普通を極めた私が美少女に転生ってそれなんて生き地獄!?
05 掌の上で踊らされる普通に憐れな父×2
『ねぇ貴方ー、兄さんが実家に帰るんだってー私達も合わせて帰れない?』
『おー!丁度この前に俺もヴェルも有給を使えと隊長にどやされてたとこだったしなぁ……』
ーーーーー ──なのに俺とヴェルスは今謁見の間にいる。
勿論ここにいる理由は一つしかない。この国のトップ、まさしく国王殿と会うためだ。いくら宮廷に勤めているとはいえ、国王と会話を交えるなんてそんなのは普通じゃない。 ──完全に異常事態だ。緊張でガッチガチだよ。
「キース・ステアフィール、ヴェルス・グランデ。我が娘の護衛の任、誠に御苦労だった。」
『い、いえ。勿体無きお言葉です』
俺達は何故か、丁度1週間前に特例任務という名目でつい先ほどまでこの国の姫君、シェリア・クルトール・エレオノーラ王女の護衛を任せられていた。
それはもうほんといきなりで。いつも通り職務に就こうとしてた俺達のもとに隊長がやってきたかと思えば──
《ステアフィール、グランデちょっと話がある。陛下から直々にお前達に護衛の任務が下された。お前ら、なんかしたのか……?》
──何もしてねぇわ!
そしてその期間というのも仕組まれたように、帰省する日ともろ被り。明後日から有給を取らせていただきますと一言、言おうとしたその日の出来事です!
しかも、相手は国のトップときた。極め付けに護衛対象は姫君なんてたまったもんじゃない。
この1週間というもの姫に何かあれば俺達は打ち首、晒し首と言い聞かせ全神経を集中させ血眼になって危険がないか粗探しするという絶望に満ち溢れた地獄のような日々だった……
「はははっ!そう謙遜するでない。汝等の噂は我の耳にも届いておる。」
『は、はぁ。』
いや、謙遜するなとか無理ですよね。貴方自分の立場わかってます?ねぇ?わかってます?
というか、そんな事より──
「(お、俺達噂になるような事したかーっ!?)」
「(わ、わからん……とりあえず笑っておくか?)」
「く…くはっ!くはははっ!その顔はわかっておらん顔だな?まぁ、すぐにわかる。」
いや、さっぱりわかんないんですが?くははっ!じゃないですからね、ほんとに!
「まぁいずれにせよ娘も素晴らしい者達だったと褒めておったわ。くっくく……それで、その顔は我に聞きたい事があるのではないか?」
「は、はい。仰る通りおひとつだけ伺いたい事が……」
「うむ、申せ」
「……どうして私達のような姫様の護衛を任されたのでしょうか?」
ヴェルスが俺の代わりにそう答えると陛下はよしきたと言わんばかりにニンマリと笑ってこう聞いてきた。
「まぁ概ね想定通りだが、敢えてヒントを出そう。我と汝等が持つ唯一無二の共通点を探してみるがいい。」
き、共通点!?そんなの同じ人間だって事くらいしかわからないぞ……
いや、マジでわからん。
共通点も何も俺達が国王と一体全体何をどうしたら縁を結ぶというんだ………ヴェルならわかるかと思ったが顔を見た感じこれは当てにできないな。
「汝等の周りで我と同年代のとある人物を探すといい。自ずと答えは出てくるであろう?」
同年代?陛下は確か、45歳になられたはず……いや、同年代ってモロに俺達の親世代……いやいやいや、親父はただの鍛冶屋だからありえんし……残るとすれば………ま、まさかっ!?嫌でもそんな、成功すれば昇格待った無しの完全にプラスになるような事をあの人がする訳…… 
っていうかそもそも陛下と知り合いとかそんなアホな事あるかぁ?……でもなんか否定できねぇえええ!
「ヴェ、ヴェルス。俺もうあの人しか候補がいない……」
「し、師匠とか言うなよ……?」
いや、でもマジでそれしかないんだって。
「くくっ…グランデ、その師匠とやらの名前を申せ」
「ガ、ガルドノック・フランディルドで御座います陛下」
「ほぉ、奇妙な事も有るものだなぁ……くはははっ!我の旧き友の名も『ガルドノック・フランディルド』だ」
──ああ、やられた。
俺たち今最高に間抜けな顔してると思う。
「くっははははっ!ははっ!はぁ……ああ、そうだった、危うく忘れるとこだったな。喜べ、奴から伝言を預かっている。覚悟して聞くといい。」
《娘達や孫と久しぶりに会えるっていうのにお前らがいると興が削がれる。せっせと働けや、俺の娘に手だしやがった不埒なクソ馬鹿弟子どもめ》
「…だそうだ。くくっ、護衛という名の厄介払いご苦労だったぞ、二人とも。」
───あ、ああ……あんのクソじじぃいいいいいっ!
ーーーーー
《遡ること4日前、明朝。》
「それにしたって、折角の帰省なのにあの人たち急に出張が入るなんてほんとついてないよねぇ」
「仕方ないよ、とっても大事な仕事だって言ってたし。まぁ……お父様は、孫を独り占めできるって喜びそうだけどね」
「あっはは、言いそう」
「ねー。……あら、そろそろ馬車が来る時間じゃない?子供達を起こしに行きましょうか」
まさしくそのお父様の謀略に自分達の夫が見事に嵌められているとはいざ知らず帰省すべく身支度を済ます妻達であった。
ーーーーー
「うぇー?」
え、私の出番これだけ?普通にありえなくない?
────え、ほんとに?……あんたバカなの?
『おー!丁度この前に俺もヴェルも有給を使えと隊長にどやされてたとこだったしなぁ……』
ーーーーー ──なのに俺とヴェルスは今謁見の間にいる。
勿論ここにいる理由は一つしかない。この国のトップ、まさしく国王殿と会うためだ。いくら宮廷に勤めているとはいえ、国王と会話を交えるなんてそんなのは普通じゃない。 ──完全に異常事態だ。緊張でガッチガチだよ。
「キース・ステアフィール、ヴェルス・グランデ。我が娘の護衛の任、誠に御苦労だった。」
『い、いえ。勿体無きお言葉です』
俺達は何故か、丁度1週間前に特例任務という名目でつい先ほどまでこの国の姫君、シェリア・クルトール・エレオノーラ王女の護衛を任せられていた。
それはもうほんといきなりで。いつも通り職務に就こうとしてた俺達のもとに隊長がやってきたかと思えば──
《ステアフィール、グランデちょっと話がある。陛下から直々にお前達に護衛の任務が下された。お前ら、なんかしたのか……?》
──何もしてねぇわ!
そしてその期間というのも仕組まれたように、帰省する日ともろ被り。明後日から有給を取らせていただきますと一言、言おうとしたその日の出来事です!
しかも、相手は国のトップときた。極め付けに護衛対象は姫君なんてたまったもんじゃない。
この1週間というもの姫に何かあれば俺達は打ち首、晒し首と言い聞かせ全神経を集中させ血眼になって危険がないか粗探しするという絶望に満ち溢れた地獄のような日々だった……
「はははっ!そう謙遜するでない。汝等の噂は我の耳にも届いておる。」
『は、はぁ。』
いや、謙遜するなとか無理ですよね。貴方自分の立場わかってます?ねぇ?わかってます?
というか、そんな事より──
「(お、俺達噂になるような事したかーっ!?)」
「(わ、わからん……とりあえず笑っておくか?)」
「く…くはっ!くはははっ!その顔はわかっておらん顔だな?まぁ、すぐにわかる。」
いや、さっぱりわかんないんですが?くははっ!じゃないですからね、ほんとに!
「まぁいずれにせよ娘も素晴らしい者達だったと褒めておったわ。くっくく……それで、その顔は我に聞きたい事があるのではないか?」
「は、はい。仰る通りおひとつだけ伺いたい事が……」
「うむ、申せ」
「……どうして私達のような姫様の護衛を任されたのでしょうか?」
ヴェルスが俺の代わりにそう答えると陛下はよしきたと言わんばかりにニンマリと笑ってこう聞いてきた。
「まぁ概ね想定通りだが、敢えてヒントを出そう。我と汝等が持つ唯一無二の共通点を探してみるがいい。」
き、共通点!?そんなの同じ人間だって事くらいしかわからないぞ……
いや、マジでわからん。
共通点も何も俺達が国王と一体全体何をどうしたら縁を結ぶというんだ………ヴェルならわかるかと思ったが顔を見た感じこれは当てにできないな。
「汝等の周りで我と同年代のとある人物を探すといい。自ずと答えは出てくるであろう?」
同年代?陛下は確か、45歳になられたはず……いや、同年代ってモロに俺達の親世代……いやいやいや、親父はただの鍛冶屋だからありえんし……残るとすれば………ま、まさかっ!?嫌でもそんな、成功すれば昇格待った無しの完全にプラスになるような事をあの人がする訳…… 
っていうかそもそも陛下と知り合いとかそんなアホな事あるかぁ?……でもなんか否定できねぇえええ!
「ヴェ、ヴェルス。俺もうあの人しか候補がいない……」
「し、師匠とか言うなよ……?」
いや、でもマジでそれしかないんだって。
「くくっ…グランデ、その師匠とやらの名前を申せ」
「ガ、ガルドノック・フランディルドで御座います陛下」
「ほぉ、奇妙な事も有るものだなぁ……くはははっ!我の旧き友の名も『ガルドノック・フランディルド』だ」
──ああ、やられた。
俺たち今最高に間抜けな顔してると思う。
「くっははははっ!ははっ!はぁ……ああ、そうだった、危うく忘れるとこだったな。喜べ、奴から伝言を預かっている。覚悟して聞くといい。」
《娘達や孫と久しぶりに会えるっていうのにお前らがいると興が削がれる。せっせと働けや、俺の娘に手だしやがった不埒なクソ馬鹿弟子どもめ》
「…だそうだ。くくっ、護衛という名の厄介払いご苦労だったぞ、二人とも。」
───あ、ああ……あんのクソじじぃいいいいいっ!
ーーーーー
《遡ること4日前、明朝。》
「それにしたって、折角の帰省なのにあの人たち急に出張が入るなんてほんとついてないよねぇ」
「仕方ないよ、とっても大事な仕事だって言ってたし。まぁ……お父様は、孫を独り占めできるって喜びそうだけどね」
「あっはは、言いそう」
「ねー。……あら、そろそろ馬車が来る時間じゃない?子供達を起こしに行きましょうか」
まさしくそのお父様の謀略に自分達の夫が見事に嵌められているとはいざ知らず帰省すべく身支度を済ます妻達であった。
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