オオカミ少女

ノベルバユーザー212218

遮り


お風呂から上がると、母が台所で夕飯の支度をしていた。
今日は、私の大好きなカレー。
何も知らない母は、ニコニコしながら


『今日は、お風呂早いのね?
そんな急いで、どうしたの?』



『あのね、母さんわたし、、、』


ーガチャー


犯されたの。


汚されたんだ。

言いたかった。
本当に言いたかった。
喉まで出かかった言葉。

その言葉を遮ったのは兄だった。
兄が扉を開けたのだ。


『母さん、友達がレイと一緒にご飯食べたいって言うから連れて行っていい?』


『そんなに仲良くなったの?
じゃあ、カレー持って上行ってあげなさい』


母さんはニコニコしながら答えた。


その言葉で私は血の気が引いた。
死んだ。
もう、ダメな気がする。

私は、大盛りによそられたお皿を持って
また兄の部屋に入った。




助けてと言えなかった。





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