創造神で破壊神な俺がケモミミを救う

てん

第23話


「おいおい。なんだよそりゃ・・・」

ガランは目の前に光景に驚愕をしながら呟く。

目の前にいる人物は間違いなく犬斗なのだが、頭から生えている耳や臀部から生えている尻尾はまさしく獣人のものだった。

犬斗はスキルであるトランスフォームを発動したことで白虎と同化し、虎の獣人の姿になっていた。

犬斗はこの状態の事を白虎スタイルと呼んでおり、霊獣の中で最も攻撃力の高い白虎と同化したこのスタイルは攻撃に特化したものとなっている。

また白虎の腕力等の能力値を得るだけでなく、白虎の使う固有の能力である雷撃も使用出来るるようになっており、白虎スタイルの犬斗は近距離から遠距離までオールレンジでの攻撃が可能である。

「おいおい。お前も実は獣人だったってオチか?」

「いやいや! 僕は正真正銘の人間です! これは僕の切り札なんですよ!」

「切り札が獣人になる事なのか?」

「だからこれは獣人になってるわけではなくてですね・・・」

とぼけた様子を見せるガランであったが、姿を変えた犬斗ね姿に戦慄を感じていた。

これまで勝てないながらも少しずつ犬斗との実力差が詰まっていると思っていたガラン。

しかし白虎と同化した犬斗の姿を見た時、それが勘違いだったことを悟った。

「ガランさん! 僕の説明ちゃんと聞いてました?」

「あっ・・ああ。わかったよ。とにかくそのスキルが原因なんだろ。」

「わかってもらえて良かったです。では第二ラウンドと行きましょうか!」

犬斗はガランに模擬戦の再開を告げると、目の前で手を組み一気に身体中から放電を開始した。

犬斗の放電で生じたスパーク現象により大きな閃光と爆音が模擬戦場を包んだ。

予期せぬタイミングで放たれた閃光と爆音に視力と聴力を一時的奪われるガランと客席の獣士団員達。

獣士団員の視力が回復し、模擬戦場に視線を向けると、既にガランの剣を弾き、喉元に鉤爪を向けている犬斗がいた。

「俺の負けだ。」

ガランが負けを認めたことでマヒアが模擬線の終了を告げる。

犬斗は同化を解き、疲れたように床に座りこむ。

ガランは弾かれた剣を拾い、悔しそうな顔をしながら天井を眺めていた。

そんな二人の元に観戦していた大地とルルが姿を現す。

「お~い! もうセキュリティ解いていいか?」

「あっ大地殿いつもありがとうございます。」

マヒアが大地に丁寧にお礼を述べると、二人も大地に気付いたようで大地の元へと歩み寄る。

「ガランお前相当強くなってるじゃないか!」

「いや本当ですよ! 単純な能力値と戦闘技術じゃもうガランさんには敵いませんよ。」

「そのお前に今瞬殺されたんだがな・・・」

勝者が敗者を褒めるという構図に苦笑いを隠せないガラン。

大地とルルも空気を読めと言わんばかりにジト目を犬斗に向ける。

大地達にジト目を向けられ居心地の悪くなった犬斗は魔獣の訓練を言い訳に逃げるように模擬戦場を去っていった。

大地は去っていく犬斗を眺めながらガランに声をかけた。

「やっぱり狂戦士化は使えないか?」

「そうだな・・・・・」

大地は密林でガランの治療を行った時、狂戦士化のスキルに気付いた大地は、そのスキルの能力向上効果はそのままに理性の崩壊の部分のみをプログラミングで消していた。

ガランはボレアスについてから大地にその事を教えてもらい、訓練中に狂戦士化を何度も試そうとしたが、狂戦士化した仲間の光景や狂戦士化した時の理性が飛んでいく感覚がトラウマとなっているせいで発動させることが出来ていなかった。

「もしさっきの犬斗との模擬戦でガランが狂戦士化出来ていたなら、勝てないまでも瞬殺なんてことにはならなかったはずだ。」

「それは俺が一番わかってる。けれど出来ない ものは仕方ないだろ・・・」

「まぁ出来るだけ早いうちに狂戦士化は使えるようにしとけよ。守りたい者がいるなら尚更必要な事だろ。 なぁマヒアもそう思うだろ?」

「確かにそうですが、何故私に?」

「なっお前!」

大地はからかうようにマヒアに話を振る。

マヒアは話を振られた理由が分からず首を傾げている。

ガランは顔を赤くしながら、大地に突っかかっていくと、大地と肩を組み、小声で内緒話を始める。

「お前・・まだアタックしてないのか?」

「いや違うぞ! 最近では一緒に食事をとっている。」

「それって、訓練終わりで時間的に合うからなんじゃ・・」

「それでも今までは食事も別でとっていたんだから、大した進歩だろうが!」

「微々たるもんだと思うがな・・・・まぁ面白可笑しく応援してるぞ。」

「急にいじってくるのはどうにかならんか。心臓に悪いぞ・・・」

「ガラン!話の途中で悪いが、そろそろ訓練の時間だ!」

小声で話をしているガランに訓練時間が迫っていることに痺れを切らしたマヒアがたまらず声をかける。

ガランは慌ててマヒアの元へ戻ると、訓練場の方へ走っていった。

するとガラン達とすれ違う様にフィアとゼーレが模擬戦場に入ってくる。

「大地さんお待たせしてしまいすみません。」

「大地君! 待ったかな!?」

「いやついさっきガランと犬斗の模擬戦が終わったところだ。

お前達の方も農業と酪農の方は放っておいても大丈夫なのか?」

「最近はもう私達がいなくても基本的な事ならみんなだけでも大丈夫だよ! 緊急時とかになればさすがに戻らないといけないけど、今日は族長が居てくれるから。」

「そうかじゃあ時間も勿体ないし始めるか!」

大地は三人の準備が出来ているのを確認すると、人型ゴーレムを三人の目の前に一体ずつ再現していく。

ゴーレムを再現し終わると三人がゴーレムとの戦闘訓練を始める。

実は三か月前に大地はルルとゼーレとフィアの三人から戦いの指南を依頼されていた。

ガランと同じであの密林での出来事に何か思うところがあったのだろう。

真剣な表情で頭を下げる三人に大地も断る事が出来ず、それぞれの合間を見て戦闘訓練を行っていた。

実際に訓練をしてみてわかった事だが意外と三人とも戦うことに関してそれなりの適性を持っていた。

ゼーレは遠距離型の魔法使いタイプで、イメージの構築が非常に上手かった。

風魔法は火や水みたいに明確な形が存在しない為、本来イメージのしにくい属性なのだが、ゼーレは風魔法を自在に扱えており、上昇気流を発生させ空中移動したり、自分の周囲のみに風の障壁を作ったりと繊細なイメージが必要な魔法も問題なく使えていた。

しかし風魔法は他の属性魔法に比べて攻撃力が低いため、ゼーレには取り扱いが簡単で、なおかつ軽量なハンドガンを持たし攻撃力を高めると共に、ヒットアンドアウェイの戦い方を現在教えている。


フィアは逆に完全な近接型だった。

遠隔操作スキルを持っていた為、てっきりゴーレムを作り距離を取りながら戦うのが得意なのだと思っていたのだが、あまり距離が離れてしまうと操作が難しくなるらしく、そんな器用な事は出来ないと言われた。

実際にやってもらったのだが五メートルも離れるとゴーレムの動きがかなり緩慢な動きになっていた。

農作業などを手伝わせるなら問題はないが、戦闘となるとただの的になってしまう。

それでも近距離ならば遠隔操作も辛うじて出来るみたいだった為、フィアには自分の周りに大地作のディシント鋼製バックラ―を展開させ、防御はバックラ―の遠隔操作でしのぎながら武器である大槌での一撃必殺の攻撃をおみまいする戦い方を教えている。


ルルは欠点らしい欠点のないオールラウンダー型だった。

使い勝手の良い水魔法に敏捷強化を持っているルルには小型の銃剣を持たしており、近距離ならば敏捷強化を利用してヒットアンドアウェイで戦い、遠距離ならば水魔法で相手の動きを阻害しながら狙撃するなど、多種多様な戦い方が出来ている。

最近では敏捷強化を使い一瞬で距離を詰めてショットガンをぶっ放すなど新しい武器に新しい戦法を色々試しているみたいだ。

もしかしたら銃の扱いが今一番上手いのはルルかもしれない。


大地は三人の訓練の様子を見ながら訓練成果が出ているかステータスの確認を行う。


名前 ゼーレ=ディシント
種族 兎人族
年齢 17歳
能力値
腕力C 体力C 敏捷性B 魔力A
「水魔法」「昇華聴覚」


名前 フィア=ディシント
種族 狐人族
年齢 16歳
能力値
腕力A 体力C 敏捷性B 魔力D
「土魔法」「遠隔操作」


名前 ルル=ディシント
種族 猫人族
年齢 16歳
能力値
腕力B 体力B 敏捷性あA 魔力C
「水魔法」「昇華敏捷」「命中補正(銃)」


『獣人ってみんな潜在能力高いのか・・・・』

ガランの騎士団の獣人達より強いステータスに三人の潜在能力の高さに驚きつつも、一生懸命に訓練を行う三人の姿に素直に感心する大地。

ガランと同じように彼女らも守りたい者の為に少しでも戦えるようにしておきたいのだろう。

そんな彼女達を見ながら、大地もいずれ訪れるであろう帝国との戦いに向け自身の訓練を開始した。

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