命の重さと可能性の重み

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第五十四話

「さて?それじゃあそろそろ、本題に入りましょうか?」

「本題…って、失われた魔法ロストマジックについてかな?」

「そうよ。…今日きたのは、その失われた魔法ロストマジックについて報告するためだったでしょ?」

「そういえば、そうだったね。…マリアさん、マリアさんは失われた魔法ロストマジックについて、どれくらい知っているの?」

「そうですわねぇ………実はあまりよく知りませんわ。それゆえに、失われた魔法ロストマジックなのですもの…」

「それはそう…なのかな?」

「知らないのが普通よ。失われた魔法ロストマジックはその名の通り、前世紀であり全盛期だった過去に使われていた、まさしく失われた魔法なんだもの…」

「そういうことですわ。…それで?その失われた魔法ロストマジックについて、何を報告していただけるのですか?」

「実はね…ゲンは失われた魔法ロストマジックを使えるのよ…」

「!?それは…本当なんですの?」

「えぇ、もちろん。…さっきのように、全世界記録集データベースから魔法の知識をインプットした時に、失われた魔法ロストマジックについてもインプットされたらしくてね…」

失われた魔法ロストマジックを使えるようになった…というわけですわね?」

「そういうことよ」

「それで?実際にはどんな魔法が使えますの?」

「実はもう、マリアも見ているのよ。…さっき、ボスーピットがまるごと氷っていたでしょ?あれは実は…氷の魔法じゃなくて、失われた魔法ロストマジックを使っていたのよ…」

「それは本当!?…たしかに氷の魔法で氷らせたにしては、とてもきれいだったけど…」

「本当ですよ。あれは「アイスエンド」っていう魔法で、指定した対象を氷らせて、仮死状態にする魔法です」

「仮死…状態?それってどんな状態なの?」

「さっきエリカには説明したんですが…簡単に言うと、眠っている状態です」

「あの状態で眠っている?死んでない…ですって?」

「えぇ、その通りです。…あの状態の対象に「リブレス」っていう失われた魔法ロストマジックを使うと、何事も無かったように動き出すんです…」

「にわかには信じられないわね…」

「私も…聞きはしたけれど、この目で見るまでは信じられないわね…」

「たしかに、見てみないと信じられないですよね。…何か、試せそうなものはないですか?」

「試せそうなもの…ねぇ?」

「森で何か捕まえて、それで試してみましょうか?」

「そうねぇ…それが一番かもしれないわね」

「なら、今から森に行きましょうか?まだ暗くないですし」

「そうですわね…そうしましょうか」

「ならはやく行きましょう?」

「わかった」

「わかりましたわ」

俺たちは失われた魔法ロストマジックを試すために、森に向かうことにした。

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