初めての恋
交錯する恋心34
確か、拓哉が言っていたが二の腕の柔らかさは胸の柔らかさに似ていると。
歓声が上がる。水面を叩く鈍い音がしてから水しぶきの音が鼓膜を揺らす。
春香の二の腕が僕の肘に当たる。言いようもない感触が脳に伝わる。
歓声が二度上がる。水面を叩く音が二度聞こえ、水しぶきが二度重なって聞こえた。
拓哉の戯言が本当であるならば、この豊穣の丘陵を揉むとこんな感触がするのか。歓声と共に大きく揺れるたわわに実る二つの果実は、こんなにも名状しがたい至高の感触を僕に与えてくれるのか。
奈緒とはまた違う良さだ。春香のはさらに二回りくらい大きくてお椀型をしており、白いワンピースの胸元がなんとも言えない膨らみを呈していてなんともけしからん。純白と色白の肌の境界線が、僕の視界にチラチラと入ってもう限界だ。
色仕掛けなのだろうか。それは定かではないが、春香の宣言通りに僕はドキドキを通り越してムラムラしてしまった。いや、いささか下品な言い方になってしまった。改めて言うと興奮して腰が引けてしまった。
「どうしたの?」「いや、春香、なんでもない」
奈緒が相手だったらきっとこういった。揉むぞって。ごめん嘘だ。僕にそんな気概はない。改めて、僕が今日デートしている女の子はいろんな意味で強敵なのだ。触れたいけど、触れられない。告白したいけど決して届くことの無い高嶺の花だ。
どうして、春香はこんな僕とデートしてくれているのであろうか。幾ばくもない距離で座りあっていてなんだが、はなはだ疑問でならない。肌と肌、温もりと温もりが伝わり合っているというのに、僕らはただのクラスメイトなのだ。
拓哉は今どうしているのだろうか。もう、告白したのであろうか。
正午になろうとしている午前十一時四十分、二頭のイルカが高々とジャンプし放物線を描き水面に消えていく。数多の男女、強いて言うならカップルや親子連れで賑わう水族館の隅で、僕は同じくどこかでデートしている友人の事を思った。そして願った。
今日、昨日と同じ笑顔で集合できることを。僕らは四人でいつもの仲良しグループなのだ。どんな結果になっても連休明けも四人で行動できたらいいなって願わずにはいられなかった。
「いいよな、普通科の生徒は」「毎日が暇で女とイチャイチャする時間があってさ」
イルカショーも終わり、次のスケジュールを確認していると、周囲の客が退席する喧騒の中でも背後の席からそんな会話が明確に聞こえてきた。
「俺たちは毎日、朝早くから夕方遅くまで部活で、休日だってほとんど遠征試合」「たまの休みも今日みたいに合宿が始まるまでの短い時間だけだし、明日から一か月間学園に泊まり込みでの強化練習だってのにな」「不平等だよな~、学園の名誉の為に汗水たらし努力している人間が、なんでこんなみじめな思いしなきゃいけなんだよ」
どうして彼らの声が明瞭に聞こえたのか。それは、三人の男から発せられる言葉が全て前の席に座っている僕らに向けられていると分かったからだ。嫌味、妬みがふんだんに盛り込まれた雑言を、これ見よがしに僕らに聞こえても良いような体で吐き捨てている。
歓声が上がる。水面を叩く鈍い音がしてから水しぶきの音が鼓膜を揺らす。
春香の二の腕が僕の肘に当たる。言いようもない感触が脳に伝わる。
歓声が二度上がる。水面を叩く音が二度聞こえ、水しぶきが二度重なって聞こえた。
拓哉の戯言が本当であるならば、この豊穣の丘陵を揉むとこんな感触がするのか。歓声と共に大きく揺れるたわわに実る二つの果実は、こんなにも名状しがたい至高の感触を僕に与えてくれるのか。
奈緒とはまた違う良さだ。春香のはさらに二回りくらい大きくてお椀型をしており、白いワンピースの胸元がなんとも言えない膨らみを呈していてなんともけしからん。純白と色白の肌の境界線が、僕の視界にチラチラと入ってもう限界だ。
色仕掛けなのだろうか。それは定かではないが、春香の宣言通りに僕はドキドキを通り越してムラムラしてしまった。いや、いささか下品な言い方になってしまった。改めて言うと興奮して腰が引けてしまった。
「どうしたの?」「いや、春香、なんでもない」
奈緒が相手だったらきっとこういった。揉むぞって。ごめん嘘だ。僕にそんな気概はない。改めて、僕が今日デートしている女の子はいろんな意味で強敵なのだ。触れたいけど、触れられない。告白したいけど決して届くことの無い高嶺の花だ。
どうして、春香はこんな僕とデートしてくれているのであろうか。幾ばくもない距離で座りあっていてなんだが、はなはだ疑問でならない。肌と肌、温もりと温もりが伝わり合っているというのに、僕らはただのクラスメイトなのだ。
拓哉は今どうしているのだろうか。もう、告白したのであろうか。
正午になろうとしている午前十一時四十分、二頭のイルカが高々とジャンプし放物線を描き水面に消えていく。数多の男女、強いて言うならカップルや親子連れで賑わう水族館の隅で、僕は同じくどこかでデートしている友人の事を思った。そして願った。
今日、昨日と同じ笑顔で集合できることを。僕らは四人でいつもの仲良しグループなのだ。どんな結果になっても連休明けも四人で行動できたらいいなって願わずにはいられなかった。
「いいよな、普通科の生徒は」「毎日が暇で女とイチャイチャする時間があってさ」
イルカショーも終わり、次のスケジュールを確認していると、周囲の客が退席する喧騒の中でも背後の席からそんな会話が明確に聞こえてきた。
「俺たちは毎日、朝早くから夕方遅くまで部活で、休日だってほとんど遠征試合」「たまの休みも今日みたいに合宿が始まるまでの短い時間だけだし、明日から一か月間学園に泊まり込みでの強化練習だってのにな」「不平等だよな~、学園の名誉の為に汗水たらし努力している人間が、なんでこんなみじめな思いしなきゃいけなんだよ」
どうして彼らの声が明瞭に聞こえたのか。それは、三人の男から発せられる言葉が全て前の席に座っている僕らに向けられていると分かったからだ。嫌味、妬みがふんだんに盛り込まれた雑言を、これ見よがしに僕らに聞こえても良いような体で吐き捨てている。
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