グンマー2100~群像の精器(マギウス)

奈楼小雪

第5話 朝風呂と朝会


 グンマー校、生徒会室。 群馬県の最高の権力と知能、武力が集まる所。 群馬最高司令部(Gunma・Head・Quarters)。 通称、GHQ。
 VIP達を迎える為に作られた気品が有る応接室。 その他、有事の際の司令部。 様々な施設が揃っている。
 何より、温泉が付いており何時でも入れる。
 男女は分かれているが、今回は……。
 「朝のブリーフィングを始めます」
 りん書記が、バスタオルを巻きデータを展開している。 湯船の中には、朱音あかね彩華さやか。 その間には、賢治が両手を固められている。
 「2人ともこれは、公序良俗に反すると思うだけど」
 「彩華さん?グンマー県では、男女が混浴以外で入浴は許可されていない」
 「朱音さんが正しい。ただ、生徒会用風呂は女子のみ、男子風呂へ入浴を許可されている」
 「凛書記!どうなの?」
 賢治が、凛に確認する。
 「何とこの規則、私が作ったのです」
 豊満な胸を逸していう。
 「ケンちゃん、小さい時から」
 「けんじくーん、一緒に入ってたでしょ」
 朱音と彩華が声を揃えて言う
 「まぁ、良いけど。2人ともどうして、くっ付くの?」
 「相変わらず」
 「変わらないですね」
 「!?」
 賢治が首を傾げる。 こんな、美女に囲まれているのに興味すら無い様だ。
 「えと、凛さん。続けて」
 「は、はい」
 凛は生徒会の予定に、首席の参加する行事。 南関東連合と栃木・ビーストとの防衛線及び、戦闘人員の入換等。 此等に付いて、詳細に報告する。
 報告の内容は大体こんな感じ。
 ~纏め~
 明日、朱音あかね副首席は浪漫ろまん部の新型兵器視察。 首席は、国連軍との模擬戦と会議でNeo埼玉に出張。
 県外のビーストへの戦闘は、高等生に行わせる。 県内は、実践経験を学ばせる為に一部の小・中等部生を投入。 県境に派遣された生徒の帰還を増やし、生徒の心理的負担を減らす。
 栃木・南関東側は、首席親衛隊と群馬警備グンマー・ポリス統合部・ユニオン、通称GPUゲーペーウーが担当。 栃木・南関東側からの間者や襲撃に備える。
 国連軍及び、在日米軍との関係は、これまで通りに継続。 うろつく物はすべて調査し、撃墜。 ただし執念深くなく、いくらか友好的な方法でという指示を出している。
 此れは、第2次世界大戦時の米海軍ハルゼー提督が下した指示を採用している。  国連軍は文句を言っているが、米国は文句を言えない。 何故なら、自国の海軍元帥が言った言葉の為に非難出来無い。
 ~纏め終了~
 一通りの内容を確認し、賢治は凛に質問する。
 「凛書記、内地の食料価格が、下落している様ですね」
 「ハイ、食料流入量が増加しています」
 「太平洋を通る国外輸送品依頼を都合を付け拒否する様に」
 「食料の輸入が滞りますが?」
 「君は既に、手を打ったのだろう?」
 「ハイ、GPUゲーペーウーに命じ、一部の空域を開けさせてます」
 「何機落ちた?」
 「一ヶ月で300機程が、米国から来る途中でビーストにより襲撃されてます」 
 「県内の食料生産率に問題は?」
 「問題は有りません、自給率は150%です」
 賢治の読み取ったデータからは、食料の異様な値下がりが見れる。 日本の各地へ米国及び国連からの異常な食料援助。
 グンマーは全国津々浦々に食料を供給し、利益を得ている。 その他にも、外装武器ペルソナの生産し出荷している。
 米国及び国連は、食料援助の名目で、日本国内の食料自給率を下げる戦略。 各地を安い海外製食料で埋め尽くし、グンマー産食料を売れなくさせる。 そして、グンマーに経済的なダメージを与えるのが目的だった。
 既に、過去形……。
 彼等は、致命的な分析ミスをしていた。 オホーツク海及び、太平洋のビーストの駆除。 誰が実行しているのかを読み違えた。
 本来の担当は、海に面している南関東メンタルギア校。 南関東勢も自分達が、駆逐していると報告を内地と国連に上げている。 実際は、グンマー校が魚を獲りに来る次いでに多数駆除しているのだ。 それを停止したという事は、ビーストが増える。
 「凛書記、相手さんには良い勉強でしたね」
 「ハイ、先日のビーストの大攻勢で、九十九里一帯が一時占領されました」
 映像が展開され、ビーストに占領されたハワイ島からの矢印が示される。 九十九里の全域も占領され赤く表示される。
 「結果は?どうだった?」
 「自衛隊、在日米軍、南関東勢、多数の死傷者を出しつつ撃退しました」
 「空路も駄目だろう?」
 「ハイ、毎日、NEO埼玉から戦闘機が発進していますが、劣勢です」
 太平洋に偵察に向かったグンマー航空部隊が録画した映像に変わる。 イカ達の触手、アンコウから発射されるレザー光。 輸送機がレーザーで貫かれ、戦闘機たちが触手に絡まれ落ちていく。 そんな光景が、映っている。
 「まぁいいや、我々の目的は……だ」
 「ハイ、分かっております」
 「後、明日の浪漫ろまん部、兵器を展開する場所を変更」
 「何処にします?」
 「場所は……。さて、皆、授業へ行こう」
 賢治が、腰にタオルを巻いた状態で立ち上がる。
 「ケン様ー、まだ授業まで1時間有ります」
 凛がタオルを取り、賢治に飛びつく。 賢治は、再び湯船の中へ押し戻される。
 「まだ、報告は終わっていません。続きは、湯船の中でーー」
 凛は抱きつき、賢治の顔を見つめる。
 「「凛さん!!」」
 押しのけられた2人が、抗議の声を上げる。 駆け寄る前にピリッと湯面が光り、2人がヨロケル。
 「フフ、2人の前でケン様と2人きりへにゃ」
 凛もヨロケル。 腹部に2人の咄嗟の一撃が、喰い込む。 やがて、3人は湯船の中で倒れ白目を向く。
 賢治は、ザバット音を立て湯から上がる。
 「全く、3人とも仕方が無いなー。時間が無いから運ぶね」
 と呟き、3人を風呂から連れ出す。

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