VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい

夏月太陽

50.衝撃の事実&添い寝


 ギルドホームへ逃げ帰った僕とモモ。そのすぐ後、ハヤト達が戻ってきた。

 帰ってくるなりハヤトが怒った。

「もう、リュウさん! なんなんですか! なんでそんなに目立っちゃうんですか! 呪いですか? 呪いなんですか?」
「いや、そんな呪いが有ってたまるか。順調に集めた結果なんだから仕方ないでしょ」

 僕がそう反論している横で、モモがヒカリに愚痴を溢(こぼ)していた。

「ねぇ、ヒカリちゃん。リュウさんがね、二人も女の子からキスされたんだよ? どう思う? 不潔だよね。幾らリュウさんがカッコいいからって、私の前でキスすること無いよね?」
「うん、まぁ、そうね……」
「でしょ? でも、寛大な私は添い寝2回で許すんだよ! 偉いよね!」
「うん、まぁ、そうね……」

 ヒカリがめんどくさくなって「うん、まぁ、そうね」しか言ってない!?

「そうだ、ハヤト。なんでNPCなのにキスしてきたのかな?」
「なんで頬にを2回も言ったのかわからないですけど、屋敷の親子と学校の女の子はNPCではなくエキストラさんが演じてるので、キスされてもおかしくないと思いますよ?」
「「えっ?」」

 えっ? ということは、みきさんのあれはマジの生関西弁だったってこと? 

 衝撃の事実に困惑していると、モモが物凄い形相で迫ってきた。

 あれ? 気のせいかな? モモの後ろに般若が見える気が……。

「リュ・ウ・さ・ん?」
「は、はい、なんでしょうか?」
「浮気、しないでくださいね?」
「する気無いから!?」
「じゃあいいです。私はリュウさんを信じます」
「あっ、はい」

 これ、浮気したらどうなってしまうのだろうか……。いやまあ、浮気する気、さらさら無いけど……。

 僕とモモのやり取りを、ハヤト達は、とても温かい目で見ていた。

 なんだその目は!? 哀れみか? 哀れみなのか?

 一人被害妄想を膨らませていると、いつの間にかログアウトすることになっており、次々にログアウトしていっていた。

 僕は直ぐ様シアンとブランを巣に入れて、後を追うようにログアウトした。


 ◆◇◆◇◆


 夜になり、それぞれ部屋へ行って寝ることになったので部屋に行って寝ようとしたところへ、ドアがノックされた。

 ……うん、わかってる。約束したし、覚悟はできてる。

 いやまあ、添い寝するだけなんだけどね……。

 ドアを開けると、上下ピンクのパジャマに、リ〇ックマらしきクマのぬいぐるみを二つ抱いた桃香が立っていた。

 何故に二つ?

「来ましたよ! 第一回、添い寝の時間が!」
「それはそうなんだけど、なんで二つもぬいぐるみ持ってるの?」
「龍さんにも抱いてもらおうと思って! 抱いてもらったら龍さんの匂いが……あ、いえ、なんでもないです!」

 後半なんか危ない発言が聞こえた気がするんだけど……気のせいかな?

 まぁとにかくそういうことらしいので、ぬいぐるみを一つ受け取りながら桃香を部屋へ入れた。

 というか、受け取ったぬいぐるみが異様にモフモフ過ぎて、つい顔を埋めてしまった。

 チラッと桃香を見ると、「フッ、計画通り……!」的な顔をしながらガッツポーズをしていた。

 は、嵌められた!?

 ……まぁ、何になのか全くわかってないから、ノリでそう思っただけなんだけど。

「さ、龍さん、寝ましょう!」

 妙に上機嫌でそう言った桃香は、僕のベッドにダイブした。

「ほら、早く!」
「……はいはい」
「“はい”は一回です!」

 桃香にムスッとしながらそう言われるも、僕は変えずに「はいはい」と返事をしながら桃香の隣に横になった。

「もう! 一回って言ったのに!」
「いや、それより、顔近い……」
「それぐらい、いいじゃないですか。減るものじゃないですし。このままキスしてもいいんですよ?」

 そう言った桃香の顔が悪戯っ子のようなしめしめと思っているような顔だったので、ビックリさせようと思って、本当にキスをした。

 すると、桃香の顔がみるみるうちに赤くなっていった。

 顔を離すと、桃香は慌てふためいた。

「えっえっ? い、今の、き、キス……!? な、なんで!?」
「しても良いって言ったからだけど?」
「い、言いましたけど……あれは、その……龍さんをからかおうとして……」
「うん、わかっててやったよ。桃香を驚かせようと思って」

 僕がそう言うと、桃香はしてやられたといった顔をした。

「うぅ、龍さんの意地悪……」
「先にからかった桃香にも非があると思うけど?」
「……けど、キス自体は嬉しかったです……」

 桃香は僕に背を向けながらそう言うと、次の瞬間には寝てしまっていた。

 早っ!? 疲れてたのかな?

 そんな桃香を見て苦笑いした僕は、部屋の電気を消してからベッドに横になり、眠りについた。


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