腹下したせいで1人異世界転移に遅れてしまったんですが

けん玉マスター

12話 小宮&松山side 二人の旅

ここはピルーク王国を南に2日ほど歩いたところにある、農業が盛んな小さな村である。
小宮と松山はこの村に身を潜めていた。
「…これからどうしようか?陸。」
「まだ見つかっちゃいないさ。これからの事は…今から考えればいい。元々城は出るつもりだったんだ。恐らく僕達がどこにいようと藤山は僕達のことを見つけ出すんだろうね。」
「…そうね。」
「だったら僕達のやることはひとつ。藤山に殺されないよう強くなればいい。」
「…陸。」
「修行の旅だ。かなり危険な旅だと思う。強制はしないが…ついてきてくれるか?」
「…当たり前でしょ?逆に置いて言ったらぶん殴るわ。」
「そうか…。ありがとう。」
「…ふふふ。」
「!」
松山は小宮に抱きついた。
「馬鹿!離せ…。なんなんだ…君は。」
「…ふふふ。こういう気持ちの時はこうするものでしょう?」
「!、そ、それは知らないが…。き、君がそうしたいならそうすればいいさ…!」
「…そう?」
「そ、それよりもこの後だが…。」
「…うん。」
「僕達は…ロキア帝国を目指す。」
「…ロキア帝国?てことは?」
「僕達が修行するのは…最果ての洞窟だ。」
「…最果ての…洞窟。」
「S級の冒険者でも寄り付かない場所だ。相当危険なんだろう。でも、藤山もそこで強くなったんだ。僕達も…そこで鍛えないか?」
「…」
「さっきも言ったが…これは強制じゃない。」
「…行くよ。もちろん。」
「危険だぞ?」
「…強くならないと死ぬんでしょ?だったら手段は選ばないわ。私は絶対に強くなってみせる。最果ての洞窟くらい生き延びないと…藤山くんには勝てないわ。」
「そうだな…。頑張ろう。」
「…ロキア帝国まではどうやって行くの?」
「歩きだ。」
「…え?どれだけ歩くか分かってるの?」
「もちろん。3週間は歩くだろうね。でも僕は絶対に甘えたりなんてしない。」
「…そうね。頑張りましょう。」
「ああ。とにかく今日はもう休もう。」
「…ええ。」



「さて。忘れ物はないか?由希。」
「…大丈夫よ。抜かりはないわ。」
「じゃあ行こうか。長い旅になる。気を引き締めろよ?」
「ええ!」
松山はいつもの様に一拍置くことなく答えた。



「そうは言っても魔物に会うまではただの旅だな。」
「…まあそういうものじゃない?」
「少しペース上げるか?」
「…ううん。いくら強くなるって言っても…こういう信頼を深めるっていうか…話しながら楽しく旅するのも大切だと思うな。」
「そうか…。分かった。」
「…陸はさ。藤山くんのこと…どう思う?」
「質問の意味がわからない。どういうことだ?」
「…私達は藤山くんを裏切った。すごく酷いことをした。藤山くんは人格が変わるくらいのショックを受けたわけでしょ?私だったら…耐えられない。でも藤山くんは私たちに復讐するために地の底からはいあがってきた。こんな言い方変だけど…すごいと思った。私にはそんなこと出来ない。裏切られたら…絶望する。クラスメイトを殺したけど…元はと言うと私たちがまいた種。私たちが言っていいのか分からないけど…許すと思うな。私は。」
「そうか…。でも僕はやっぱり藤山のことは…嫌いだよ。」
「…どうして?」
「これは嫉妬さ。あの人間離れした強さ。いや、もう人間じゃないと言っていたな…。ギリースで彼の強さを見た時は…恥ずかしいけど嫉妬した。どこでそんな力を身につけられたのかってね。でも…その力の源は僕達に対する復讐心だった。」
「…」
「僕と藤山は正反対なのさ。藤山は僕達を壊すために力を得た。僕は…君を守るために力を手に入れたい。」
「…陸…。」
「だから彼は嫌いだよ。奪うためにしか力を得られない。」
「…それは違うと思うな。」
「どうして?」
「…だって藤山くんは…ミーシェさんを守るって言ってた。」
「…」
「…2人は…似たもの同士だなぁって思った。」
「そんなこと…」
「…ううん。2人は似てる。立場が違うだけ。」
「…」
「…仲直り出来るとは思ってないけど…もし、もし藤山くんが私たちを許してくれたら…陸と藤山くんは親友ってくらい仲良くなれると思う。藤山くんも言ってたでしょ?陸とは仲良くなれそうだったって。」
「そう…かな…。」
「…陸は日本にいた時からあまり人と関わってこなかったでしょ?藤山くんもそうだった。やっぱり2人は…よく似てるよ。」
「そうか…。でも…あいつは由希、君を傷つけた。」
「…!…それは支払うべき代償よ。私たちが藤山くんにしたことと比べればあんなこと…。」
「僕は善人じゃない。これは僕の勝手な気持ちの問題だ。相手がどんなに恩人だろうと、相手が僕より立場が上の人間でも…大切な人を傷つけられたら…許せない。」
「…陸…。」
「僕は戦うよ。何より負けっぱなしは悔しいからね。」
「…陸って…見かけによらず負けず嫌いなとこあるよね。」
「わ、悪いか?」
「…ううん。逆。私…陸のそういう所が…好きよ?」
「!」
小宮は顔を朱に染めた。
「そ、それは…ま、まあ…ありがとう。」
「…ふふふ。顔赤いよ?」
「う、うるさい!見るな…。」
小宮は顔を隠す。


やっぱり彼女は不意打ちで僕を惑わせる。
適わないな。やっぱり。
でも分かった。彼女の笑顔は…僕が守らなきゃ行けない。
強くなるためだったらどこへだって行く。茨の道になろうとも。行先が…どんな地獄だろうとも。


二人の旅は始まったばかり。
藤山優という脅威から身を守るための旅が始まった。
そしていつか…超えるために。


―――――――――――――――――――――――――――――――
間に合わなかった…!
ごめんなさい…。

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特別編は本編を読みやすいよう本編から削除致しました。
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コメント

  • すばるきゅ~ん

    最強は優がいいです

    3
  • アガルニ

    やっぱり優無双を見たいから
    小宮が強くなりすぎてもなぁw

    5
  • 勝長

    小宮様いい人...(。•́ωก̀。)…グス

    1
  • ゆっこん

    小宮も強くなるだろうけど流石に強くなり過ぎて欲しくないwやっぱり最強は優がいいな

    11
  • ノベルバユーザー206269

    小宮様やっぱ最高ー!
    頑張れ!!

    1
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