初めての恋

神寺雅文

告白の先に見えたあの日の約束33

「そんなの無いわよ。ただ、準備が必要なの。そもそもあんたね! 女の子の部屋に入る時はもっと気を使いなさいよ! 春香にもこんなことしたら嫌われるわよ?」「悪かったよ。じゃあ、今夜はいいや。僕の部屋に来てくれないか? たまにはさ、二人っきりで話そうぜ?」
 ここは僕が引くしかない。奈緒の部屋はいつでも入れるからな。今大事なのはさっき母さんから聞いたことを奈緒の口から真意を聞くことだ。
「今夜はってなによ。五分待って、着替えてから行くから」「着てるじゃん、それでいいだろ別に。僕の部屋に来るだけなのにナニ気を使ってんだか」「ブラしてないのよ」
 その言葉を聞いて速攻で部屋に戻ったね。薄着でなんか胸元にあるなって気にはなっていたから、奈緒のその発言を聞いて一目散に自室へと飛び込んだ。そして、その映像を網膜に焼き付け、記憶の引き出しに丁寧にしまい込みいつの日か、お世話になろうと思う。
「お待たせ」「ああ、早かったな」「何どうしたの? 顔赤いけど? あと、なんか変な臭いする。イカ? シーフード?」
 ことのほか早くやってきた奈緒が鼻を鳴らして部屋を見渡す。
 しまった、ごみ箱が爆発しそうだったんだ。最近、春香と二人で行動する分、妄想が捗りそのあまりにティッシュの消費量が増加していたのだ。自分では分からなかったが、普段その臭いを嗅ぎなれない奈緒にとっては、男子高生にとっては夜の香水と化した芳醇な男のスメルが気になるご様子。
「ああ、さっきシーフードのカップラーメン食べたからな」「そうなの? なんか生々しいって言うか、生臭いって言うか、ドロっとした液体でもあるんじゃないのって感じがするんだけど?」「く、臭い?」
 なんだこんな質問をしたかって言うと、聞いて驚くな他意はない。純粋にエロ漫画のヒロインの様に「大好き」って返事が来たら儲けもんだと思ったからだ。

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