海の声

漆湯講義

92.意外なアンサー

部屋に沈黙が続き、俺はハッとして自分の発言を振り返った。
泊まってきなよ…だと?!
うぉぉ!何言ってんだよ俺ッ!!いくらなんでも泊まってけはナイだろっ、年頃の男女なんだしッ…てかこの空気、気まずッッ!!なんて言い訳すれば…

『いい…の?』

「ぅえあのッ、ごめんコレは言葉の誤というか何というかッ…って、え?」

『セイジ、お前変なコト考えてんだろッ!!泊まってけなんてよくそんな事言え…』

「えっ、いいの?その…海美がいいなら泊まってきなよ。」

『はぁ?!ちょっ…どゆことーッ?海美ねぇはなんて言ってんだよ?!』

『その…私、家帰ってもツライだけだし…良かったらもっと…その…あ、美雨ちゃんとお話しもしたいし♪』

「俺は全然ッ、それならその…ゆっくりしてって…下さい。」

『オイっ、セイジッ!、翻訳ッ!!』

…海美が泊まる…んだ。
ドキドキと波打つ心臓の音を落ち着かせようと胸をギュッと掴んだ。
その指先にまで鼓動が伝わってくる。
2、3度深呼吸をして冷静になりつつある頭の中にボヤけた文字がはっきりと浮かびあがる。

"海美が俺んちに泊まる"

『おいセイジ、汗ちょーヤバいコトになってるけど変なコト考えてんじゃないだろなぁ??』

「別にそんなコト…無いぞ!!」

『だめだなこりゃ、海美ねぇが泊まるって言ってるなら今日はこのニホンエロオオカミをボクがずっと見張ってやんなきゃいけなそうだなぁー。』

海美がまた"ふふふっ♪"と笑って俺は少し冷静になった。
そうだよ、美雨だって泊まるんだから別にキンチョーなんてする事ないんだよなっ。

『てかセイジの親はイイって言うのかぁ??実質ボクだけお泊りってカタチになっちゃうんだろっ??』

「うわっ…そうかぁ、そうだよな。俺の親は変なとこ緩いクセに厳しいとこ厳しいからなぁー…良いって言うわけ無いよなぁー…」

『取りあえず聞いてみればっ??無理そうだったらボクが頑張ってやるからさっ♪』

"ボクが頑張る"って何だよ。まぁとりあえずダメ元で聞いてみっか。
つーか美雨が泊まんなきゃいい話じゃねーの?

…いやっ、何でもない。そんなの俺がどうかなっちまう。

コメント

  • 漆湯講義

    返信に困るほど有難いコメありがとうございます(゚Д゚≡゚Д゚)w
    お二人のコメにはいつも励ましてもらっています(。TωT。)
    多少時間にブレは有りますが、毎日(最近勝手に日曜定休すいませんw)投稿できるよう頑張りますッ!!(。^ω^。)♪

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  • あいす/Aisu

    ミツキ>>ホントにそれ。アルさんのことは神だと思ってますw(^ω^)

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