初めての恋
告白の先に見えたあの日の約束03
「なんで話してくれなかったんだ奈緒? 僕のこと騙してたのか? からかって遊んでたのか?」「そ、そんなことはないけど……、話すタイミングっていうか、みやびが忘れているから言い出せなくて……」「タイミングって、僕と奈緒の仲だろ? なに遠慮してんだよ」
少しだけ言葉に険が入ってしまった。
「ご、ごめん……」
普段あれだけ腕白ガールのくせして、なぜかこのことに関しては一切言い返してこない。まるで、夢の中に出てきた幼少期の奈緒を相手している様だ。
「まってみやちゃん、奈緒は悪くないの。私がお願いしたの言わないでって」「なんでよ、言ってくれればもっと早くいろんなこと出来たのに? 二人ともいつからお互いに気が付いてたの?」
今度は奈緒を庇うように前に出た春香にきつい言葉を投げてしまう。
どうしてか、穏やかな気持ちにはなれない。どうして、素直に喜べないのだろうか。もしかして、原因はこの胸にこみ上げる嫌なものせいなのか。
「私、引っ越しちゃったから高校に上がるまではホント、二人には全然気が付かなかったの。奈緒とはね、一年生のころ偶然委員会が同じで……奈緒から話しかけてくれて……」
思い出のはるちゃんの様に、弱弱しく言葉を紡ぐ春香。その後ろですぐに奈緒が唸った。
「あ~なんか腹立つ! なんであたしたちが怒られないといけないのよ! 拓哉君、一年生の頃の学園便りってある?」「あ、あるけど?」「もってきて!」
急に怒りのボルテージが最高潮に達した奈緒に指示され拓哉が弾け飛ぶが如く勢いでどこかに走っていく。残された男性陣が首を窄めて恐怖に震えている。
「みやび、あんたさ! まず、あたしたちに言うことないの? 心配してみんな残っているんだよ? あんな素敵な時間を台無しにしといて、なに被害者ぶってんのよ!」「な、なんだよ! 僕だって悪いとは思ってるけどさ、このいい様もないもやもやした気持ち、全部知ってた奈緒には分からないよ! 二人して僕の事騙しておいて逆ギレするな!」
本気の喧嘩ってのは久しぶりだった。今にも取っ組み合いの喧嘩に発展しそうなところで手に冊子を持った拓哉が僕らの間に割って入ってきた。
「まあ、まあ、二人の言い分は分かったから、まずは落ち着こう? 雅と春香ちゃんが本当は幼馴染だってなんて、普通に考えたら素敵なことなんだぜ? な、雅、理由も聞かないで怒るなんておまえらしくないぜ~」「まずは話し合いましょう。何がどうなっているのか、出会って日が浅い私たちでは理解できませんし」
拓哉と優香さんが仲介してくれたおかげでどうにか場の雰囲気が穏やかになる。
ソファーから立ち上がり奈緒を見下ろそうとしていた僕は僕で、頭痛がするのでまたソファーへ逆戻り、拳を握って爆発寸前だった奈緒はそれを解き今にも泣き出しそうな春香を抱きよせた。
これじゃ、完全に僕が悪者じゃないか。
「奈緒ちゃん、これをどうするの?」
ムードメーカの性だろう。場の空気をイチイチ気にしてしまう拓哉だからこそ、冷静に事の進行方向を鎮静化へと進ませる。
「委員会の紹介ページ開いて、ボランティア委員会のページに私たち三人が写ってるから」
奈緒に言われるがまま冊子のページをめくる拓哉の指があるページで止まった。
「あ、まじじゃんか」「ホントだ、雅君も春香さんもすっごく近くにいますよ?」
差し出されたページには述べ数十人の学生が写っているにも関わらず、特定の人物はすぐに見つかった。それもそうだ、委員の集合写真で僕らは並んで写っているのだから。
「まじかよ~こんなことあるのか。ごめん、奈緒、はるちゃん、僕が悪かった」「そんなことないよ、私もみやちゃんに言わなかったし……頭を上げてよ」
僕の下げた頭をくしゃくしゃしたのは春香だろうか。幼馴染と分かって気持ち的に近づいた気がしたのは、僕だけじゃなかったようで、自然と互いを呼ぶ名が昔のあだ名になっていた。
少しだけ言葉に険が入ってしまった。
「ご、ごめん……」
普段あれだけ腕白ガールのくせして、なぜかこのことに関しては一切言い返してこない。まるで、夢の中に出てきた幼少期の奈緒を相手している様だ。
「まってみやちゃん、奈緒は悪くないの。私がお願いしたの言わないでって」「なんでよ、言ってくれればもっと早くいろんなこと出来たのに? 二人ともいつからお互いに気が付いてたの?」
今度は奈緒を庇うように前に出た春香にきつい言葉を投げてしまう。
どうしてか、穏やかな気持ちにはなれない。どうして、素直に喜べないのだろうか。もしかして、原因はこの胸にこみ上げる嫌なものせいなのか。
「私、引っ越しちゃったから高校に上がるまではホント、二人には全然気が付かなかったの。奈緒とはね、一年生のころ偶然委員会が同じで……奈緒から話しかけてくれて……」
思い出のはるちゃんの様に、弱弱しく言葉を紡ぐ春香。その後ろですぐに奈緒が唸った。
「あ~なんか腹立つ! なんであたしたちが怒られないといけないのよ! 拓哉君、一年生の頃の学園便りってある?」「あ、あるけど?」「もってきて!」
急に怒りのボルテージが最高潮に達した奈緒に指示され拓哉が弾け飛ぶが如く勢いでどこかに走っていく。残された男性陣が首を窄めて恐怖に震えている。
「みやび、あんたさ! まず、あたしたちに言うことないの? 心配してみんな残っているんだよ? あんな素敵な時間を台無しにしといて、なに被害者ぶってんのよ!」「な、なんだよ! 僕だって悪いとは思ってるけどさ、このいい様もないもやもやした気持ち、全部知ってた奈緒には分からないよ! 二人して僕の事騙しておいて逆ギレするな!」
本気の喧嘩ってのは久しぶりだった。今にも取っ組み合いの喧嘩に発展しそうなところで手に冊子を持った拓哉が僕らの間に割って入ってきた。
「まあ、まあ、二人の言い分は分かったから、まずは落ち着こう? 雅と春香ちゃんが本当は幼馴染だってなんて、普通に考えたら素敵なことなんだぜ? な、雅、理由も聞かないで怒るなんておまえらしくないぜ~」「まずは話し合いましょう。何がどうなっているのか、出会って日が浅い私たちでは理解できませんし」
拓哉と優香さんが仲介してくれたおかげでどうにか場の雰囲気が穏やかになる。
ソファーから立ち上がり奈緒を見下ろそうとしていた僕は僕で、頭痛がするのでまたソファーへ逆戻り、拳を握って爆発寸前だった奈緒はそれを解き今にも泣き出しそうな春香を抱きよせた。
これじゃ、完全に僕が悪者じゃないか。
「奈緒ちゃん、これをどうするの?」
ムードメーカの性だろう。場の空気をイチイチ気にしてしまう拓哉だからこそ、冷静に事の進行方向を鎮静化へと進ませる。
「委員会の紹介ページ開いて、ボランティア委員会のページに私たち三人が写ってるから」
奈緒に言われるがまま冊子のページをめくる拓哉の指があるページで止まった。
「あ、まじじゃんか」「ホントだ、雅君も春香さんもすっごく近くにいますよ?」
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「まじかよ~こんなことあるのか。ごめん、奈緒、はるちゃん、僕が悪かった」「そんなことないよ、私もみやちゃんに言わなかったし……頭を上げてよ」
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