転生屋の珍客共〜最強の吸血鬼が死に場所を求めて異世界にて働きます〜
第6話 転生屋の神は
俺が弟子をとってこなかった理由は実に単純で面倒だったからだ。
正直、どうやったら強くなれるとか知らない。教える教えない以前の問題だろう。
しかし、師弟関係事態を否定するわけではない。人間にとっては必要になってくるだろうが、それは技術を受け継ぐ為で決して不死身云々は関係ないはず。
ましてや死神がそれを望むなど聞いたこともない。
「師匠、仕事は私に任せてください」
「いや、だから何もしないわけにはいかないって言っただろう。ここだけは師弟関係なしに教えてくれ」
しかもこうも話を聞かない奴は珍しい。
「はい。しかし、実は死神でなくても出来る簡単な仕事です。転生前の体、つまりは死体を処理するだけですので」
「ふむ、それでは俺の仕事はないということか」
この店が問題なく機能していてリルフィーが何の仕事も与えなかった時からこうなると予想はしていた。
それでも働くということを経験したいのだ。
「しかし、これからどうしたものか。この転生屋にいる者には会った。次は……神か」
「バルドルさんと会いたんですか? でも気まぐれな方ですから」
「ならこちらから会いに行くまでだ。ここまで来れたのだ。そいつの根城に行くのは造作もない」
ここに来た時と同じように空間に穴を空けようとした瞬間、近くの空間が勝手に穴が空いてそこから茶髪の男が出現した。
「待った。降参だよカレイド・ノスフェラトゥーグ・ルインくん。ここで空間が歪むほどの攻撃をされたらお店が潰れちゃうよ。そうなったら僕がリルくんに怒られちゃう」
「お前がバルドルか。それにしてもそれは冗談のつもりか」
衣装は普通だが顔が『神』と書かれた白い布で隠れているのだ。
「ああ、これ? やっぱり気になるよね。初対面の人には大体聞かれるよ。けどこれは規則なんだ」
「ならばそのままで良い。しかし、何故常にここにいないのだ? 店の最高責任者なのだろう」
「僕もそうしたのは山々なんだけど神様としての仕事を疎かにすると上から怒られちゃうから。それで何か用かな?」
「特にない。ただ仕事がなくて困っていたというだけでな」
「はぁ〜、僕は忙しいんだけどね。でも仕事がないというのは問題だと思うけどそこのところどうなってるのリルフィーくん」
部屋の前で隠れて聞き耳を立てていたリルフィーだったが気づかれ、何事もなかったかのように会話に参加する。
「う、バルドルさん来てたんですね」
明らかに嫌そうな顔をするリルフィー。店長よりも上であるバルドルが気に食わないのかもしれないが、それを口に出すことはない。
「まあね。仕方なくだけど彼はどういった扱いになってるのかな?」
「え、え〜と私の用心棒ってことになっています。たまに変な客がいますから」
「用心棒か。確かにこれほど心強い用心棒はいないね。まあ、今はそういうことにしておくよ。じゃあ僕は仕事が残っているからこれで」
と言い残すと来た時と同じようにして姿を消した。
「帰ったか」
「のようね。それにしても来るなら来るって言ってくれないと困るわよ。心臓に悪いんだから」
確かに普通は気を感じ取るのは難しいか。となるとまさに奴は神出鬼没ということなのだな。
「それで隠れていたのか。一瞬、何故入ってこないのかと思ったぞ」
「何よ。あんたの為に来てやったってのに」
「俺の為? あれから何か進展でもあったのか」
「まあね。実は次の仕事が決まったの」
「本当か⁉︎ しかし、奴は何も言っていなかったが」
「私もそのことで来たのかと思ったんだけど。まあ、いいわ。これから忙しくなるから覚悟しなさい」
「望むところだ。それで俺は何をしたらいい?」
「ええと……そうあんたは何かあった時の切り札よ。やばい奴は吹っ飛ばしちゃって。責任は私がとるから」
「うむ、承知した。では最高のおもてなしをしようか」
何せ最初の客人だ。満足出来るよう歓迎して、俺を殺せるかどうか試してみるとしよう。
ルインは期待に胸を膨らませて珍客を待つことにした。
正直、どうやったら強くなれるとか知らない。教える教えない以前の問題だろう。
しかし、師弟関係事態を否定するわけではない。人間にとっては必要になってくるだろうが、それは技術を受け継ぐ為で決して不死身云々は関係ないはず。
ましてや死神がそれを望むなど聞いたこともない。
「師匠、仕事は私に任せてください」
「いや、だから何もしないわけにはいかないって言っただろう。ここだけは師弟関係なしに教えてくれ」
しかもこうも話を聞かない奴は珍しい。
「はい。しかし、実は死神でなくても出来る簡単な仕事です。転生前の体、つまりは死体を処理するだけですので」
「ふむ、それでは俺の仕事はないということか」
この店が問題なく機能していてリルフィーが何の仕事も与えなかった時からこうなると予想はしていた。
それでも働くということを経験したいのだ。
「しかし、これからどうしたものか。この転生屋にいる者には会った。次は……神か」
「バルドルさんと会いたんですか? でも気まぐれな方ですから」
「ならこちらから会いに行くまでだ。ここまで来れたのだ。そいつの根城に行くのは造作もない」
ここに来た時と同じように空間に穴を空けようとした瞬間、近くの空間が勝手に穴が空いてそこから茶髪の男が出現した。
「待った。降参だよカレイド・ノスフェラトゥーグ・ルインくん。ここで空間が歪むほどの攻撃をされたらお店が潰れちゃうよ。そうなったら僕がリルくんに怒られちゃう」
「お前がバルドルか。それにしてもそれは冗談のつもりか」
衣装は普通だが顔が『神』と書かれた白い布で隠れているのだ。
「ああ、これ? やっぱり気になるよね。初対面の人には大体聞かれるよ。けどこれは規則なんだ」
「ならばそのままで良い。しかし、何故常にここにいないのだ? 店の最高責任者なのだろう」
「僕もそうしたのは山々なんだけど神様としての仕事を疎かにすると上から怒られちゃうから。それで何か用かな?」
「特にない。ただ仕事がなくて困っていたというだけでな」
「はぁ〜、僕は忙しいんだけどね。でも仕事がないというのは問題だと思うけどそこのところどうなってるのリルフィーくん」
部屋の前で隠れて聞き耳を立てていたリルフィーだったが気づかれ、何事もなかったかのように会話に参加する。
「う、バルドルさん来てたんですね」
明らかに嫌そうな顔をするリルフィー。店長よりも上であるバルドルが気に食わないのかもしれないが、それを口に出すことはない。
「まあね。仕方なくだけど彼はどういった扱いになってるのかな?」
「え、え〜と私の用心棒ってことになっています。たまに変な客がいますから」
「用心棒か。確かにこれほど心強い用心棒はいないね。まあ、今はそういうことにしておくよ。じゃあ僕は仕事が残っているからこれで」
と言い残すと来た時と同じようにして姿を消した。
「帰ったか」
「のようね。それにしても来るなら来るって言ってくれないと困るわよ。心臓に悪いんだから」
確かに普通は気を感じ取るのは難しいか。となるとまさに奴は神出鬼没ということなのだな。
「それで隠れていたのか。一瞬、何故入ってこないのかと思ったぞ」
「何よ。あんたの為に来てやったってのに」
「俺の為? あれから何か進展でもあったのか」
「まあね。実は次の仕事が決まったの」
「本当か⁉︎ しかし、奴は何も言っていなかったが」
「私もそのことで来たのかと思ったんだけど。まあ、いいわ。これから忙しくなるから覚悟しなさい」
「望むところだ。それで俺は何をしたらいい?」
「ええと……そうあんたは何かあった時の切り札よ。やばい奴は吹っ飛ばしちゃって。責任は私がとるから」
「うむ、承知した。では最高のおもてなしをしようか」
何せ最初の客人だ。満足出来るよう歓迎して、俺を殺せるかどうか試してみるとしよう。
ルインは期待に胸を膨らませて珍客を待つことにした。
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