異世界転生者〜バケモノ級ダンジョンの攻略〜

海月結城

……

 私たちが帰って来たことは町のみんなにすぐに伝わった。ダンジョンの門番が通信の魔道具でギルドに伝え、それが冒険者に伝わり、それが住民たちに伝わっていったのだ。その為、ダンジョンから出てきたカレンは、パレードの真ん中を歩いている感じになっていた。

「カレーン!! お帰りー!!」
「もう、大きくなっちゃって!!」

 などなど、いろんな言葉がカレンの頭の上を行き交っていた。

「みんなー!!! ただいまーー!!!」

 それに私は手を振って応えていた。

「みんなカレンのことが好きなんだね」
「ねぇ、私はこの姿のままでいいの?」
「いいのいいの、ヒューが大きくなっちゃったらみんな怖がっちゃうでしょう。それに、私の頭の上に乗れないよ?」
「怖がれるのは良いけど、カレンの頭の上に乗れないのは、嫌だ」

 それから数十分後にやっとギルドについた。

「ただいまー!!」
「「「「うぉーー!!!」」」」

 歓迎の仕方が独特な冒険者たちを無視して、受付に向かった。

「クルーズさん居ますか?」
「クルーズさんは、もう……」
「え? そんな、クルーズさん死ん……」
「待て待て待て!! 何勝手に殺してるんだよ!!」
「ちっ!」
「おい、お前は後で覚えてろよ。さて、久しぶりだなカレン」
「はい。お久しぶりです」
「お前のことだ、色々あったんだろ? 話を聞くから上に来てくれ」
「いえ、ここでお願いします」

 クルーズさんは、私の暗い面持ちを見て、その場に留まった。

「分かった。話せ」
「はい。実は……」

 そこで私は以下のことを話した。

・ダンジョンは百層ではない。
・百一層目に入る時にどこか分からない島に飛ばされる
・そこから戻るのに七年掛かった

「まじか。あのダンジョンはそんなに深かったか」
「証拠もありますよ」
「いや、出さんでくれ、怖い」
「そうですよね。では、これはまたいずれ出すことにしますね」
「そうしてくれ。で、お前たちはもっと下に行くのか?」
「もちろんです。だって、あれを攻略しないと実家に帰れないんですから」
「そうだったな。で、いつから?」

 そこで私は少し考え、こういった。

「明日からで」
「へ?」

 まさか、明日からなんて言われるとは思わなかったクルーズさんは、変な声を出してしまった。

「まぁ、嘘ですが。単に驚かせてみたかっただけ」
「はぁ、お前ってやつは、まぁ、今日、明日はちゃんと休んでから、ダンジョンに挑んでくれ」
「はーい」

 そして、三人で帰ろうとした時、シャルに声がかかった。もちろん、クルーズさんだ。

「なぁ、シャル」
「はい?」
「戻って来ないのか?」
「残念ながら、私はカレンの仲間ですから、そっちには戻れません」
「そうか。しょうがないか。頑張れよ」
「はい!」

 その後カレンたちは、四百年かけてダンジョンを攻略した。

「異世界転生者〜バケモノ級ダンジョンの攻略〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • くあ

    えっ急に攻略?

    0
コメントを書く