継続は魔力なり《無能魔法が便利魔法に》

リッキー

聖女の孫

 じいちゃんの葬儀から1週間が経った。

 この1週間
 兄さんと姉さんは、学校があるからと直ぐに帰ってしまった。
 父さんと母さんは、昨日まで他国からの使者の相手で忙しそうだった。

 そして、今日はやっと聖女様が来るそうだ。
 ちなみに、聖女達はもうすぐ催されるシェリーの誕生パーティーに、国の代表として参加することになったらしいので、それまで家に泊まるそうだ。

 国の代表なら、皇帝とシェリーが接待した方がいいのでは?と質問したところ
 シェリーの誕生日までは、聖女として魔導師ばあちゃんに会いに来た扱いになるそうだ

 だから、どうしても俺が接待することになる....

 「はぁ」
 思わずため息をついてしまう

「こら、もう来るんだから、そんな嫌そうな顔しないの!」
 母さんに怒られてしまった。

「そういえば、この前のシェリアちゃんの時も嫌だとか言ってたくせに、会ってみたら楽しそうにしてたじゃないか」

「そ、そうかな?」
 言われてみれば.....
 確かにそこまで嫌がる必要ないかも......

「そうだ。あ、来たぞ」

 馬車が一台入って来た。

 そして馬車が止まり、ばあちゃんと同じくらいの歳に見える女性と俺と同じくらいの女の子が出て来た。

 馬車から出てすぐ、女性の方がばあちゃんを見るなりニヤっと笑った。
「久しぶりカリーナ、あなた老けたわね」

「お互い様よ。セリーナ」

「まあ、そうね.....あら、ディオルク、男前になったじゃない。隣にいるのは奥さんと子供かしら?」

「そうだよ。セリーナさん久しぶりだね。その子がクリフの子供?」
 クリフ?

「そうだよ。名前はリアーナだ」

「リアーナちゃんか。こっちはレオンスだ」

「その子がカリーナ自慢の孫ね....」
 そう言うと聖女は俺を観察するように見てきた。

「そうだけど、あなたもリアーナちゃんのこと散々自慢してたじゃない」

「リアーナは優秀な孫よ?」

「そうかい、それならレオなんて「はいはい、孫自慢はその辺にして母さんもセリーナさんも中に入らないか?」
 ばあちゃん達によるヒートアップ寸前の孫自慢対決を父さんが慌てて止めた。

「そうだね。セリーナとリアーナちゃん、ゆっくりしていきな」

「ありがとう。お邪魔するよ」
 ばあちゃんに案内されて聖女は家に入って行く

「お、お邪魔します」
 聖女のお孫さんも小さな声で挨拶しながら家に入った。

 聖女の孫のリアーナちゃんの第一印象は、大人しくて真面目な子って感じだ。
 活発なお姫様とはまた違った可愛さだな.....銀髪もいいけど金髪美人もいい!
 ただ、今回はシェリーの時と違って大人しいから会話が続くかな? 心配だ....


 それから、聖女と魔導師の孫自慢を聞きながら昼ご飯を食べた。

 この2人による孫自慢の盛り上がりが凄かった.....

 リアーナちゃんは聖魔法が5才と思えないくらい上手だとか
 俺の魔力が信じられないくらい凄いだとか

 とにかく言い合いだった。
 まあ、自慢されている方の気まずさは半端なかったけどね!

 それから、昼食が終わると父さんと母さんが領地があるから帰ると言って帰ってしまった。

「それじゃあ、私たちは爺さんの墓参りに行ってくるから、レオはリアーナちゃんと仲良く遊んでなさい」
 えー! またシェリーの時と同じで2人か.....
 もしかして、フォースター家の伝統なのか?

「あ、うん。わかったよ」
 まあ、本人の前で嫌がる事なんて出来ないけどね.....

 それをわかっていてかばあちゃんはニヤニヤしながら俺を見てくる

「よろしい。それじゃあ仲良くしているんだよ」
 そう言ってばあちゃん達は出て行ってしまった。

 こうして、早速二人きりになってしまったわけだが、気まずくなる前に俺から話しかけようと思う。
「えっと.....それじゃあ、僕のことはレオって呼んで?」

 咄嗟に思いついたことを言ってみたが、俺、めちゃくちゃ上から目線になっちゃてる!

 やってしまった......
 これで俺の印象は、偉そうにしている公爵家の末っ子だ......

 しかし聖女のお孫さんの反応は......「は、はい。 レオくんですね? えっと私のことは....り、リーナと呼んでください」と少し顔を赤くしながら優しく答えてくれた。

 ......あれ? 俺の失言を気にしてないのか?
 り、リーナ? 愛称で呼んでいいの?
 え? 何故顔が赤くなった?

 予想外な反応に、頭が混乱状態だが.....これだけは言える.....めっちゃ可愛い。

「う、うん。よろしくリーナ」
 こうなったら、これからも偉そうな態度を貫き通そう。

「こちらこそ、よろしくお願いします」

「じゃ、じゃあ、玄関で話しててもしょうがないし僕の部屋に来なよ」
 そう言って、俺はリーナを部屋に案内した。

「私、初めて男の子の部屋に入りました」

「そうなの? なんか変じゃない?」

「特には....でも、あの2本の剣は立派ですね」
 そう言って、リーナはエレナとセレナを指さした。

「あれは、魔剣と聖剣だよ」

「あれがですか? それなら立派なはずですよね」

「伝説の剣だからね」

「どちらもレオくんが使っているのですか?」

「そうだよ。どっちらかというと聖剣の方はまだ貰ったばかりで、魔剣の方が長く使っているんだけど」
 セレナは貰ってから、まだ1週間くらいだ。

「あ、もしかして聖剣は勇者様の形見ですか?」

「うん、そうなるね」

「私は、産まれたばかりの頃に父母とおじいちゃんが殺されてしまって、何もおじいちゃんについて知らないんです」

「え?それは辛いね...」

「それでも私は真面目に生きているので、元気出してください」

「うん、ありがとう」

 リーナの第一印象は大人しくて真面目そうな女の子だったけど、実際は真面目で心優しい女の子なんだね....
 うん、更に可愛く見えてきた。

「それと.....少しでいいので聖剣触っていいですか?」

「どうぞどうぞ。ちょっと待っててね」
 そう言って、セレナを持ち上げて渡してあげる。

 すると、リーナはセレナの重さにバランスを崩した。
「危ない危ない」
 俺は慌てて支える。 

「うわー、これをよく持てますね」

 言われてみれば、確かに子供が持てるような重さじゃないかな.....
(ちょっと! 女性に重いなんて言ったらダメですからね? まあ、私ならいいですけど!)

 うん、何かが聞こえた気がするが、気にしない気にしない。

「まあ、じいちゃんに鍛えられたからね」

「勇者の特訓ですか...それは大変そうですね」

「大変って程のものじゃないよ。地獄だよ。地獄」

「へえ~ そんなに厳しかったのですね」

「聖女様の特訓はどうなの?」
 じいちゃんとばあちゃんがあれだけ厳しかったんだから、元仲間だった聖女もきっとスパルタだと思う。

「どうなんでしょう? 私の場合は、私が教えて貰いたくて教えてもらっているので、また違うと思います」

 な、なんて素晴らしい回答....どんだけ真面目なんだよ.......

「そうなんだ~ そういえば、聖魔法ってどんな魔法なの?」

「そうですね。怪我を治療することも出来ますし、こんなことも出来ますよ」
 そう言うとリーナは俺の手を両手で握った。

 え、え?
 俺は、急に手を握られて混乱状態になってしまうが、リーナは気にせず魔法を使った。

 すると....なんだか心が落ち着いてきた。
「おお、なんか心の疲れが取れたような気分」

「それは良かったです。この魔法は心を癒す魔法です」

「それは凄いね。聖魔法のレベルが高くないと出来ないでしょ?」
 気になったので鑑定してみた

 リアーナ・アベラール Lv.1

 年齢:8
 種族:人族
 職業:聖女見習い

 体力:5/5
 魔力:2400/2400

 力:4
 速さ:4
 運:500
 属性:無、聖
 スキル
 鑑定 聖魔法Lv.4
 無属性魔法Lv.1 魔力操作Lv.3

 称号
 魔法使い

 凄い、俺みたいに道具を使わないでここまで魔力が成長しているのは相当な努力家だと思う。
 しかも、ユニーク魔法の聖魔法がレベル4なのはヤバい!

「そんなことないですよ。これは、最近出来るようになった魔法なんです」

「いやいやいや、十分凄いから」

「そうですか? そういえば、レオくんも魔法を見してくれませんか? 凄い創造魔法が出来ると先程、魔導師様が言ってましたが」
 ああ、昼の孫自慢対決か.....

「聖魔法を見してもらったし、いいよ。今材料を用意するから待ってて」

「ありがとうございます」

 それから、材料を揃えて
「じゃあ、創造魔法を使うから見てて」

「はい!」

「すぐに終わっちゃうから、よく見てな」
 そう言って、ミスリルと魔石に創造魔法を使う。

 いつものように材料が光り、光が収まって完成した。

 今回出来た物は
<愛の首飾り+>
 魔力成長を大幅促進
 魔法の規模も大幅促進
 愛している人がいるとと恋以外の状態異常にならない
 創造者:レオンス・フォースター

 今回は後で、リーナがシェリーと会った時にどっちかの方が良い物だった時に申し訳ないので、シェリーのネックレスと同じものを造ろうした。
 だが、よく考えてみたら魔石に入っている魔力に大きな差があったんだった。
 魔法の規模が大幅促進が新しく付いてしまっている。

 まあ、見た目は同じだから大丈夫かな?

「レオくん、どうしたの?」

「ああ、少し考え事してた。はい、これあげる」
 リーナにネックレスを差し出す。

「貰うなんて悪いですよ」

「貰ってよ。さっき、聖魔法を見してくれたお礼だから」

「でも....」

「いいの、いいの」
 そう言って、リーナにネックレスを握らせる

「じゃあ、着けさせてもらいます」

「うん、それを着けていると魔力の成長が促進される効果があるから、いつも着けてな」

「そ、そんな物を造れるのですか?」

「これは3才の時から出来るよ」

「最近だと何が出来るんですか?」

「魔法が造れる」

「え?どういうことですか?」

 まあ、そういう反応をするよね。
「見てみればわかるよ」

 そう言って、俺は炎を造った。
 そして、水、風、氷と順番に造っていく。

「わぁ~ 凄いですね」

「他にも、ゴーレムを造れるらしいけどまだ造ってないんだよね」

「明日にでも、挑戦してみませんか?」

「うん、いいよ」
 特に明日やることは無いからね。

「やったー」


 SIDE:カリーナ

「今頃、レオ達は仲良くしてるかな?」

「大丈夫でしょ。見た感じ仲良くなれそうだったよ」

「そうだね。ところで、何で今回はわざわざセリーナが来たんだい?」
 凄く私は疑問だった。
 聖女というものは教国の最重要戦力のはずが、どうしてこんな簡単に来れてしまったのか?

「ああ、それなら教皇に行くように言われたからよ」

「それが何でなのか聞いているのよ」

「ふぅ、派閥争いよ」
 セリーナはため息交じりでそう言った。

「派閥争い?教国で派閥争いがあるの?」

「そうよ。それで愛する夫と息子夫婦が殺されたんだから」

「どうして派閥争いであんたが巻き込まれるの?」
 セリーナは政治に関わるのを嫌っていたはずなのに....

「今の教皇が馬鹿でね。自分が人気になれないのは、私が人気だからだと思っているの」

「はあ? どっかの王様並みに馬鹿ね」
 それで、家族を殺されたなんて本当に許せない....

「本当よ。それで今回の件は、わざと私をこき使っているように見せるためだけに、私を行かせたのよ」

「本当にどうしようもない馬鹿ね.....」

「まあ、今回はカリーナと久しぶりに会えたからいいかな」

「それは良かったよ。帰るまで、家でゆっくり休んでいきなさい」

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