命の重さと可能性の重み

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番外編② 少女と少年の話

コンコンッ

「レア、入るぞ」

俺、夏野限無かのげんないはノックをしてから病室に入る。

「今日こそお前にうんと言わせてやるぞ」

「………あっそ。好きにすれば?」

「俺の力を使うには、同意が必要だからな…。お前がうなずいてさえくれれば、今すぐにお前の病を取り除いてやれる!!」

「頼んでないわ…。それに、あなたの力なんて信じられないし」

「そう言うなってば…」

「それに、私は死ぬことを受け入れているもの…。最近は痛みもないし、今のままなら気持ちよくいけそうなの」

「そんなこと言うなよ…悲しくなるからさ」

「あなたが悲しむことはないわ、これは私の問題だもの…」

「わかったよ…って言うと思うか?今日こそお前の考えを変えさせてやるよ」

「そう…頑張ってね」

「おうともさっ」

俺は、外の世界がいかに楽しいかを目の前の少女、結城礼亜ゆうきれあに聞かせる事で、レアの考えを変えさせようとしている。
俺の力を使えば、レアの病は治せる。
しかしレアの気持ちが変わらなければ、病が治っても意味がないのだ。
レアの死にたがりを変えるために、今日も俺は話をする。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「って事で、もう冬だから寒いけど、空気は実は綺麗なんじゃね?ってところで、今日の時間終了だ…また明日来るよ」

「…そう」

「んじゃ、風邪引くなよ?布団ちゃんとかけろよ?歯磨きしろよ?」

「それくらいはちゃんとするわよ…」

「そうか。ならまた明日」

「来なくて良いけどね…」

「じゃあなっ!」

俺は、病室を出て帰路についた。
明日こそはレアの気持ちを変えてみせるぜっ!

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