腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

43話 昔話


世界樹頂上。
「来たね…。優くん。」
「…久しぶりだな…エト。」
「…言ってなかったね。僕の神名は万物神エーテリア。」
「知るか。俺の中でお前はエトだ。」
「ふーん、まあどっちでもいいや。」
「…頂上に着いた時にサラと小宮がいなくなった。どういうことだ?」
「心配しなくていいよ。二人とも君たちの狙い通りの相手と向き合っているはずだから…。」
「…邪神は?どこにいる?」
「彼女は戦わないよ。あくまで相手は僕一人だ。」
「そうか…。」
「…ねえ、優くんはさ、なんのために戦うの?」
「分かり切ったことを聞くな。ミーシェのためだ。」
「僕を倒せばミーシェちゃんが目を覚ますとでも?」
「どうだろうな…。だが手段はお前が知ってるだろう?」
「どうだろうね。知らないかもよ?」
「万物神様が何言ってんだよ…。」
「お、ようやく僕を敬う気になったの〜?」
「なってねえよ。」
「もうっ、優くんは相変わらずツンデレなんだから〜。」
「うるせえ!…エト…なんでこんなことを…?」
「…それを聞いてどうするの?」
「いや…友として話でも聞いてやろうかと。」
「ふふっ…軽く聞くねぇ…。いいよ…昔話…聞かせてあげる。」




何年前だろうねぇ…もう覚えてないや…。
僕とハーディスの出会いは静かだったよ…。


???年前
とある森

「ひどい怪我だね…。大丈夫?」
「!…ダメ…近づかないで…。」
「…どうして?」
「…それは…」
「これは…君がやったの?」
少女の周りには何体もの魔物が倒れていた。
「そ、それはっ…」
「…近づいても…いい?」
「…ダメ…よ…。私に近づいたら…あなたは」
「死ぬ?君の…力で?」
「っ…」
「名前は?なんて言うの?」
「ハー…ディス…。それが…私の名前…。」
「ハーディスか…。いい名前だね。」
「!」
僕はあえてハーディスの頭を撫でた。
「どう…して?どうして私に…触れるの?」
「…名乗ってなかったね。僕は万物神エーテリア。君を探していたんだ…邪神ハーディス。」
「…エー…テリア…」
「ふふ…面白いね…。やけに木々が枯れている森があると思ってきてみれば…いい収穫だ…。」
「何を言って…」
「僕は君に触れることができるよ。」
そう言って頭を撫でてやった。
「っ…私…あなたに触れても…大丈夫…なの?」
「うん。僕は特別だからね。」
「っ…うう…」
「ちょ、ちょっと?大丈夫?」
「うわぁーん!!」
「…へ?」
ハーディスは僕に飛びついてきたよ。
「触れる…私…あなたに触れてるんだ…!」
「え?ちょ、本当にどうし…」
「ううっ…ずっと寂しかった…!でも…でも人里に降りれないから…私…ずっと一人で…!」
「…ぼ、僕と…来るかい?」
「…え?」
「そんな間抜け面で見るなよ…。涙拭きなよ…。それよりも一人が寂しいんだったら僕と来ればいい。」
「あなた…と?」
「うん。僕なら君と居ても平気だしね。」
「…いいの?」
「別に…どうせ暇だし。話し相手が欲しかったところだ。」
「い、行く!行きます!行きたいです!」
「あははは…面白いね…君は…」
「ハーディス…」
「ん?」
「君じゃなくて…私はハーディス。」
「…はぁ…分かったよ…ハーディス。僕と一緒に来るかい?」
「行くっ!私を…連れ出して、エーテリア!」


今思うとなんであんなこと言ったんだろうね〜…。
でも…僕とハーディスは出会った。



「で?連れ出したはいいけど…君は何したいの?」
「…私は普通の暮らしがしたい…。」
「その力がある限り無理だね。」
「っ…そう…だけど…」
「…これ。」
「…え?」
僕はハーディスに首飾りをプレゼントしたんだ。
「これは僕が作った特殊な首飾り…。君の力を…抑え込める。」
「それって…」
「まあつまりはつけている限りは普通に暮らせるってこと。」
「嘘…」
ハーディスは恐る恐る木に触れる。
「触れる…触れ…てる…。」
「そのためのものだからね。」
「エーテリア!」
「っと…君はいちいち抱きつくくせを直してくれないかな…。」
「だって…!触れる…!温もりを…感じれてる…!」
「あははは…本当に…君となら退屈しなそうだ…。」



本当に…なんでこんなことしたんだろうね…。
それでもハーディスには僕にないものがあった。



「それで普通の暮らしってわけね…。」
僕は何故か万物神なのに普通の一軒家で暮らしてた。
「うん!ふふ…」
ハーディスは満面の笑みで僕の前に座る。
「んふふ…」
「…何この状況…」
一軒家のテーブルでお互い向かい合う。
「お腹減ったな〜。」
「…僕に作れと?」
「えへへ…」
「…ん。」
僕はひょいっと手を振る。
すると目の前にご馳走が。
「わぁー!…ってダメぇ!ちゃんと作って!」
「えぇ…」
「もうっ!…普通の暮らししたいの…ダメ?」
「はぁ…分かったよ。なら一緒にやろう。」
「え?」
「ほら、早く。」
「う、うん!」


そうか…楽しいんだな…僕。



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コメント

  • KIA

    ハーディスも結構可愛い

    3
  • かつあん

    『僕は君に触れることがれきるよ』→『僕は君に触れることが出来るよ』では無いですか?

    いやー、神達にも複雑な事情がありそうですねー。人里に降りたら邪神だとバレちゃったとか?w

    2
  • イルネス

    …ハーディスも結構好き

    1
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