命の重さと可能性の重み

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第四十八話

依頼の達成書を貰いにセリカさんの店までやってきた俺たちは、開いていたので勝手に入らせてもらうことにした。
中に入り声をかけると、奥からセリカさんが出てきたので、俺は十個のスーピットの肉が入った袋を渡した。

「ありがとうございましたっ。これで店が再開できます…」

「ちょっ、泣くことはないじゃないですかっ」

すると、中身を確認したセリカさんに泣かれてしまった。

「でも…もうお金が少なくて、SSランクのボスーピットが出るかもしれない…本当ならSSランクの依頼でもおかしくない依頼を、なかば騙したようなかたちだったのに…本当にありがとうございましたっ」

「やっぱりSSランクにあたるだろう依頼だってことは、気付いていたわけね…」

「それはっ…はい…すみませんでした」

エリカの言葉に、セリカさんが頭を下げて謝る。

「まぁいいじゃん?店がひらけなくて、お金がなかったみたいだもん。それに、良い意味で楽しかったからね」

「ゲンがそういうなら、私はかまわないけど…今回私は、何もしてないからね…」

「そうなのですか?ゲンナイさんは、よほどすごいかたなのですね。…その、ボスーピットを背負ってらっしゃいますし…」

「あぁ、これ?…まぁ出会っちゃったからね、氷漬けにしてみました」

「なに明るく言い放ってるのよ!?ほら、近づけないのっ!怖がってるじゃない!」

「いえ…その、確かに怖いですが…もう死んでいるのですよね?」

「そうだね、今は死んでるよ?」

「今は?ですか…?」

「そう。い・ま・は・ね」

「何か不吉な予感がするけど…まぁいいわ。それじゃあ?依頼の達成書を貰えるかしら?」

「あっ、はい。今持ってきます…」

そう言うと、セリカさんは奥へと戻っていく。

「それで?今は死んでるってどういう意味?」

「ん?それはね…さっき使った「アイスエンド」の魔法が、相手を仮死状態にする魔法だからだよ?」

「仮死状態?…それって死んでるのとはどう違うの?」

「んー簡単に言うと、眠ってる状態かな…?「アイスエンド」を解いた後に「リブレス」って魔法を使うと、使った対象がもとに戻るんだよっ」

「もとに戻るって…生き返るって事!?こんな街中で動きだされたら、大変なことになるじゃないっ!」

「大丈夫だよっ「リブレス」は使わないから。仮死状態でも死んでいるわけだから、普通に解体すれば、もうもとには戻らないしっ」

「それなら…まぁ、いいのかな?」

「大丈夫だよっ、危険な事なんてしないからっ」

俺はエリカに向けて、笑顔でウインクをする。

「そんな笑顔で言われてもねぇ…。まぁ…信じるしかないんだけどね」

エリカはしぶしぶ納得したようだ。

「お待たせしましたっ」

そんなこんななやりとりをしていると、セリカさんが戻ってきた。
手にはなにやら書類を持っており、それが依頼達成書なのだろうと思う。

「こちらが依頼達成書になります。どうもありがとうございましたっ」

「どういたしまして…で良いのかな?とりあえず、また何かあったら…ということで」

「はいっ!今度は直接指名させてもらいますね?」

「わかりました。その時はよろしくお願いします」

「はいっ」

「ではまた…エリカ、行こうか?」

そう言って俺は、店の出口に向かう。

「そうね、行きましょう」

エリカも俺に続いて歩きだす。

「ありがとうございましたっ!」

そのセリカさんのお礼を背に、俺たちは店をあとにした。

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