腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが
55話 小宮&松山side それぞれの再会
「…陸…なの…?」
「由希…。」
由希の中で熱いものが込み上げる。
会っていないのは3週間くらいだろうか?
短いと思うものもいるかもしれない。しかしその3週間の間に色々な事があった。ブラッドウルフ達と1週間共に暮らしてきた。人の食べ物ではない魔物を食べたり、家族のような温かさを知ったり、頼れるリーダーとの別れもあった。辛い事ばかりではなかったがとても長く感じられた3週間だった。
「…陸…!」
由希は陸に飛びついていた。
陸side
自分の胸の中で堪えながらも泣いている由希。
正直言って実感がわかない。陸は現実には数秒しかたっていなくとも地獄では500年の年月をすごしたのだ。
「君は…本当に由希か…?」
「…もう…何言ってるのよ…。私は私だよ?陸…。」
「っ…!」
「…ちょ…陸?」
陸は由希をしっかりと抱き返す。
「ようやく…君に会えた…!生きててくれたんだな…由希…!」
「…ええ。」
「何度君に会いたいたいと思ったか…!由希…!」
「…陸…。」
「待たせたね…由希。」
「…遅いよ…陸…。」
「…すまない。」
「…でもいいの。こうしてまた会えた。」
「ああ。もう君を1人にはしない。絶対に僕が守ってみせる。」
「…うん…!」
2人は互いの唇を重ねた。
「ところで由希。君を探している時…ラショウという神にあった。君の知り合いか?」
「…!、師匠に?!」
「ああ。」
「…たく…あの人は…何も教えてくれなかったわ。」
「君は別れたあと…何をしていたんだ?」
「…そうね…話すと長くなるわよ?」
「ああ、聞かせてくれ。」
「…分かった。」
2人は互いに話し合った。これでの事、自分がどのような経験をしたか。気づくと森には夜の帳が降りていた。
「そうか…狼の元で…。」
「…ええ、だから狼神のラショウ様に弟子入りしたってわけ。…陸は…想像しただけでも気が遠くなるような年月ね…。精神世界で500年体感するなんて…。」 
「そうだな…。それでも耐えれたのは…君のおかげたよ、由希。」
「…え?」
「辛い時はいつも君のことを思い出していた。君という支えがあったから僕は乗り越えることが出来たんだ。」
「…そんなの…私もよ。私も陸が…陸を信じてたからどんな困難も乗り越えることが出来たの。陸が私に力をくれたの。」
「由希…。改めて言う、本当に…生きててくれてありがとう…!こうしてまた会えて…僕は本当に嬉しい…。」
「…陸こそ…ありがとう…。私を信じてくれて。こうして私と再会してくれて。」
「ああ、雰囲気で分かる。強くなったんだな…由希。」
「…陸こそ…でも…」
「ああ、分かってるさ。こんなもんじゃまだ満足なんてできない。」
「…もっと…強くならなきゃ…!」
「由希…僕はこの森をさらに進む。君はどうする?」
「…聞かなくてもわかるじゃない…約束したでしょ?一緒に強くなるって。菜々の…分まで…!」
「ふ…その事だが…喜べ由希、江ノ島は…生きてる。」
「…!…え…?」
「そうだろう?レイ。」
「…ああ、嘘は言っていない。」
陸の剣が輝き、銀髪の女性が姿を現す。
「…あなたは…」
「お初にお目にかかる、勇者由希。私は主、リクの聖剣として共にいるものだ。主にはレイと名付けてもらった。レイと呼んでもらえると助かる、勇者由希。」
「…え、ええ…。…なるほど、あなたが陸が言っていた…。レイ、私のことは由希でいいわ。」
「む…しかし主の奥方であろう?そんな不敬なことは…」
「…お、奥方って!まだ結婚してないわよ?!」
「ふふ…すまない、少しからかいがすぎたな。そういうことならよろしく頼む…ユキ。それにしても「まだ」か。主も中々隅に置けないな。」
「うるさい…。」
「…それよりも…どういう意味?菜々は…死んでないの?」
「ああ、確かだ。安心しろ。」
「…そう…なのね…!よかった…菜々…!」
「やっぱり君の言った通りだったよ。江ノ島は生きていた。」
「…ええ。」
「だが安心はできんぞ?」
レイはそう切り出す。
「…ええ。」
「そうと決まればやることは一つだ。とっとと奥まで行って…強くなるぞ。由希。」
「…ええ…!」
「さて、随分遅くなった。そろそろ休もうか。」
「…そうね。…ねえ陸…。」
「どうした?」
「…今日はあなたと一緒に寝たいの。」
由希は顔を真っ赤にして切り出す。
「…は…は?」
「…安心して寝れるから…お願い…ダメ?」
「っ…。」
由希は上目遣いで頼む。
「…す、好きにしろ…。」
「…ふふ…ありがと。」
2人はひとつの毛布に二人で入り、木にもたれかかる。
「…ふふ…やっぱり安心する…。」
「そ、そうか?」
「…うん…。」
コテン…
「!」
由希は陸の肩に頭を置く。
「…ダメ?」
「か、構わないさ。好きにしてくれ。」
「…好きにしていいの?」
「な、何言って…!」
由希は陸の胸に顔を埋める。
「…由希…。」
「…う…寂し…かったよぉ…陸…!」
「僕もだよ…。」
「…すごく不安だった…あなたがいなくて私…私…!」
ぽん…
「…!」
陸は由希の頭に手を置く。
「1人にしてすまなかった。僕は…もう君を1人にはしない。」
「…陸…!」
由希は陸に抱きつく。
「…しばらく…こうしてたい。」
「ああ、いいよ。僕も…こうしてたいからな。」
「…ふふ…少し素直になってきたね…陸。」
「うるさい…何百年も会えなければ甘えたくもなる…。」
「…陸…。」
「由希…。」
2人は唇を合わせ、そのまま心地よい眠りにつき、疲れを癒すのだった。
やっと投稿出来ました…。と思いきや…テスト一週間前…!
すいません更新頻度変わらないかもです〜。
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コメント
ノベルバユーザー515118
あぁぁぁぁぁ(可愛い&感動で前が見えない)
優しい心
初見でここまでずっと読んでました!
めっちゃ面白いです!これからも頑張ってください。
かつあん
こういう感動の再会系好きだけど、ちょっと感動しすぎてしまう...