺憾の意を表明します」
 6ヶ国の首脳は、全員言いたい放題を言っている。 ジョン司令は、更に別な映像を見せる。
 浅間山から一筋の光線が発射され、松本地域が吹き飛ぶ様子。
 「此れは、10年前のグンマ戦争時に使用された日本の艦首主砲と同じです」
 「何ですと、精神波動メンタルウェーブ砲の事ですか?」
 日本の首相は、目が飛び出んばかりにひん剥く。
 「ええ、国連所属メンタルギア超弩弓戦艦一番艦、GMGBS001」
 「第2代大和ですか!アレは、グンマ戦争末期に古河上空で轟沈した!」
 「恐らくは、不思議な力ハッキングで、情報を得たのでしょう」
 「ジョン司令、彼等のその砲に付いての情報は?」
 「口径は100サンチ、直径は100m。性能は前の艦と変わら無い様です」
 「小型化した上に、威力まで同じだと……東京が危ない」
 日本の首相は、そんな事を呟いている。
 「現在は、1台だけ確認されています」
 「ジョン司令、直ちに破壊して下さい!東京の脅威です」
 ジョンは、日本首相の言葉を聞き溜息を吐く。
 ビーストと戦っているのに、東京の為に破壊しろ……。 何を考えているんだ、この馬鹿は!っと思わずにいられなかった。 そんな、彼に救いの手が差し伸べられる。
 「我が米国は、グンマーの件に意見しない。静観する」
 「大統領閣下!此れは我が国の安全保障なのですよ!」
 珍しく、日本の首相が食いつく。 米国大統領は、ニヤリ笑い口を開く。
 「グンマー首席とは、個人的に仲が良くてね。有る物を貰ったよ」
 「!?」
 「精神波動メンタルウェーブ砲の設計図、誕生日プレゼントらしい」
 ピラピラと紙を見せる。 其処には、誕生日オメデトウと書かれていた。
 「米国と米国の友好国が、ビーストと戦う為に使って欲しいそうだ」
 「!?」
 「早速、検証と生産に入った。ビーストの戦いに有益に成るだろう」
 「まさか!?」
 「我が米軍は、フィリピンのビーストの戦いで忙しい。内政不干渉だ」
 「「「「我らも、日本の一地域のグンマーに付き合う暇は無い」」」」
 「首相閣下より、グンマー首席の方が外交的努力をしています」
 したり顔の米国大統領と各国首脳達。 プルプルと顔を赤くするのは、日本国首相。
 各都市の首席は、国家の元に有るが、国家と同等の権限を持つ。 強大な権限を持っている。 中世の騎士と王の様な関係と言って良い。
 互いに自分の統治する都市を有利に動かす為、他国とも手を結ぶ。 今回は、精神波動メンタルウェーブ砲の設計図を米国に渡した。
 重要なのは、米国が技術を持った事を各国が知ること。 米国が作れば、各国は動き出す。 それは、米国も分かっている。
 だが、敢えて話した。 世界の国家とスパイが、動き始める。 金と人、情報が動き始める。
 グンマーは、一地域へ常任理事国の目が付く事を嫌っている。 米国は、各国を軍拡にシフトさせたい。 両者の利益が一致した。
 軍拡は各国の財政を圧迫させる物とは、分かっている。 だが、ビーストを本気で叩かなれば世界は滅びる。
 この点が、米国大統領とグンマ首席の一致した見解。 色々と条件を付け、友好的な関係を持つに至る。
 「っという訳で、ジョン司令は自衛隊を使う様に」
 「閣下!」
 「イイね、我が軍はビーストと戦う。グンマーとは戦わない」
 「ッツ」
 「後は、日本国首相と相談してくれ、では」
 「「「では」」」
 残されたのは、怒りで震えるのは、日本国首相と途方に暮れるジョン司令。 会議は、踊るされどグンマーは進む。 
 政府じょうしが、無能だと地方ぶかが成長する。 何時の時代も変わらない。

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