人類滅亡と水の国

結城成藍

ⅩⅠ

 自分を必要としてくれる人はもういない。否、自分を必要とするニンゲンはもういない。
 夢だ。これは夢だ。

 もう一度、水面を破ろう。

 犬を連れて海に行くと、犬は砂浜で歩みを止めた。リードを引っ張っても、踏ん張って動こうとしない。

 そんなにこの世界がいいなら、ずっとそこにいればいい! こんな世界よりも水中の方がよっぽどちゃんと息ができる!

 犬が、吠えた。


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