自殺を繰り返した俺は異世界転生をした〜最強の俺は異世界で無双する〜

木偶さん

第8話「鬼の力」

「じゃあ、始めよっか!」
 俺と同じ程の背丈の魔王がこの場にいる全ての者に聞こえるように言った。

 俺はあの後、武器庫に連れて行かされどの武器を使うかを選ばされた。
 意外にも種類が多い。

「こ、これは......!?」

 俺が選んだのは刀。
 刀とは男のロマンである。こんなところにもあったとは......。

 俺が生き残るにはこの小さな魔王と友達にならないといけない。そして、その過程に悪魔を何十体と屠らなければならないのだ。

 ◇◆◇

 もう数え切れないほど倒した。1体1だが休み無しの攻撃。流石に疲れてくる。
 最強なら疲れない? 何を言っているんだ?

 こいつら全員かなり強い。

「おうおう、お前からの攻撃はねえのか?」

 特にこいつは相当だ。
 攻撃の重さはそこまでだが、速さは他の奴とは段違い。光属性魔法で目を強化してやっと見える。

「くっ......速え......」

 直撃は食らっていないが、かすり傷と今までの敵との傷が積み重なってきて動きが鈍くなる。

 相手は剣を装備していて速さのためか防具はしていない。かくいう俺も防具をしてないがな。
 と、そんなこと考えている暇もなくまた向かってくる。
 右上? 左? ......いや、正面!
 ギンっ、と一瞬音がしたと思えば敵はもういない。

 奴らは後ろの羽を使い飛んでいる。だからこちらの視界から消えようと思えばすぐに飛べばいいだけ。
 それでも流石に疲れないのか?

 次は......後ろ! ギンっ! 右! ギンっ! 左上! ギンっ!正面への突き! ギンっ!

「はぁ......はぁ......」

 次はどこだ?
 と、ふらつく体で耐え、意識を保つ。

 そして、攻撃かと思われたその時、敵は姿を現した。

「しょーもねーなー! このままずっと俺が攻撃してお前が受けてるだけじゃつまんないだろ?」

「ふん......もうすぐ俺の攻撃が......始まるさ」

「......もういい。俺は今から本気を出す。もし死にたくなけりゃ、降参しろ」

「降参したら死ぬ事ぐらい分かってるよ」

「ははは、よく分かってるじゃねーか......行くぞ」

 悪魔がそう呟いた瞬間、消えた。
 俺はまた目を強化するが、もうそれでも見えなくなった。

「なっ......!?」

 いや、まだだ。《全感知》を使って大まかな場所を残りは感で何とかしてやる。

 この、位置は......上!

 俺は上の方向に構える。
 そして、剣が当たると思われたその刹那。

 ブシャ。

「!? くはっ......!?」

 何故、正面下から来た!? スキルから読み取ると来た方向は上からのものだった。

「お前だけがスキルを使えるだなんて思うなよ? おそらく俺の方が強えスキルを使ってる。死ぬ間際なんだから教えてやるよ。《気配隠蔽》、《幻覚》」

 そんな事今はどうでもいい! ここで死ぬのはダメなんだ!
 覚えてないけど1万回死んでやっとこっちの世界に来れて、最強の力もらって、まだまだ、まだまだこれからなんだ!
 考えろ、生きる方法を! 考えろ! 勝つ方法を!

 ..................そうだ。なぜ俺は生きている? 俺は心臓を刺された。
 もし、悪魔の誰かが俺の体力を回復しても傷口までは治らないはず。
 何か、あるんだ。

(『ステータス!』)

 必要なのはスキル欄だけ、それ以外は見ない!

【スキル】
《限界突破》《成長》《才能》《全属性魔法Lv10》《鬼化》《覇気》《全感知》《再生》

 これだ! 《再生》。おそらく1度目は無意識に使ったのだろう。それより速く!

「《再生》!」

 傷口が光り出す。

「な、なんだ!?」

 血が戻る。疲れが消えていく。傷口も塞がる。
 元の状態に戻った。

「どうなってんだ!? 不死身か!?」

「そんな事はどうでもいいだろ? お前は調子に乗りすぎだ。そんな奴には俺が死という罰をやる」

 今まで使ったことは無いが使うべきは今だ。

 ....................................《鬼化》。

 力が漲る。オーラのようなものが渦巻く。
 そして、俺の意識は途絶えた。

 後に他の生き残った悪魔から教えてもらったことを言おう。

「なんだ......これ......俺が震えてる......!?」

 敵の悪魔はガタガタ震えているだけ。

「......皆殺しだ」

 俺はそう呟いたらしい。
 その後は逃げないと生き残れない、とこの話を教えてくれた奴はそう悟ったらしい。

 だからその後は誰知らないだろう。
 本当に皆殺しをしたのだから。

 俺の意識が戻った時には数百という悪魔の死体だけが残っていた。

 ほとんど覚えていないがこれだけは分かる。

 ......これは俺がやった。

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