10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?

慈桜

102


部屋の扉を蹴破り、目の前の警戒する魔法剣士をとりあえず殴る。
「シェルルどこ?」
「な、なかにわの方へいきました」
と、方角を指で指し示す。ご苦労様っ!
グチャ。
さーてさてさて、シェルルちゃん。もう、金とかどうでもいいから犯って姦ってやりまくってやろう。なぁんて、言ってみたりして。
とりあえず助けれるなら助けてやろう。この天空の大国シエルクラティアが空高くに存在するからと言って絶対安全とは言えないしな。
言いたい事は正直ありすぎるし、おっぱい揉みしだきたいのも素直な意見ではあるが、そんな事は今回の事が全て片付いてからだ。
「おい!!今の揺れは何処からだ?」
「ツグナさんの部屋の方だ!急げ!!」
城の衛兵きどり追跡者達だろうな。必死で走り回ってツグナの部屋の方に向かっていく。
ただ、俺すげー不審者なんだろなぁ。すげー見られてるけど、スルーしてくれるみたいだわ。ラッキー。
でも響き渡る金属音は鳴り止む。
「そこの少年…どうやってここにらいった?」
絶対零度アブソリュートゼロ
「氷のお城の出来上がりーってか」
一々相手にしてられないだろ、ああいう手合いは、こっちは忙しいんだからな。
適当に歩いているとどうやらやっと出口のようだ。これでシェルルまで凍ってましたとか言ったら、それはそれで面白いかもな。俺必死でなんとかするんだろうな。
まぁ、目の前に歩いてる姿が見えてるからこそ、そんな事言うんだけどね。
「またあなたですか…またあらそいですか?」
なんか、このシェルル全然知らんやつみたいだ。久々だってのに、目が死んでる。ほんでやっぱりあの饒舌の竜人族は小判鮫してんだな。
「リブラ様!シェルル姫はご傷心です、今は休息が必要です!!機を改めてはくれませぬか!!」
ここまで来ると清々しい程のストーカーにも思えるな。
「駄目だ!こっちは契約してたはずだろ?それがいきなり国ごと夜逃げってなると話しは変わってくるぞ?」
鱗で覆われたイケメンが歯ぎしりをしながら大剣の柄を握る。
「どうしても聞き入れて貰えぬのなれば…」
「叩き切りますよってかい。嫌だねぇ、暴力はんたーい」
「ぐっ!呪われた鎧を渡し、争いの果てに姫の大切な騎士を死へ追いやった貴様が言う言葉か!!」
なんの話ししてんだこいつ?呪いの鎧?四王黄金鎧の事か?あぁ、あれ意思持ちだったって事か。けどそれは八つ当たりだろ。
「お前達の言葉で言えば装備Lvが達して無かったって事だろ?弱さを棚に上げて悲劇を招いて駄々捏ねてるようにしか思えないけどな?」
ちょっとキツい言い方だったか。でも、思った事は言ってしまう事が多いからな。別に後悔はしていない。でも、シェルルの地雷はきっちり踏み抜いたようだ。冷たい冷たい軽蔑するような視線で此方を睨みつける。
「黙りなさい!!カムクラは…カムクラは乗っ取られて死んで良いような騎士ではなかったわ!!もう嫌なの!!争いの無い世界に来たのに、それなのに…あなたがいる所にはいつも争乱がついてまわる!!何故平和な天空の大国シエルクラティアの城を凍らせるの?あなたの力があれば穏便に無力化する事も容易いはずです!!ほっといてください!!帰ってください!!!」
子供か。そのカムクラとか言う騎士がどれ程のもんだったかは皆目検討もつかんが、こいつが言ってるのは絵空事だろ。絵空事には絵空事で返してやろう。
「なぁ、シェルル。俺な、ビーステイルダムのキャバクラっつーかパブみたいなとこ行ったんだけどな、そこの女の子が酔っ払ってポロっと言ってたわけよ、旦那がノースウォールへの侵攻作戦で徴兵されたのって、その彼氏狼人族だって言ってたわ、2歳の子供がいて、共働きで貯金して家を買おうとしてたんだってよ。けど、残念!突如現れた紫電を纏う龍に食われちゃいましたぁ」
まぁ、ほんとは猫人族だけどな。タナトスに大体の話しは聞いたからすり替えてもいいだろう。
「お前は戦争で、数万の誰かの大切な人の命を奪ったんだ!国を守ると言う大義名分を掲げて紫龍をぶっ放した!だが、戦況が不利になって藁に縋る思いで四王黄金鎧に手を出した、そこで相応しく無い者が身につけ意識を乗っ取られてしまった、自分の大切な人が死んでしまったので、戦争なんて嫌です、争いの無い天空の城に高飛びしますってお前は子供か!つか母親捨てて行くような奴が御託並べてもピンとこんわ!!」
「貴様リブラぁぁぁあ!!」
大剣を抜き斬りかかる、なんだっけこいつ。接着剤みたいな名前の龍人が大剣を振り下ろしてくる。
穏便に無力化ねぇ。
「ばっちこいや!!」
闘気を纏い大剣の刃に向かい頭突き一発。4m近い大剣は砕け散る。
ちょっと寝といてもらおう。
『武王殺神流闘気開放』
「よっしゃ一本撃いくぞ?力加減間違えたらごめんね?」
腰を落とし人差し指一本に闘気全てを集約する。
「おやめなさい!!!」
いざ振り抜かんとした所でシェルルがかばいやがった。
「わわわわ!!」
後は左足踏み込んで撃つだけだってのに!!急遽方向を変えて城に向けて一本撃を放つと、拳撃が一条の光となりて氷漬けの城が粉砕した。
「あーあ。」
「なぜ!なぜあなたは破壊と殺戮を繰り返すのですか!!」
「いやいや、そこのストーカーは追跡者なんだから死んだって生き返るだろ?けど生き返らねぇシェルルが飛び込んできた。危ないと思ったから方向を変えたら城が潰れた。たくさん人が死にました。はい、お前のせいだな!」
「そんな屁理屈!!」
「屁理屈こねてんのはお前だろうが!もっと頭使えなや、のーたりんの乳でか娘が!!」
「貴様っ!!」
「はいお前後二回絶対殺す。」
堂々巡り押し問答を繰り返す中、シェルルは遂に術式を展開した。
「あなたはっ!!許しません!!」
流石に上手いもんで立体魔法陣が即座に展開され雲が高速で流れゆく青空の中に特大の紫龍が浮かぶ。
正直溜息が漏れた。
「あの争乱から私の紫龍はより強大になりました!!!」
俺はとりあえず、シェルルを巻き込まない距離まで飛ぶ。
「逃がしませんわ!!喰らいなさい!!」
「シェルル!!お前の勘違いを教えておいてやる!!」
俺は小さな術式を施し、手のひらサイズの手乗り紫龍を作り出す。
天空から顎を開き遅いくる紫龍に俺のミミズちゃんが立ち向かい相殺する。
「その大昔の紫龍な、実は無駄が多い。」
「そんな……」
「確かにデカけりゃいいけど、お前ら程度がいくら魔力を練りこもうが、ただのハリボテに近い。っていうのはだな。」
俺は攻撃式を取り外した特大の紫龍の式を組み上げその場に作り上げる。
「お前の紫龍はバチバチしてて少し乱雑だろ?そして荒々しい。けどな、本当の紫龍はこれだ。」
そこに現れたのはきめ細やかな紫色の美しい東洋の龍、その静かなる威厳にシェルルと接着剤は惚けている。そして即座にそれを消す。
「まず、小さな術式でこれぐらい美しい紫龍を生み出す練習をしろ!」
どやぁ!お前ら如きが俺に勝とうなんぞ100万年早いわい!!
無力さと魔力欠乏で膝から落ちるシェルルを接着剤さんが抱えると黒い雫がシェルルの頭に落ちた。
「いやぁ、やっとからっぽになったねぇ。この子。」
シェルルが、首をコキコキと鳴らし伸びをする。いや、これはあれだ。まずい奴だ。
シェルルが指をパチンと鳴らすとそこには煙管が現れる。赤く火種が光るとシェルルの口から煙が吹き出される。
「けほっけほっ、この子、健康すぎるねぇ、あたいが咽せるとか相当じゃないさ」
そっと手を離した接着剤が目を丸くしながらその様子を見守る。
「シェルル…姫?」
「あら良い男。」
シェルルは接着剤の顎を持ち、そっと口づけをすると、直後に接着剤は干からび果ては蒸発して消えた。
「なかなか鍛えてるねぇ、いい味してたよ。ん?坊やは確か…異質イレギュラー?」
まずいぞ。こいつ管理者だろう。おそらくだが太陽神だ…。
気付けば俺は後退していた。
「あらぁ?かなり傲慢な子だと思ってたけど、力の差がわかるのかぁい?でもまだこの小娘とさっきの竜人しか食べてないから弱いわよ?殺るなら今よ?」
シェルルとは似ても似つかない仕草でドレスの肩をおろし胸を寄せる。
わかってる。ここでこいつを攻撃すれば二星達の二の舞になる。隙を見て逃げるべきか?それとも………。
「月神に返り討ちにされたのがそんなにくやしかったのかぁい?」
カポーンと火種を飛ばすと指を鳴らし新たな火種に火をつける。
「あの肉のオモチャおもしろいわよねぇ?でもどうせなら万能にしたいじゃない?だからわざわざこんな弱っちい娘を依り代にしたわけよ」
庭園の黒い球体にシェルルは手を触れる。
「これダモクレスって言う魔道具らしいわぁ。4年間魔力をため続けたらしいねぇ?そんな魔力をあの肉人形にぶつけたらどうなるのかしらねぇ?月写眼つきうつしのまなこ天照眼あまてらすまなこを動力源とした肉人形、あはは、あははは!!面白いねぇ、坊やは神域で待ってなさいな?大切な仲間を嬲り殺してから、ゆっっくり食べてあ・げ・る」
「やめろ、やめろぉぉ!!!」
黒い球体をシェルルが割り空から突き落とすと大陸を真っ二つに斬りかねん黒く禍々しい巨大な両刃の剣が形成され、俺の頭上に浮かびあがった。
「あら?これ肉人形消えちゃうかもね?」
シェルルを乗っ取った管理者が煙管を振り下ろすと同時に、大剣の切っ先は俺に向けられたまま落下を始める。
『ゲート』
「待ってなさいな坊や。遊びに言ってあげるわっ」
集落に戻ると同時に遥か上空で途轍もない魔力爆発が起き、直後に世界を黒く染める一振りの大剣が大陸に突き刺さった。
「障壁を張れ!!!全力で!!」
持ちうる最大防御の障壁を各自展開したが、大地が揺れ動いただけで、二次災害は起きなかった。
それは同時に……。
あの黒い巨人が昼夜問わずに力を手に入れたと言う事に他ならない。



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