10年間修行した反動で好き勝手するけど何か問題ある?
46
「ファァァァァッッック!!!」
「主君!!落ち着いてください主君!!」
「わおーん!!わおーん!!」
「…………」
俺は今集落の守りをリャンシェン達に全面的に任せ、カルマとライと同行を願い出た無口の剣士メントスとで森を突き進んでいる。
何故かって? そんな事俺が聞きたい。 時田さんに空母に必要な資材を聞いたら出るわ出るわワケのわからん必要素材。
鉄やらなんやらは俺と時田さんが、互いに多種多様で唸る程持ってたからよかった。 だが、魔物からとる素材が問題だ。
正直俺の島には弱い魔物でも強い。 あの島特有の独自の進化をしてしまうからに他ならないんだが。 こういった最弱系統の魔物の素材は出向いてまでして集めなければいけないワケで……。
「主君!!このシルバミルヴァってのは本当に素材が採れるのですか?腹を押すと弾け飛ぶのですが……」
力加減などは関係無く、レベル差が物を言う採取らしく、成功する兆しが見えない。
「メントス!!お前ならやれるだろ!!頼むよ」
黒髪の総髪で髪を一纏めにした美青年はホワイトボードにペンを走らせる。
『リブラさんすまない、虫は苦手なのだ』
「ファァァァァッッック!!」
こんな調子で大型犬程の銀色の芋虫を狩り続けているわけだが、素材がとれない。 そしてメントスが肩をポンポンと叩いてくる、ウザいさわんな。
「なに?」
『大量に狩って、集落のみんなにやってもらったらどうですか?』
「……なるほどな」
そこからは早かった。 カルマは爪楊枝を投げて殺し、俺は小石を指で弾く。 ライは横を通りすぎるだけで殺しを繰り返していると、シルバミルヴァを象ぐらいのデカさにしたやつが群れで現れた。
「うわわわわ!!きもちわる!!」
『ミスリルミルヴァ、髪緑銀がたくさん取れるかも』
「まじか!!まじか!!よっしゃ!!」
髪緑銀、これが今回集めてる素材だ。 何に使うかは分からないが髪の毛程のそれはそれは頑丈な金属らしい。 髪の毛程に加工したミスリルやなんやと色々為したが駄目だった。 おそらく、この芋虫の体内にある特殊な器官が再現出来ない加工をしているのだろう。
「いきまっせー!!!」
『影術奥義・影抜』
これは簡単な話し即死術だ。 影に魂魄を移して没収する術。 と言ってもまだこいつらに意識はあるだろうから即死って言うのは変かもしれないけどまぁ、気にするな。
「よっしゃー腹押しまっせぇー」
「うおぉ!主君!とれました!いっぱいでてきましたぞ!!」
「なんで先やっちゃうかなぁ?」
ーーーーーーーーーーーーー
そして、色んな素材を集め切って残すところ最後の一つ。
ただ……これは本当に必要なのだろうか……。
素直に言う…心が痛むと。
最後の素材はブラウニーの木槌だ。
茶色いボサボサの髪の毛の小さい可愛い少年少女達は俺たちを見ると興味津々と集まってくる。
てかアウリファナンティ神域広すぎるし秘境すぎるだろ。
「うわー!みてー!ひとー!」「おにちゃんあそぼー!」「みてこのこ!もっふもふー!」「このおねちゃんかわいいー!」「こいつっ!こいつっ!」「だんまくうすいよ!もっとうちこんで!!」
何故かメントスだけ木槌でフルボッコにされていたが、俺達は異様なまでに歓迎されていたのだ。 こいつらは大木の妖精で、長年の生を終え折れた大木から数多く産まれ母体となった神木を分け合い木槌を作ると本で読んだ事がある。 恐らく大事にしているわけで。 たった一本…されど一本。 これは辛いミッションになりそうだ。
「お前ら…お菓子好きか?」
バグジーさんの特製蜜飴を配る。黄金色の固形状のあまっったるいヤツだ。 慣れたら美味いけど。
「おかしー?なにそれー?」「おいしー!これおいしー」「ありがとー!」「もっとちょーだい」「なにしてるのー?いいなぁー!」「このもふもふがたまらん」「うわふわふわー」「うらっ!!こいつ!!かたい!!」
相変わらずメントスはフルボッコだが、わらわらと更に集まってきてしまった。
「主君……。」
「わかってる。ちょっと考えさせてくれ。」
「おにちゃん名前なんてゆーのー?おねちゃんはー?」
水色のクリクリの目をした膝程の身長の子供が上目遣いで聞いてくる。
「リブラだ。」
「カルマと申す。」
「なんで木槌持ってないのー?」
核心だった。 ここでなんと答えるべきか…。 でも、いずれは悲しませてしまう事になるかもしれない。 早い方がいい。
「俺達は木槌を探してるんだ。欲しいけどお前達にとって大切なものだろう?」
「うーん?大切だけどー。あっ!ついてきて!!」
手をポンと叩いた小さなブラウニーの少女は俺達を先導して歩きだす。 他のブラウニー達も俺達にしがみついて着いてくる。
「こいつ!!うらっ!!」「ひざまがった!うつよ!」
もうメントスはほっといてやってほしい。
ブラウニーの少女が森に入ると詠唱をはじめた。聞いた事のない言葉で詠唱を終えると森にトンネルがいくつも出来上がった。
「こっちこっち」
手招きのまま木の蔓で出来たトンネルを抜けると切り株が並ぶ伐採林に着いた。
「ミエルおねーちゃん!きこりがくるよ!こわいよ!」「いやぁぁ!きこりいやー!」
おもむろに楽しそうだったブラウニー達が泣き始める。
「だいじょうぶ、このおにちゃんたちつよい。やさしい。まもってくれる。」
ミエルと呼ばれた水色のクリクリの目をしたブラウニーが仲間達をあやす。
「あのね?おにちゃんこれぬける?かわいそうな木なの」
「カルマ」
「任された」
カルマがボゴッと引き抜くとブラウニー達はハイタッチで喜びはじめた。
「あのね、みてて」
ミエルがまた詠唱を始めると引き抜いた切り株が見る見るうちに変化して行き木槌になった。 そして透明なブラウニーの霊がニッコリと笑って空へ消えて行くと切り株のあった場所に小さな苗木がある。
「なかまたち、木きられてしんじゃった。とじこめられちゃった、でもわたしたちチカラない。きられた木ぬけない」
ショボンと落ち込むミエルを見てカルマのお姉ちゃんスイッチに火が着いた。
「ふぬぉぉ!!!このカルマ!体を動かしたいと思っておりました!主君!この切り株を引き抜く許可を!!」
「ってお前もう抜きまくってんじゃねぇか」
振り向くとメントスを叩きまわしていた小さなブラウニー達は怖い怖いとメントスに抱きついていた。 俺と目があったメントスも小さくため息を吐くとニコっと笑った。 ただし顔面はボッコボコだが。
計120程のブラウニー達の成仏を終えるとミエルは目に涙を溜めて喜んだ。
「みんないけたみたい、ありがとう、おにちゃんまたきてね?うみのにおいがするからうみのもりにつなげとくね、またあそぼ!!」
「あーまってよ!ミエルねーちゃん!!」「まってまって!!!」「あははは!!いてっ!」
二つのトンネルが開きミエル達が消えるとミエル達のトンネルは閉ざされた。
「主君……夢でも見ていたのですかね?」
「後ろの切り株とメントスの顔見てから言えよ」
新しく芽吹いた苗木とボッコボコのメントス、そして飴のお礼にともらった山積みの木槌を見て現実だったと理解する。
木槌を集めてトンネルをくぐると透き通る青い海の上に演習中の零戦が何十機と飛び回り爆音を響かせていた。
「帰ってきたな……」
するとライが突然背後の森へ吠える。
「わう、あおーーーん!!」
振り向くとそこには木陰から覗くブラウニー達が微笑みながら手を振っていた。
「ミエル!!!」
森に子供達の笑い声が響くとミエル達の姿は消えていた。
「主君、またよければ木槌の礼にお菓子を渡しにいきませぬか?」
「そうだな。そうしよう。」
『僕も呼んでください。』
「お前はいい思い出ではなかっただろう?」
こうして二週間にも及ぶ素材集めは終わりを迎えた。
土地開発の為に俺達の集落でカルマが引き抜いた木の妖精達は俺のフェアリーランドで楽しく暮らしているのを知るのはまだまだ先の話しだ。
「主君!!落ち着いてください主君!!」
「わおーん!!わおーん!!」
「…………」
俺は今集落の守りをリャンシェン達に全面的に任せ、カルマとライと同行を願い出た無口の剣士メントスとで森を突き進んでいる。
何故かって? そんな事俺が聞きたい。 時田さんに空母に必要な資材を聞いたら出るわ出るわワケのわからん必要素材。
鉄やらなんやらは俺と時田さんが、互いに多種多様で唸る程持ってたからよかった。 だが、魔物からとる素材が問題だ。
正直俺の島には弱い魔物でも強い。 あの島特有の独自の進化をしてしまうからに他ならないんだが。 こういった最弱系統の魔物の素材は出向いてまでして集めなければいけないワケで……。
「主君!!このシルバミルヴァってのは本当に素材が採れるのですか?腹を押すと弾け飛ぶのですが……」
力加減などは関係無く、レベル差が物を言う採取らしく、成功する兆しが見えない。
「メントス!!お前ならやれるだろ!!頼むよ」
黒髪の総髪で髪を一纏めにした美青年はホワイトボードにペンを走らせる。
『リブラさんすまない、虫は苦手なのだ』
「ファァァァァッッック!!」
こんな調子で大型犬程の銀色の芋虫を狩り続けているわけだが、素材がとれない。 そしてメントスが肩をポンポンと叩いてくる、ウザいさわんな。
「なに?」
『大量に狩って、集落のみんなにやってもらったらどうですか?』
「……なるほどな」
そこからは早かった。 カルマは爪楊枝を投げて殺し、俺は小石を指で弾く。 ライは横を通りすぎるだけで殺しを繰り返していると、シルバミルヴァを象ぐらいのデカさにしたやつが群れで現れた。
「うわわわわ!!きもちわる!!」
『ミスリルミルヴァ、髪緑銀がたくさん取れるかも』
「まじか!!まじか!!よっしゃ!!」
髪緑銀、これが今回集めてる素材だ。 何に使うかは分からないが髪の毛程のそれはそれは頑丈な金属らしい。 髪の毛程に加工したミスリルやなんやと色々為したが駄目だった。 おそらく、この芋虫の体内にある特殊な器官が再現出来ない加工をしているのだろう。
「いきまっせー!!!」
『影術奥義・影抜』
これは簡単な話し即死術だ。 影に魂魄を移して没収する術。 と言ってもまだこいつらに意識はあるだろうから即死って言うのは変かもしれないけどまぁ、気にするな。
「よっしゃー腹押しまっせぇー」
「うおぉ!主君!とれました!いっぱいでてきましたぞ!!」
「なんで先やっちゃうかなぁ?」
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そして、色んな素材を集め切って残すところ最後の一つ。
ただ……これは本当に必要なのだろうか……。
素直に言う…心が痛むと。
最後の素材はブラウニーの木槌だ。
茶色いボサボサの髪の毛の小さい可愛い少年少女達は俺たちを見ると興味津々と集まってくる。
てかアウリファナンティ神域広すぎるし秘境すぎるだろ。
「うわー!みてー!ひとー!」「おにちゃんあそぼー!」「みてこのこ!もっふもふー!」「このおねちゃんかわいいー!」「こいつっ!こいつっ!」「だんまくうすいよ!もっとうちこんで!!」
何故かメントスだけ木槌でフルボッコにされていたが、俺達は異様なまでに歓迎されていたのだ。 こいつらは大木の妖精で、長年の生を終え折れた大木から数多く産まれ母体となった神木を分け合い木槌を作ると本で読んだ事がある。 恐らく大事にしているわけで。 たった一本…されど一本。 これは辛いミッションになりそうだ。
「お前ら…お菓子好きか?」
バグジーさんの特製蜜飴を配る。黄金色の固形状のあまっったるいヤツだ。 慣れたら美味いけど。
「おかしー?なにそれー?」「おいしー!これおいしー」「ありがとー!」「もっとちょーだい」「なにしてるのー?いいなぁー!」「このもふもふがたまらん」「うわふわふわー」「うらっ!!こいつ!!かたい!!」
相変わらずメントスはフルボッコだが、わらわらと更に集まってきてしまった。
「主君……。」
「わかってる。ちょっと考えさせてくれ。」
「おにちゃん名前なんてゆーのー?おねちゃんはー?」
水色のクリクリの目をした膝程の身長の子供が上目遣いで聞いてくる。
「リブラだ。」
「カルマと申す。」
「なんで木槌持ってないのー?」
核心だった。 ここでなんと答えるべきか…。 でも、いずれは悲しませてしまう事になるかもしれない。 早い方がいい。
「俺達は木槌を探してるんだ。欲しいけどお前達にとって大切なものだろう?」
「うーん?大切だけどー。あっ!ついてきて!!」
手をポンと叩いた小さなブラウニーの少女は俺達を先導して歩きだす。 他のブラウニー達も俺達にしがみついて着いてくる。
「こいつ!!うらっ!!」「ひざまがった!うつよ!」
もうメントスはほっといてやってほしい。
ブラウニーの少女が森に入ると詠唱をはじめた。聞いた事のない言葉で詠唱を終えると森にトンネルがいくつも出来上がった。
「こっちこっち」
手招きのまま木の蔓で出来たトンネルを抜けると切り株が並ぶ伐採林に着いた。
「ミエルおねーちゃん!きこりがくるよ!こわいよ!」「いやぁぁ!きこりいやー!」
おもむろに楽しそうだったブラウニー達が泣き始める。
「だいじょうぶ、このおにちゃんたちつよい。やさしい。まもってくれる。」
ミエルと呼ばれた水色のクリクリの目をしたブラウニーが仲間達をあやす。
「あのね?おにちゃんこれぬける?かわいそうな木なの」
「カルマ」
「任された」
カルマがボゴッと引き抜くとブラウニー達はハイタッチで喜びはじめた。
「あのね、みてて」
ミエルがまた詠唱を始めると引き抜いた切り株が見る見るうちに変化して行き木槌になった。 そして透明なブラウニーの霊がニッコリと笑って空へ消えて行くと切り株のあった場所に小さな苗木がある。
「なかまたち、木きられてしんじゃった。とじこめられちゃった、でもわたしたちチカラない。きられた木ぬけない」
ショボンと落ち込むミエルを見てカルマのお姉ちゃんスイッチに火が着いた。
「ふぬぉぉ!!!このカルマ!体を動かしたいと思っておりました!主君!この切り株を引き抜く許可を!!」
「ってお前もう抜きまくってんじゃねぇか」
振り向くとメントスを叩きまわしていた小さなブラウニー達は怖い怖いとメントスに抱きついていた。 俺と目があったメントスも小さくため息を吐くとニコっと笑った。 ただし顔面はボッコボコだが。
計120程のブラウニー達の成仏を終えるとミエルは目に涙を溜めて喜んだ。
「みんないけたみたい、ありがとう、おにちゃんまたきてね?うみのにおいがするからうみのもりにつなげとくね、またあそぼ!!」
「あーまってよ!ミエルねーちゃん!!」「まってまって!!!」「あははは!!いてっ!」
二つのトンネルが開きミエル達が消えるとミエル達のトンネルは閉ざされた。
「主君……夢でも見ていたのですかね?」
「後ろの切り株とメントスの顔見てから言えよ」
新しく芽吹いた苗木とボッコボコのメントス、そして飴のお礼にともらった山積みの木槌を見て現実だったと理解する。
木槌を集めてトンネルをくぐると透き通る青い海の上に演習中の零戦が何十機と飛び回り爆音を響かせていた。
「帰ってきたな……」
するとライが突然背後の森へ吠える。
「わう、あおーーーん!!」
振り向くとそこには木陰から覗くブラウニー達が微笑みながら手を振っていた。
「ミエル!!!」
森に子供達の笑い声が響くとミエル達の姿は消えていた。
「主君、またよければ木槌の礼にお菓子を渡しにいきませぬか?」
「そうだな。そうしよう。」
『僕も呼んでください。』
「お前はいい思い出ではなかっただろう?」
こうして二週間にも及ぶ素材集めは終わりを迎えた。
土地開発の為に俺達の集落でカルマが引き抜いた木の妖精達は俺のフェアリーランドで楽しく暮らしているのを知るのはまだまだ先の話しだ。
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