命の重さと可能性の重み

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第四十六話

「っというわけで、到着したわけですが…」

「かかってないわね…」

「よかったぁ…ほんとよかったぁ…」

「どうして喜ぶのよっ?確かにスーピットはかわいい…けれど、魔物なのよ?…それに、受けた依頼はスーピットの捕獲なのよ?」

「なら…受けないっ!」

「ちょっと!それはダメよっ!…っていうかもう受けたんだから、渡して依頼を完遂させなくちゃダメじゃないっ!」

「えー、嫌だよ。これからこいつらは俺が飼うんだからっ」

「どこで!?」

「家…で?」

「私の家でしょうがっ!」

「だめ…?」

「うぅ…確かに、ペットとして飼っている人がいるのも確かだけど…」

「でしょでしょっ!かわいいは正義なんだよっ!」

「で、でも…依頼の方はどうするのよ?」

「材料になる肉を渡せば良いんでしょ?…それなら、これから創れば良いじゃないっ」

「できるわけないでしょうがっ!」

「えぇー?魔法でなんとかなるでしょ?」

「なんとか…ってなんとかなるの!?私はそんな魔法知らないわよっ!」

「偉い人は言いました…「なければ創ればいいじゃないっ」と」

「いや、そんな、むちゃくちゃなことが…」

「できると思うよ?多分だけど…だってさ、魔法ってイメージなんだろ?」

「私が言ってたイメージっていうのは、創るじゃなくて、操作するイメージよっ!イメージするだけで新しい魔法を創っちゃうゲンがおかしいのよっ!」

「そうなの?…でもさっきから使っている魔法って、全世界記録集データベースに載ってた魔法だよ?別に創ってるわけじゃないよ?」

「そうなの!?私は聞いたことも見たこともないんだけど…」

失われた魔法ロストマジックってカテゴリーだったからかな?」

「ちょっ!失われた魔法ロストマジックってバカなの!?この間話した、一度滅びた文明が使っていたと言われる魔法じゃないっ!なに気付かずに危険な魔法を使っているのよっ!」

「えぇー?特に危険は無いよ?危険な魔法だったら、使うわけないじゃないか」

「それは、そうかもしれないけど…」

「大丈夫だってば。安心してよ」

「わかったわ。ゲンを信じるわ」

「ありがと。ってことで、さっそく………「無より有れ、存在の肯定…「クリエイト」」」

俺はさっそく失われた魔法ロストマジックである「クリエイト」の魔法名と呪文を唱える。
すると

「ほんとにできちゃった…」

というエリカの言葉通り、俺の両手の中にはスーピットのらしき肉があらわれていた。

「成功したよ?これで良いでしょ?」

「そうね…でも、後何個か用意しないとお金にならないわよ?」

「それもそうだね。んじゃ…「無より有れ、存在の肯定…「クリエイト×10っ」」」

「ちょっ、そんなにいきなり…」

俺が呪文と魔法名を唱えると、かける10の追加設定どおり、追加で10個の肉があらわれて地面に落ちる。

「ちょっと!汚れちゃうじゃないっ」

「大丈夫だよ。………「重さを無くし、枷を外せ…「フリー」」んで「穢れを落とし、汚れを無くせ…「クリア」」」

俺が呪文と魔法名を唱えると、スーピットの肉十一個がいっせいに浮かび、光に包まれる。

「何をしたの?」

「いや、ただたんに、汚れを落としただけだよ?「クリア」の魔法を使ってねっ」

「「クリア」ねぇ?…それも失われた魔法ロストマジック?」

「そういうこと。何も危なくないでしょ?」

「まぁ、今の魔法はね。…でも、さっきの…このボスーピットを倒した氷の魔法…たしか「アイスエンド」だっけ?あれは明らかに危ないでしょ?」

「あぁ、あれかぁ…あれはたしかに、少し危ないかな?」

「まぁ良いけどね。…むやみやたらに使わないでしょ?」

「当然っ」

「ならいいわ。…さて?まだ期間は残ってるけど、依頼人に持って行きましょうか?」

「そうだね…この罠を片付けたら行こうか?まだ日が高いしね?」

「そうね。それじゃあ片付けましょうか?」

そう言うと、エリカは自分が仕掛けた罠を片付けはじめる。

「りょうかーいっ」

俺も、自分が仕掛けた罠を片付けはじめた。

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