異世界転生者〜バケモノ級ダンジョンの攻略〜

海月結城

ちょっと本気出す!〜3〜

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 メタルトレント、それは、樹皮がアダマンタイトできていて、めちゃくちゃ硬く、物理攻撃を跳ね返すほどの強度を誇っている。そして、なんでかみんな動かない、わっさわっさって揺れてるだけで攻撃してこないのだ。

「なんで、動かないんだろう? あ、根が埋まって歩けないのか。ドジっ子?」

 メタルトレントは、抜けない根を頑張って抜こうとしていて、こちらに全く攻撃できていない。絶好の的球だ。だがここで、少し油断をしていた私は、ダガーで攻撃を仕掛け、そして、見事に跳ね返された。私は聞き逃さなかった、ダガーにヒビが入る、『ピキッ』という音を。

「やばいよ、やらかしたよ。ママ剣王からせっかく貰ったダガーが壊れちゃったよ。ん〜? どうしょうかな。これだと、刀でやっても結果は変わんないだろうし」

 強すぎて使えなかった魔法でも練習しようか。

「『ダークホール』」

 この魔法は、闇魔法の上位互換の暗黒魔法と、言われるものだ。この魔法の効果は、この魔法の中心にものを引き寄せる効果を持っている。その範囲は、魔力を込めた量に比例する。そして、集めたメタルトレントをこの魔法で一掃する。

「『ライトニングドラゴン』」

 この魔法は、風魔法の上位互換の雷魔法だ。雷でできたヘビ型の竜の形をしていて、術者が解かない限りずっと相手を攻撃し続ける恐ろしい魔法だ。そして、メタルトレントは、中身までアダマンタイトらしく溶けて、アダマンタイトの液体と魔石だけになった。

「いや〜、あっけなく終わったなぁ。後は、『フリーズ』」

 フリーズは、氷魔法で、周りの空気を下げるなど、氷を生成するなどいろいろなものに応用できる魔法だ。そして、今回はアダマンタイトの液体を固めるために、周りの空気を下げた。結果、ただアダマンタイト40キロを手に入れることに成功した。

「さて、40層のボスを倒したことだし、帰ろうかな」

 そして、魔法陣に乗り入り、夕焼け空の地上へと帰還した。

☆☆☆

 私は今、正座でシャルと、コネさんとクルーズさんに怒られていた。

 遡ること30分前。

 私が、ダンジョンから帰ってきて、魔石やら、なんやらの換金をしてもらうためギルドに寄った。

「こんばんは〜」
「あっ! カレンさん、こんなに遅い時間に何しにきたんですか?」
「今日1日ダンジョンに潜っていたんですよ、その時に倒した魔物の換金をしにきたんですよ」
「え? ダンジョン......ですか?」
「まさか、魔物って、どのくらい倒しました?」
「えっと、200は、越えていると思いますよ」
「っ!? ちょっと、ギルマスのところに行きましょうか。カ・レ・ンさん」
「はい」

 この時のシャルには、一生敵わないと思った。そして、今。

「なんですか! この量は! 今日1日でどんだけの量を倒してきたんですか!」
「やっと、昨日の魔物の鑑定が終わったのに......。地獄だ」
「規格外だな。して、今回は何層まで降りたんだ?」
「えっと〜。40層まで」

 それだけを告げると、3人の顔は化け物でも見ているような顔をしていた。

「は、はは。私、幻聴が聞こえたような。40層って、聞こえたんですけど」
「いや、俺にも聞こえだぞ......。何者なんだこいつは」
「何か、証拠になる魔物の魔石とか部位とかあったら出して欲しいんだが?」
「えぇ、いいですよ」

 言われた通り、メタルトレントの魔石を見せた。

「これは......。本物だ、それに40階層のボス。メタルトレントの魔石だ」
「なに!? メタルトレントじゃと! 化け物じゃないか、お前さんは」
「今日でわかりました!」

 いきなりシャルが立ち上がり、叫び出した。

「なにが分かったの?」
「カレンさんに常識は通用しません! そして、この速度でこのダンジョンをクリアした人は未だ出てきていません。もしかしたら、100層のボスを倒すのは、カレンさんかもしれません!」

 なんか、いきなり熱弁を始めたシャル。みんなちょっと引いてるよ。それをスルーしてクルーズさんが話し出した。

「なぁ、お前に頼みたいことがある」

 真剣な面持ちで話し出したギルマス。そこには、ギルマスの威厳がきちんとある、とてもかっいい姿だ。

「なんですか?」
「頼むから、ダンジョン攻略に行く回数を減らしてくれ〜」

 と、思った矢先これだ。さっきの雰囲気台無しだよ。

「これ以上は、ギルド職員が過労死してしまう。だから、お願いだ!」
「わかりましたよ、クルーズさん。今回の魔物も10分の1を渡しますね。残りは、また今度持ってきますね」
「おぉ、ありがとう!」

 流石に、過労死されては困るな。

「さて、この話は、ここで一旦終了だ。いいな? シャル、コネさん」
「まぁ、数日開けてダンジョン言ってくれるなら、怒る理由はありませんね」
「あぁ、いいぞ」
「それでだな、昨日の魔物の鑑定が終わってな、これだ。確か、」
「中には、20万3020シルが、入っている」

 なんか、想像より多いいような。

「なんか、少し多すぎませんか? 10階層分の魔物しか出してないのに」
「それは、私から。そのお金の中には、カレンさんがダンジョンに行く前に受けた、クエストの報酬も入っているからですよ」
「だからですか。ありがとうございます」

 必要なものを受け取ったし、話もしたし、帰ろうかな。

「それじゃあ、魔物は二日後に、最初の分を持って来ますね。さよなら〜」
「おう、またな」

 そう言って、ギルドを出ると、いや〜な視線が私に突き刺さった。

「おい、そこの嬢ちゃん。ギルマスの部屋から出て来たってことは、多額の報酬でも貰ったんだろ。それを寄越しな」

 そう言って、よく分からないことをほざいているクズが立っていた。私は、それを無視して歩き出した、が。

「おい! 兄貴を無視してんじゃねぇ! さっさと金を渡せ!」
「なんなら、俺たちがお前を可愛がってやってもいいんだけどな」

 下品な笑い声を上げて、クズ3人組が私を囲むように迫って来た。正直言って、気持ち悪い。目線も、言動も、全てが不愉快だ。だから、一瞬で終わらせた。

「うるさいです」

 私は、3人の足のすねに蹴りを入れ、立てなくなるようにした。クズどもは、なにか泣き喚いていたが、私にはもう関係のないことなので、無視して宿に帰ってきた。
 宿に着き、いつものようにネールちゃんを愛でてから眠りに着いた。
 そして、夜が明ける頃それは起こった。

「緊急です! 西門から前方10キロ先に多数の魔物の群れがこの街突っ込んできています! その数およそ10万! 冒険者の方々は、すぐに西門に集まってきてください! 繰り返します......」

 私は、眠い身体を起き上がらせ、ギルドへ向かった。眠りを邪魔したやつは、許さん! そして始まる。蹂躙が。

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