マルチな才能を発揮してますが、顔出しはNGで
顔を出すの? 出さないの? いえ両方です 5
  「嫌な予感しかしないんだが…」
 放課後、俺は生徒会室の床に1つだけひかれている座布団の上に座りながらボヤいていた。
 昼休みに生徒会役員と生徒会臨時補充要員は、放課後に生徒会室に集まるようにと校内放送があり、早く帰りたい気持ちをどうにか抑え込んで、こうして生徒会室に来ているわけだが…
「なんで臨時の俺まで呼び出されるのやら… 」「それは我が校の創設以来、前代未聞の一大事だからですわ」「げッ!? 会長…」
 独り言のつもりだったボヤきを、ちょうど生徒会室に入ってきた生徒会長、九条麗香に聞かれてしまった。
 余計なこと言って仕事増やしたくないのに、なんたる失態だ。
 そんなことを考えている俺の事は気にも留めず、会長は部屋の奥にある自分の席へと進み腰を下ろした。
「さて、全員集まっていますわね。それでは、これから緊急の生徒会会議を行います」
「会長、その前に1つよろしいですか!?」「何でしょう?」
 会長の言葉が終わるのを見計らったように、生徒会のメンバーの1人が挙手をし、発言の許可を求める。
「生徒会の緊急会議にどうしてこの臨時補充要員なんかを呼んだんです? 正直、不要だと思いますが!?」
 立ち上がり発言し出したと思えば、いきなり俺を指差して全くもってその通りなことを言い出す。
 言い方に棘があるが、こいつなかなかいい奴だな。
 よし、ここはこいつの親切に甘えてそれとなく退場しようじゃないか。
「わかりました… そこまで言うのであれば俺は何も言うことはありません。臨時補充要員なんぞは速やかに退室すると致しましょう」
「待ってください!」
 座布団から立ち上がり、そそくさと退場しようとすると背後から会長の待ったがかかる。
「今回の件では彼がどうしても必要なのです、よろしいですか?」「わ、わかりました… 」
 いつになくプレッシャーの掛かった台詞に、俺を退室させようとしてくれた親切な生徒は大人しくその場に着席してしまった。
「では入月くん、席に戻ってください」「はあ… 」
 俺は会長に言われるがまま、座布団に座りなおす。 堂々とエスケープできると思ったのに、全く災難だな。
 後、今更だが俺以外の奴らは全員ソファーか椅子に座ってるのに、何で俺だけ座布団なんだ?
 あ、臨時補充要員だからか!
 まるでここは格差社会の縮図のようです。世知辛い世界ですよ…
「それでは改めて緊急会議始めます。兼ねてより文化祭の会議を行って参りましたが、昨日ついに我が校の文化祭にゲスト出演してくださるアーティストが決定致しましたわ」
 ん? 何だそのことか、Godly Placeが六花大付属高校の文化祭に出るってことだよな。
 まあ確かに、水戸さん曰く今やGodly Placeは誰もが知ってる有名バンドになっているらしいから、高校の文化祭に来るとなると大騒ぎにもなるか。
 よーし、ここは自然に驚いて、それとない雰囲気を演出しようではないか。
 驚き過ぎず、かといって冷め過ぎず、普通にテレビでよく見ます~、くらいのファンという設定でいこう。
「それで、そのアーティストとは…?」
 生徒の1人が会長に問いかける。俺も表情筋をほぐしながら、軽く驚く準備をしておく。
「そのアーティストは… 」「……… 」
「スーパーアイドルユニット、《kira☆kira》のお二人が来てくださることになりましたわ!!」
「え゛えええぇぇええ゛ええ!!??」
「す、凄い驚きようですね、入月くん…」
 どどどど、どういう事だッ!? 何がどうなってる!?
 ガップレじゃなくてkira☆kira!? 何でkira☆kiraがうちの高校の文化祭に!?
 え? ガップレは?
 余りの驚きで、開いた口が塞がらない!
「入月くん、もしかしてkira☆kiraの大ファンなのですか?」
「へ? あ! いや、まあ~、そうですねー、はい」
 もう思考が追い付かず、会長が話し掛けてくる言葉に上手く返せない。
 一旦落ち着け! 冷静になるんだ!!
「ちょうど良かったですわ! kira☆kiraの方から、学校の案内と当日のお世話を入月くんにお願いしたいとのことですので、お願いしますわね」
「はあ゛ーッ!!??」
 全然冷静になれませんけど、ガンガン畳み掛けられてるんだけど!?
「な、何で俺なんですか? 会長じゃダメなんですか!?」
「私も何度もそう申し上げたのですが、それが学園祭に出ていただける条件ということで、出演料も謝礼も要らないと言うのですよ」
 ダメだ、全く話が読めない。
 kira☆kiraがガップレのユウじゃなくて、入月勇志の方の俺を名指しで指名する理由は何だ?
 そもそも素顔の俺とkira☆kiraの接点は戦場の友情の全国大会くらいしか…
 まさか!?
 ゲーム大会の時に俺がガップレのユウだってバレたのかッ!?
 だったら何でこんな回りくどい事をするんだ? 脅しか? それにしてもこんなやり方するか?
「とにかく、入月くんには学園祭前日のリハーサルと当日のkira☆kiraの案内をお願い致しますわ。詳細は追ってこちらから連絡致します」
「あの、会長?」「どうしました?」
「風の噂でGodly Placeも学園祭に来るって聞いたんですけど、本当ですか…?」
「あら耳が早いわね、Godly Placeも学園祭に出演が決まっていますわ」
「な、何でそのことは皆んなに言わないんですか?」
「それは…」「そ、それは…?」
「kira☆kiraに比べたらGodly Placeなんて大した事ないですもの」「うん、ですよねー」
 それ以降は学園祭の打ち合わせが持たれたが、臨時補充要員である俺には、あまり関係のない話だった。
 それ以前に、自分の置かれた状況に絶望してほとんど頭に入って来なかった。
 後で歩美に相談しよう…. そうしよう。
 放課後、俺は生徒会室の床に1つだけひかれている座布団の上に座りながらボヤいていた。
 昼休みに生徒会役員と生徒会臨時補充要員は、放課後に生徒会室に集まるようにと校内放送があり、早く帰りたい気持ちをどうにか抑え込んで、こうして生徒会室に来ているわけだが…
「なんで臨時の俺まで呼び出されるのやら… 」「それは我が校の創設以来、前代未聞の一大事だからですわ」「げッ!? 会長…」
 独り言のつもりだったボヤきを、ちょうど生徒会室に入ってきた生徒会長、九条麗香に聞かれてしまった。
 余計なこと言って仕事増やしたくないのに、なんたる失態だ。
 そんなことを考えている俺の事は気にも留めず、会長は部屋の奥にある自分の席へと進み腰を下ろした。
「さて、全員集まっていますわね。それでは、これから緊急の生徒会会議を行います」
「会長、その前に1つよろしいですか!?」「何でしょう?」
 会長の言葉が終わるのを見計らったように、生徒会のメンバーの1人が挙手をし、発言の許可を求める。
「生徒会の緊急会議にどうしてこの臨時補充要員なんかを呼んだんです? 正直、不要だと思いますが!?」
 立ち上がり発言し出したと思えば、いきなり俺を指差して全くもってその通りなことを言い出す。
 言い方に棘があるが、こいつなかなかいい奴だな。
 よし、ここはこいつの親切に甘えてそれとなく退場しようじゃないか。
「わかりました… そこまで言うのであれば俺は何も言うことはありません。臨時補充要員なんぞは速やかに退室すると致しましょう」
「待ってください!」
 座布団から立ち上がり、そそくさと退場しようとすると背後から会長の待ったがかかる。
「今回の件では彼がどうしても必要なのです、よろしいですか?」「わ、わかりました… 」
 いつになくプレッシャーの掛かった台詞に、俺を退室させようとしてくれた親切な生徒は大人しくその場に着席してしまった。
「では入月くん、席に戻ってください」「はあ… 」
 俺は会長に言われるがまま、座布団に座りなおす。 堂々とエスケープできると思ったのに、全く災難だな。
 後、今更だが俺以外の奴らは全員ソファーか椅子に座ってるのに、何で俺だけ座布団なんだ?
 あ、臨時補充要員だからか!
 まるでここは格差社会の縮図のようです。世知辛い世界ですよ…
「それでは改めて緊急会議始めます。兼ねてより文化祭の会議を行って参りましたが、昨日ついに我が校の文化祭にゲスト出演してくださるアーティストが決定致しましたわ」
 ん? 何だそのことか、Godly Placeが六花大付属高校の文化祭に出るってことだよな。
 まあ確かに、水戸さん曰く今やGodly Placeは誰もが知ってる有名バンドになっているらしいから、高校の文化祭に来るとなると大騒ぎにもなるか。
 よーし、ここは自然に驚いて、それとない雰囲気を演出しようではないか。
 驚き過ぎず、かといって冷め過ぎず、普通にテレビでよく見ます~、くらいのファンという設定でいこう。
「それで、そのアーティストとは…?」
 生徒の1人が会長に問いかける。俺も表情筋をほぐしながら、軽く驚く準備をしておく。
「そのアーティストは… 」「……… 」
「スーパーアイドルユニット、《kira☆kira》のお二人が来てくださることになりましたわ!!」
「え゛えええぇぇええ゛ええ!!??」
「す、凄い驚きようですね、入月くん…」
 どどどど、どういう事だッ!? 何がどうなってる!?
 ガップレじゃなくてkira☆kira!? 何でkira☆kiraがうちの高校の文化祭に!?
 え? ガップレは?
 余りの驚きで、開いた口が塞がらない!
「入月くん、もしかしてkira☆kiraの大ファンなのですか?」
「へ? あ! いや、まあ~、そうですねー、はい」
 もう思考が追い付かず、会長が話し掛けてくる言葉に上手く返せない。
 一旦落ち着け! 冷静になるんだ!!
「ちょうど良かったですわ! kira☆kiraの方から、学校の案内と当日のお世話を入月くんにお願いしたいとのことですので、お願いしますわね」
「はあ゛ーッ!!??」
 全然冷静になれませんけど、ガンガン畳み掛けられてるんだけど!?
「な、何で俺なんですか? 会長じゃダメなんですか!?」
「私も何度もそう申し上げたのですが、それが学園祭に出ていただける条件ということで、出演料も謝礼も要らないと言うのですよ」
 ダメだ、全く話が読めない。
 kira☆kiraがガップレのユウじゃなくて、入月勇志の方の俺を名指しで指名する理由は何だ?
 そもそも素顔の俺とkira☆kiraの接点は戦場の友情の全国大会くらいしか…
 まさか!?
 ゲーム大会の時に俺がガップレのユウだってバレたのかッ!?
 だったら何でこんな回りくどい事をするんだ? 脅しか? それにしてもこんなやり方するか?
「とにかく、入月くんには学園祭前日のリハーサルと当日のkira☆kiraの案内をお願い致しますわ。詳細は追ってこちらから連絡致します」
「あの、会長?」「どうしました?」
「風の噂でGodly Placeも学園祭に来るって聞いたんですけど、本当ですか…?」
「あら耳が早いわね、Godly Placeも学園祭に出演が決まっていますわ」
「な、何でそのことは皆んなに言わないんですか?」
「それは…」「そ、それは…?」
「kira☆kiraに比べたらGodly Placeなんて大した事ないですもの」「うん、ですよねー」
 それ以降は学園祭の打ち合わせが持たれたが、臨時補充要員である俺には、あまり関係のない話だった。
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 後で歩美に相談しよう…. そうしよう。
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