腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

43話 小宮&松山side 精霊魔法

「ククク…いい加減観念しろ…。」
「ダ…メ…!」
シンデレラは皆を庇うように前に立った。
「シンデレラ!ダメです!!」
ポチが叫んだ。
「ほう?まずはお前から死ぬか?」
「っ…!」
5匹のナイトメアウルフがシンデレラを囲んだ。
「みんなは…逃げて!」
「シンデレラ!ダメっす!」
「そんなの…嫌だよ…!」
「お願いよ!私には…これしか…出来ない…から!」
「ふん…虫唾が走る。とっとと死ね…!」
シンデレラは目を瞑る。
ナイトメアウルフの凶刃が振り下ろされた。

スバン!

ボト…
「…あ?」
地面に落ちたのはナイトメアウルフの腕だった。
「あ…があ!…どうなってやがる?!腕が…腕があ!」
「…その子達から…離れなさい…。」

声がした方を向く。
そこには7色の光をまとった由希が立っていた。


「ありえねぇ!てめぇ…どこでそんな力を!」
「…ドンが命懸けで作った隙…無駄にはしない…!」
「くそがァ!!」
ナイトメアウルフは一斉に由希に飛びかかった。
「…フレイムスピリット。」
「!」
ゴオッ!
当たりを炎が埋め尽くす。
「馬鹿が…俺たちに炎が通じるとでも…何?!」
由希が放った炎はナイトメアウルフの毛皮を確かに燃やしていた。
「嘘…だろ?俺たちの毛皮は…最上級魔法ですら耐えるはずだ!なのに…なんで?!」
「…普通の炎…ならね…。」
「!…まさか…お前…。」
「…エレメンタルスピリット!!」
「その魔法…まさかてめえ!見つけやがったのか?!」
「…ドンの仇よ…。潔く私に撃たれなさい。」
「ありえねぇ!その魔法は…神の領域を侵す魔法だ!そんなの…てめえに使えるわけが…!」
「…終わりよ…。」
「くそがァ!」
ナイトメアウルフは爪から斬撃を放つ。
「…サンクチュアリ。」
「!」
「聖…域?まさか…本当に…てめえは神の領域に行ったのか?し、神級魔法…」
「…せめてもの救いよ。安らかに…。スピリットエンブレム。」
「…精霊…魔法…かぁ!」
由希から放たれた光はナイトメアウルフを消滅させた。


「…はあ…はあ…っ!」
ドサ…
由希はその場に倒れた。
「由希!」
「…あなた達…大…丈夫?」
「由希こそ!」
「…私は…大丈夫…よ…」
「由希!!」
由希はそのまま意識を手放した。


────まさか最初から使いこなせるとは思わなかったよ。由希。
「…ここは…?」
────由希の意識の中…だよ。由希が私を受け入れたんだ。君の意識の中ぐらい自由に入れるさ。
「…助かった。あなたのおかげよ。ありがとう。」
────礼には及ばはいさ。君は私を取り込んだんだ。君の意思が私に興味を持たせた。君の…優しさがね。
「…賭けだったけどね…。」
────もう一度説明するね。私が君にたくした魔法は、精霊魔法。君の魔法さ。
「…ありがとう。ニキ。」


時はナイトメアウルフとの戦いの時に戻る。
「…あなたの…魔法?」
「そう。君は素晴らしい。私が求めていたものを持ってる。」
「…あなたは…誰…なの?姿も…何も見えないわ…。」
「申し遅れたね。私の名前はニキ。…精霊王…ニキさ。」
「…精霊…王?」
「混乱してるね。最初はそんなものさ。でも時間はないよ?」
「…!、みんな…!」
ボロボロになったブラッドウルフの姿が映る。
「…大まかに説明して!」
「私は君の心に興味を持った。君が私の興味を引いたのさ。」
「…それで?」
「私は君に魔法をあげようと思ってる。私の魔法、精霊魔法。神級魔法さ。聖域を操る魔法。神の領域に及ぶ魔法さ。人間が使っていい魔法じゃない。」
「…ならどうして私に?」
「言ったろ?私は君に興味がある。だから君に譲る。君の…優しさが私の心を引いたのさ!」
「…皆を…助けられるの?」
「もちろん。…いいねぇ…。こんな時にもあの子達の心配だ。優しい人間が…私は好きだよ。」
「…力を…貸して!」
「貸す?違うさ。僕自身を君に上げるのさ。」
「…どっちでもいい!あの子達を助けられるなら…お願い!」
「分かったよ。使い方は戦いながら…。」


「由希!由希!」
「…っ…あなた達…。」
「良かった…!由希…!」
「…ありがとう、看病してくれて。」
「そんなの…こっちのセリフですよ!助けて貰って…。」
「…無事で…良かった…!」
「由希…。」
「ズビズビ…さっきのはなんすか?強すぎっすよ!」
「…当たり前よ。神級魔法なんだから。」
「神級…魔法?」
「…とにかく、そのおかげで私はあなた達を守れた。」
「由希…。」
「ありがとう!由希!」
「由希ぃ!」
「…ふふふ…本当に…無事でよかった…!」
「あり…がと…よ。由希…。」

ボタ…ボタ…。
滴る音。
そんな音を立てて暗がりから1匹の影。
「ドン!」
「…あなた…よく…無事で…!」
「ひどい怪我です!急いで治療を!」
「いや…いい…。時期死ぬ…。」

「ガフッ!っ…!限界だ…。」
ドンはその場に横たわる。
「ドン!」
「ドン!」
「ボス!」
「ドンさん!」
「ドン!…そんなの…!」
「ドン…!」
「いいんだよ…これで。俺は…ここでお別れだ。」
「…ドン。…ありがとう。本当に。」
「ふん。お前が来たばかりの時は…食ってやろうと思ってた…。それが今では…俺たちを守ってくれた。1週間だけだったが…。こいつらのこと守ってくれて…ありがとよ。」
「…ドン…!」
「おいおい、泣いてんじゃ…ねえよ。」
「…本当に…!ありがとう!…楽しかった…!あなたといて…。あなたは…私たちの最高のリーダーよ!」
「ドン!」
「う…わぁん!ドン〜!」
「ボズ〜ゥ!」
「うっ…楽しかったっす!ドンといれて!俺は…俺は…」
「ドンさん…本当に…ありがとうございました…!」
「シンデレラ…あとは…任せたぞ…。」
「はい…!」
「ふ…。」
そのままドンは眠るように息を引き取った。


約束の1週間が来た。




間に合わなかったぁ!!
ごめんなさいぃ!!

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コメント

  • にせまんじゅう

    『精霊王と名前が同じな俺。』
    っつータイトルでラノベ化出来ないかな?w

    0
  • 本大好き{デアラ}

    泣ける

    1
  • すばるきゅ~ん

    優も精霊魔法を使えるようにしてくださいおなしゃす

    2
  • ノベルバユーザー294052

    ドンン!!(´TωT`)

    1
  • かつあん

    あの声は精霊王だったのか!いや〜
    まさかの神級、精霊魔法を使えるようになるなんて!こりゃーユウ達といい勝負になりそうですなー

    2
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