オオカミ少女
遮り
お風呂から上がると、母が台所で夕飯の支度をしていた。
今日は、私の大好きなカレー。
何も知らない母は、ニコニコしながら
『今日は、お風呂早いのね?
そんな急いで、どうしたの?』
『あのね、母さんわたし、、、』
ーガチャー
犯されたの。
汚されたんだ。
言いたかった。
本当に言いたかった。
喉まで出かかった言葉。
その言葉を遮ったのは兄だった。
兄が扉を開けたのだ。
『母さん、友達がレイと一緒にご飯食べたいって言うから連れて行っていい?』
『そんなに仲良くなったの?
じゃあ、カレー持って上行ってあげなさい』
母さんはニコニコしながら答えた。
その言葉で私は血の気が引いた。
死んだ。
もう、ダメな気がする。
私は、大盛りによそられたお皿を持って
また兄の部屋に入った。
助けてと言えなかった。
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