少女寿命

こむぎ子

雪さえも報われない(前編)

わたし、あなたになりたいの。
わたし、あなたになれないの。
だから
だからこそわたしは


あなたは雪が好きでした。
世界の色が白で埋まるからって。
世界の汚れが隠れるからって。
話しているのを端っこで聞いていた。
なら、それならわたしの汚れも
雪が降れば隠れるかしら?
でもここは中々雪が降らない地域で、毎年
世界の汚れは積もるばかり。
わたし、それが嫌になって、秋に積もる枯葉を燃やしていたの。代わりになるかなって。
あなたはとても平凡なひと。
学業も運動も一般的。
でも欠点があるからこそいいのよ。
完璧に触れると自身の凹みが目立つから。
だから
だからこそ、愛していたの。
「すき」「だいすきよ」
から回る日本語は灰と共にまい散った。

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