根暗勇者の異世界英雄譚Ⅲ 〜闇魔法を操る最弱な少年の話〜
Ep(3)/act.7 救済と怒り
帰り道、僕は一人だった。
小島とはもう、口も聞けない気がした。
こんな少年漫画のような流れ、誰が想像できたんだろうか。
突然強面の男に腕を掴まれ、僕は人気のない路地裏に連れ込まれた。
「あの…」
「お前、小島が金をせびってた奴だな」
「そ、そうですけど…」
「お友達に相談して、先生に報告するとまで言われたみたいだけど…俺たちの名前は出しちゃったりしたのかな?」
「いや、僕としても大事にはしたくなくて、先生には報告してません…」
「そっかそっか〜。話の分かる奴で良かったよ〜。俺らも大事にしたくなくてよ〜、俺含め、三年は今年卒業だから問題起こさなくてさ〜。先生に言われたら困るんだよね」
「そうですよね…」
「それで、意味分かるよね?」
「えっと…言わなければいい…」
「そうじゃなくてさ」
グッと腕を持ち上げられ、上体が起き上がった瞬間に腹に膝蹴りを食らわされた。
途端に咳込み、じんわりと熱い痛みが残った。
「やっぱこう言うの信頼関係だから」
「ゲホッ…え、えっと…」
「言ったらもっと酷いって分かるよね?」
「は、はい…」
その時だった。
「その手を放してやってくれないか」
「なんでこんなところに…」
立っていたのは笹山くんだった。
「何だ?コイツの友達か?ってことは一年だよな?国の聞き方気を付けろよオラァ!」
「アイツじゃね?先生にチクるとか言ったの」
「正義感振り回すから痛い目見るんだよね」
周りの奴らも茶々を入れ出す。
それでも、助けに来てくれたことが心の底から嬉しくて、涙が止まらなかった。
でも、笹山くんは抵抗虚しく多勢の不良たちに囲まれ、ボコボコに殴られる。
僕には何も出来ない。何も出来ない。
悲しくて悔しくて怖くて怖くて怖くて。
友達が、助けに来てくれた優しい笹山くんが、僕のせいでボコボコに殴られてる。
頭が、頭が、頭が、頭が。。。。。
悲しい悔しい苦しい怖い怒り怒り怒り怒り怒り。
気持ちいい。
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