腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

50話 小宮&松山side レイ

最果ての洞窟最下層。
陸は声を頼りに進んでいた。
(ここに眠る歴史…。一体何者なんだ?)
しかし…
「流石は最果ての洞窟だな…。」
数匹の魔物が集まってくる。
「どれもS級以上か…。面倒だね…。」
「キシャア…」
「グルル…」
「ブルル…」
コボルトロード、メイジミノタウロス、ブラッドウルフなど様々な魔物が集まる。
「それにしても…」
陸は辺りを見渡す。
「…多すぎやしないか?」
この狭い空間だけでも50匹は確認できた。
「この先に…何があると言うんだ…?」
陸は剣を構える。
「一筋縄ではたどり着けないということか…いいさ…全員まとめてかかってこい…!」
魔物の群れと陸が衝突した。


「はあ…はあ…。ふう…流石はS級…手こずった…。」
壁には魔物の血が飛び散っている。
「ふむ…痛みは感じない…。地獄を乗り越えた賜物だな…。」
称号、地獄の覇者の効果だ。
「血が出ているな…。」
陸は血が出ている場所を焼いて塞ぐ。
「ははは…普通ならもっと痛いんだろうな…。」
痛みをあまり感じない体質になったからこそできる芸当だ。
「さて…もっと先だな…。」
陸はさらに奥に進んだ。


かなり道が狭くなってきた。
陸は体を横にして進む。
「この先に…何が…。っ!」
突如陸の右目に激痛が走る。
「っ!…あぁ!!」
称号により痛みには強くなっているはずだ。しかしそれでも目玉を抉られるような痛みはが襲った。
「っ…くっ!…がぁ…!…はあ…はあ…」
痛みが引いた。
「なんだったんだ…今のは…。」
陸の右目はブラッドウルフとの先頭で傷つき、ほとんど景色を映していなかった。
「今になって…なんなんだ?」
陸はさらに入り組んだ狭い道を進んで行く。
どれくらい進んだだろうか?
「…っ…またか…!」
再び右目に激痛が走る。
「っ…クソ…。」
陸は壁に手を付き、右目を抑えながらしゃがみこむ。
「シャー…」
魔物の鳴き声が聞こえた。
「くっ…こんな時に…」
狭い道を通って陸の元にやってきたのはS級のよろいムカデだった。
「っ…邪魔…するな!」
「シャー!!」
陸の手から闇の波動が放たれる。
よろいムカデは避ける場所もなく、吹き飛んだ。
「はあ…はあ…やっと引いたか…。」
今撃った魔法は闇属性魔法、ダークマターである。
「…そう言えば…君とアーメルであった時に初めて見た魔法がこれだったな…。まさか人間である僕が闇属性魔法を使う時が来るなんてね…僕も十分人外だな。」
陸は立ち上がり前を見据える。
「痛み程度で止まってられない…。藤山…君にはもう絶対負けない…!」
先程の声を頼りにまた歩き出す。


しばらく歩くと開けた空間に出た。
奥には祭壇のようなものが見える。
「っ!…があああああああああぁぁぁ!!」
先程とは格が違う痛みが右目を襲った。
「っ!くぅっ!!が…あぁ!」
右目が赤く輝く。
「どう…なってるんだ…!?」
────聞こえるか?勇者…。
「この声…!聞こえてる!どうなってるんだ?!これは…!っ…がぁ!!」
────頼む…私を…私を取ってくれ…!
「何を言って…!」
陸は祭壇にあるものに気づく。
祭壇には1本の剣が刺さっていた。
「あれを…取ればいいのか…?」
────頼む…もう孤独は…嫌だ…。
「…分かった。」
陸は祭壇に近づく。
「っ…!くっ!」
近づく度に痛みがどんどん増していく。
そして剣の柄を掴む。
「!!」
その瞬間陸の中に光が飛び込む。
「ぐっ…ああああああああぁぁぁ!!」
────頼む…耐えてくれ…。私のわがままのために…済まない…あるじよ…。
(主?何が…どうなって…)
「ぐあっ!っ…ふざけるな…こんな所で…」
陸は剣に力を込める。
────抜いてくれ…主…。
「うおおおおぉ!!」
陸は全力で剣を引き抜く。
剣は光を放ちながらその刀身を現していく。
そして抜き切った頃にはこの空間を神々しい光が包み込んでいた。
「…っ…くっ…」
陸はそのまま意識を失った。


────…じよ、ある…よ。主よ…目を…覚ましてくれ。
「…っ…陸は右目の痛みで目が覚める。」
「見えているか、主よ。」
無機質な女性の声がする。
「ん?」
「やあ、主よ。」
声がした方を見る。
「!…な、だ、誰だ!?」
そこには銀髪の女性が立っていた。
それも…
「な、なんで服をきていないんだ?!」
「服?すまない、持っていないんだ。」
「っ〜!これを羽織れ!」
陸は防寒用の布を渡す。
「面倒をかけてすまない。」
「…それで?君は何者なんだ?」
「私は…ここで封印されていたものだ。」
「なるほど…この剣でここにつなぎ止められていたということか?」
「少し違うな…。その剣は…私自身だ。」
「…は?」
「主よ、その剣は…主に使ってもらいたい。」
「何を言っているんだ?君は。」
「私の本体はその剣だ。名をレイラの聖剣と言う。」
「レイラの…聖剣…?」
「そうだ…。その剣は…先代勇者レイラが使っていたものだ。」
「!、先代の…勇者が?」
「ああ…しかし…1人になってしまった…!あいつは…レイラは…私に何も告げずにどこかへ去ってしまったのだ…!孤独だった…。私は…寂しかったのだ…。」
「…先代勇者は…この世にはいないよ。」
「…分かっているとも。分かっているから…主を呼んだのだ。」
「…」
「頼む…私を…使ってくれ…!もう1人は…嫌だ…。」
「ふ…随分と寂しがり屋な聖剣だな…。」
「…」
「僕の強さになるというのなら…喜んで君を使おう。」
「!…主…。」
「僕には果たさなければならないことがある。使わせてもらうぞ…聖剣。」
「聖剣では堅苦しい…名を…くれないか?」
「名前か…それならレイラから2文字取って…レイ…というのはどうだ?」
「レイ…。いい名前だな。」
「気に入ってくれたならいい。僕の力になってくれ。」
「喜んで主の力になろう。我が主…リクよ。」
「よろしく頼む。」
「…ああ。」
レイはそのまま光の粒子となり聖剣に戻って行った。




遅くなりすいません!
修学旅行なので4日ほど出せません〜!
質問コーナーですが…。
どうしましょう?
質問少なすぎて…ま、集まったらやります!
フォローorコメントよろしくお願いします!

コメント

  • 熊猫

    主よ 目を覚ましてくれ」のあとの「」の位置が気になる

    0
  • ばけねこ

    レイラとセバスツァンの妻のレイナは関係があるのかな?

    1
  • かつあん

    ブラッドウルフとの【先頭】ではなくて【戦闘】では無いですか?

    2
  • 天宮ソルト

    1コメ!続きぃぃ!松山アンド小宮には強く放って欲しいがゆうよりは弱いままで死んでくれ……

    7
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