日々思うこと

泉 玲

かぐや

今日の月は綺麗だ。昨日感じていた異様な雰囲気はどこへ行ったのか、美しく明るく光り輝いている。この月の光ならずっと浴びていたいと、いつもより少しゆっくりと歩く。あれほど大きく美しく輝く月からはお迎えだって来るだろう、そう平安時代に思いを寄せる。
『かぐや姫』。この物語を考え著したのはどんな人だったのだろう。同じように月を眺め、その不思議な魅力に惹かれて、その月には完璧な世界が広がっているのか、さも美しい姫君が住んでいるのだろうかと遠い場所に想いを馳せていたのかもしれない。そう考えると遠い昔の知らない誰かと繋がりを持てたようで、少し嬉しくなる。
『かぐや姫』は作者不詳となっているので、作者について詳しく調べる事は出来ない。作者の事を決して知り得ないというその事が月の持つ不思議さと相まって、『かぐや姫』を引き立てているように思う。
そうこう思っている内に家に着いてしまった。いつものように夜ご飯を食べてシャワーを浴びた。ここでまた月の事を思い出す。窓から覗くと真正面に月が浮かんでいた。やはり綺麗だ。窓を開けると爽やかな風が髪の間を通り抜けていった。疲れた気持ちも少し収まり、また明日からも頑張ろうと思えてくる。
さて、寝よう。

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