腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

21話 ユウ&ミーシェside 辛い時も疲れた時も

「…ただいま、ミーシェ。」
「あ!おかえりなさい!」
ピルーク王国で江ノ島と別れたあと、優はすぐにアギリシ王国に帰ってきていた。
「どうだった?復讐完了?」
「…いや、まだだ。あと6人いる。」
「そっか…。でもお疲れ様。ご飯にする?」
「いや、いらない。」
「そう…。」
「少し部屋で休む。」
「あ、うん…。」


優はベッドに横になり考え事をしていた。
本当は…本気で殺すつもりだった。でも…
躊躇っちまった。あいつの事は…憎いはずなのに…。
何故だ?何故俺は…
くそが…ダメだ…今日はもう…疲れ…た。
優はそのまま夢の中に誘われた。


「ユウ?本当にご飯いいの?」
ミーシェは静かに優の元に行く。
「ユウ?」
目の前には寝息を立てる優がいた。
「寝ちゃったか…。…なにかあったのかなぁ…。」
ミーシェは寝ている優の頭を撫でた。
「ふふっ…綺麗な髪…。」
こういう時は私が慰めてあげないと!
でも…どうやって…。
「キ、キキ、キス…とか?」
ミーシェはゆっくりと優の唇に自分の唇を近づける。
ドクン…ドクン…。
別に…私達は恋人同士だから…問題な…
「んー?」
ゴチンッ!
「くあっ!」
「いて!」
「「っ〜〜!」」
「なんだ?ミーシェか?」
「いたたたー…あ!起きちゃったの?」
「何やってんだ?お前。」
「そ、それはちょっと…キ、キキキ、キスを…しようと思ってまして…。」
「…なんで?」
「な、なんかユウ元気なかったから…慰めてあげたくて…迷惑だよね…ごめんね?」
「…いや、ありがとう。」
「うん…。なにか…あった?」
「…」
「…ご飯持ってくるね。」


「どお?おいし?」
「…ああ。美味しいよ。」
「ふふっ…お代わりあるよ?」
「…貰う。」
「どんどん食べなきゃねー?大盛りにしちゃう。」
「お前は食べ過ぎだけどな。」
ミーシェはスープを既に3杯お代わりしている。
「へへへ…食べ盛りなもんで…。」
「随分長い食べ盛りだな。」
「そ、それは…うう…でも太ってないもん!」
「そうか…ありがとな。」
「え?なんでお礼?」
「なんとなくだ。元気出た。」
「そう?よかった。」
「…この後…少し話聞いてくれるか?」
「!…うん…!」


二人は少し早めにベッドに入った。
「ミーシェ…俺…江ノ島を殺せなかった。」
「菜々ちゃんいたの?」
「ああ…もう一歩の所で…頭が真っ白になった。」
「ユウ…。」
「躊躇っちまったんだよ…。あんだけ憎かったはずなのに…。」
「そう…なんだ。」
「俺…復讐するって決めて…お前と一緒にここまで来たのに…!ダメだった…お前に…あわせる顔がない…!」
「そんなこと…」
「自分が…嫌になる…あれだけ偉そうに言って…俺…情が…残ってるのかもしれない…。そう考えると自分が情けなくて…!俺に…お前と一緒にいる資格はない。俺は…殺せなかったんだ…。」
「ユウ…。」
優は辛そうに枕に顔を伏せた。
ぽす…
「!」
そんな優をミーシェは自分の胸に迎え入れる。
「ミーシェ?」
「いいの。少しぐらい躊躇ってもらわなきゃ…逆に怖いもん。」
「でも…!」
「元クラスメイトだもん。それに仲良かったんでしょ?私だったら…殺せない。」
「ミーシェ…でも…」
「私は…そんなこと関係なくて…ユウと一緒にいたい。ユウが大好き。疲れたり、辛かったら私に言って?疲れたら私が癒してあげる。辛かったら泣いていい。私が胸…貸してあげるから。」
「…っ…ミー…シェ…!」
「ユウのペースでいい。でもユウの理想の世界を見せて?私は…ユウの見たい景色が見たい。」
「っ…う…ミーシェ…!」
優はミーシェに抱きついて押し殺しながらも泣いている。
そんな優をミーシェは優しく撫でる。
「ユウは…よく頑張ったよ。でもたまには休まなきゃ。無理しないで?休みたい時は私がご飯作るから。私が言うのもなんだけど…抱きついて…いいよ?私から行きたいところだけど…。」
「…ああ…ありがとな…ミーシェ…!」
「ふふふ…今日はゆっくりおやすみ。」
「…うん。」


優はミーシェに抱きつきぐっすりと眠っている。
「んふふ…久しぶりにユウの寝顔見たなぁ…。いつも私が先に寝てるもんね…。…可愛い…おやすみ…ユウ。」
優の唇にキスをしてミーシェは眠りについた。


「ほら!起きろ、ミーシェ。」
「ふぇ?あ、おはよう…ユウ。」
「ああ、おはよう。もう朝だぞ?」
「あ、うん。でも、大丈夫?」
「ああ、情けない所を見せたな。俺はもう…躊躇わない。」
「ユウ…。」
「俺は…絶対にアイツらに復讐を果たす。」
「うん!」
「でもお前との旅も大事にしたい。」
「え?」
「だから特に今までとは変わらない。のんびり…俺達のペースで行く。ロキアのアイスもまだ食べに行ってないしな。楽しい旅になるぞ。覚悟しとけよ?」
「うん!すごく楽しみ!」
「だろ?そうと決まれば…」
「そうだね!どこ行く?!」
「…ラゴスの店だ。」
「え?」
「酒飲みに行こうぜ?約束の。」
「あ!そっか。」
「行くぞ。」
「うん!」


「ラゴスー?入るぞー?」
「…ああ、いらっしゃい。ってユウキとミーシャか。」
「よう。」
「酒もらいに来たよー!」
「…いや、魔族のユウと魔神の妹ミーシェと言った方がいいのか?」
「「!」」
「そ、それは…」
「ちっ…邪魔したな。」
「待てよ。どこ行くんだ?酒飲まねぇのか?」
「え?」
「へ?」
するとジェニーがでてきた。
「お前らがなんであっても関係ないさ。」
そう言いながらジェニーはミーシェの手配書を破いた。
「お前ら二人はうちのギルドのエースだ。約束通りみんなも呼んだ。」
「早く来いよ!」
「早く飲ませろよ〜!」
「とっととミーシェちゃん連れてこいよ!」
「みんな…。」
「ふふっ…行こ?」
「ああ…。よーしっ!お前ら、今日は帰れると思うなよ!?」
その後はどんちゃん騒ぎでしたw


ほろ酔いの優は酔って歩けないミーシェをおんぶして夜道を歩いていた。
「ふふふ〜…おいちかった〜。」
「そうだな…。」
「あれ?ユウは全然酔ってないね〜。」
「慣れたさ。」
「そうなの?」
「ああ…。」
「助かるよ〜。ユウが酔うと私を運ぶ人がいなくなっちゃうもんね。」
「人をタクシー扱いするんじゃない。」
「タクシーって?」
「馬車みたいなもんだ。」
「へぇー…あ!星!」
「ん?おお…綺麗だな。」
「うん…。」
「「あ!流れ星!」」
「ミーシェも見えたのか?」
「うん。ふふふ…ユウと二人で見れた…。」
「そうだな…。」
「ちょっと星見てこ?」
「ああ、いいよ。っておい。」
ミーシェはそのまま草むらに腰を下ろす。
「せめてベンチいけよ。」
「ここでいいの〜。」
「分かったよ。」
優も隣に腰を下ろした。
「ふふふ…きれーい。」
「そうだな…。ミーシェ…俺についてきてくれて…ありがとな。」
「あ、改まって何?」
「ここまで来れたのも…まず今俺が生きてるのも…全部ミーシェのおかげだ。」
「ううん。ユウが選んだ道だよ。ユウの…人生。それに私はユウに助けられた。あそこで動けなかった私を連れ出してくれた。お姉ちゃんを…助けてくれた。」
「俺がやりたいからやったんだ。」
「うん…ユウはいつもそう言う。照れ隠しかな?」
「う、うるせえ。」
「だからこれからも…私に色んなものを見せてね?ユウ。」
「ああ…もっといいものを見せてやる。だから俺の隣にいてくれよ?ミーシェ…。」
「うん…。」
満点の星空の中、2つの流れ星が夜空をかける。
その下で2人の唇が重なった。

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遅くてすいません!明日は早めに出すよう努力しますんで…。
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コメント

  • けん玉マスター

    ノベルバユーザー315964さん
    コメントありがとうございます。
    実は2人ともキス魔だったり?w

    1
  • ノベルバユーザー315964

    唇重ねすぎで草

    2
  • ダイアーさん

    情が移ったのはいいけど復讐はちゃんとやってほしいぃ

    1
  • ノベルバユーザー252836

    復讐は王女で完結でよかったと思う。あとは放置で良くね?

    4
  • 天宮ソルト

    唇重ねるすきやなw

    3
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