異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育成しています ~

柑橘ゆすら

濡れ衣



「あ~! やっぱり自分の部屋があるって最高だなー!」

 異世界に召喚されてからどらくらいの月日が過ぎただろうか。

 とある日のこと。
 夕食を済ませた俺は、ベッドの上に寝転んでいた。

 この屋敷は先日の鉱石探索のクエストで得たカネで購入したものである。

 レイスのユウコが悪い噂を流してくれたことが功をなした。
 この屋敷は『魔族が住み着いている』という評判により相場の10分の1くらいの価格で購入することが出来たのである。

 ちなみに現在のステータスはこんな感じ。


 カゼハヤ・ソータ

 職業  魔物使い
 レベル 576(↑6)
 生命力 262(↑4)
 筋力値 97(↑1) 
 魔力値 208(↑3)
 精神力 2993(↑30)

 加護
 絶対支配 

 スキル
 カプセルボール 鑑定眼 魔物配合 コンタクト 精神操作

 使役 
 アフロディーテ
 キャロライナ・バートン
 シエル・オーテルロッド
 ユウコ
 ワーウルフ
 アダマイトゴーレム
 ケダマロ
 ゴブリンナイト ×15
 ライトマッシュ ×6
 キツネビ ×4 
 マッドマッシュ ×2 


 レイスの美少女ユウコをゲットしたおかげで大量の経験値を獲得していた。
 今頃になって気付いたのだけど、俺がレベルアップするタイミングって、ほとんどが神族・魔族を使役した時に限るよな。

 効率的に強くなれるのは嬉しいんだけど、コツコツと真面目にレベリング、という楽しみ方が出来ないのが少し残念である。


「ソ~~~~~ォォォタァァァ!」


 突如として聞き覚えのある声が鳴り響く。

 うおっ。
 お、お前は……なんという格好をしているんだよ!?

 声のした方に目をやると、裸にバスタオル姿の美少女がこちらに向かって走ってきた。

 彼女の名前はアフロディーテ。
 金髪碧眼でスタイル抜群のアフロディーテは、美の女神を自称するだけのことはあって非の打ちどころのない容姿をしている。

 天界では人間たちを異世界に送り出すナビケーターとしての仕事をしていたアフロディーテであったが、色々とあって今では俺たちと一緒に冒険を送る仲間である。


「歯ぁぁぁ食いしばりなさい~~~!」


 事情はよく分からないけどアフロディーテは凄く怒っているようであった。
 アフロディーテは体重の乗った威力のあるパンチを俺に対して浴びせにかかる。


「よっと」


 ステータスの差もあってか、アフロディーテのパンチを避けることは容易かった。
 この女神さまは地上に降りてきた神族がかかる『呪い』の効果によってステータスの数値を軒並み落としているのである。


「ふぎゃっ!」


 俺がヒラリと攻撃を躱すとアフロディーテは勢い余って盛大に顔を地面に打ち付ける。

 グッジョブ!
 良いアングルを見せてくれるじゃないか。

 はらりとバスタオルが捲れて、プリプリとした可愛いお尻が丸見えになっていたことは秘密にしておいてやろう。


「うぅぅぅ! なんで避けるのよぉぉぉ!」


 アフロディーテは緩んだバスタオルを巻き直しながらも涙目になっていた。


「女の子のパンチを避けるなんて……ソータは最低の男ね!」

「悪かったよ。事情は聞いてやるから……機嫌を直せって」


 どうして謝っているのか自分でも上手く理由を説明することが出来ない。
 俺は今……メンヘラな彼女と付き合う男の心境を理解したような気がした。


「しらばっくれるんじゃないわよ! ソータが盗んだってことは知っているんですからねっ!」

「? 盗んだって何のことだよ」 

「し、下着よ! 下着! アタシがお風呂に入っている間にソータが盗んで行ったんでしょ!?」

「ちょっと待て。俺は何も盗っていないぞ?」

「ウソつき! この屋敷にはソータの他には女の子しかいないのよ? 他に誰が盗ったっていうのよ!?」

「本当だよ。神に誓ってもいい。俺は部屋の中でゴロゴロしていただけなんだ」

「神に誓うって……アタシがその女神なんですけどォッ!? それ、本当なんでしょうね?」

「…………」


 根気強く説得すると、ようやくアフロディーテは落ち着いてくれたようであった。

 たしかにこの屋敷の中に住んでいるのは俺以外、全員女の子である。
 だから唐突に下着が無くなったら1番最初に俺のことを疑いたくなる気持ちは分からなくもない。


「ああ。まずは他のやつらに事情を話してみようぜ。もしかしたらそこで何か分かるかもしれないし」

「……別にいいけど。本当にソータが犯人じゃないんでしょうね? これでも違っていたら本当に許さないわよ?」


 正直に話せば許してくれるつもりだったのか……。
 やはりこの女神さまは色々な意味でチョロ過ぎる。

 まぁ、そこがアフロディーテの憎めないところでもあるんだけどな。


 ~~~~~~~~~~~~


「というわけでディーの下着を盗んだ犯人を捜しているんだ。何か手がかりになりそうな情報を知っていたら是非とも教えて欲しい」

 それから。
 事件の真相を解明するべく俺は自分の部屋に女の子たちを集めて会議を開いていた。


「……えっ。下着を盗っていたのってソータさんじゃないんスか?」


 最初に疑問の声を上げた少女の名前はシエル・オーテルロッド。
 身長150センチほどの小柄な体躯のシエルは、マスコット的な可愛さを有している。


「ちょっと待て。もしかするとシエルも下着泥棒の被害を受けていたのか?」

「……ええ。この屋敷に住むようになってから何度か」

「どうしてそれを早く言わなかった!?」

「……なんというか自分の立場からはソータさんを非難しずらくて。こちらは養ってもらっている立場ッスからね」

「…………」


 なんということだろう。
 どうやら俺はシエルから女の子の弱みに付け込んで、エロいことを強要する鬼畜教師みたいな眼で見られていたらしい。


「ご主人さま。実を言うと私も何度か……」


 シエルに続いて被害報告をする少女の名前はキャロライナ・バートン。

 銀髪赤眼でスラリとしたスタイルのキャロライナからは、アフロディーテとは種類の違う妖艶な色気が漂っている。

 吸血鬼という特殊な種族に生まれたキャロライナは、この外見で年齢が既に300歳を超えているというのだから驚きである。


「キャロもなのか!?」

「ええ。てっきりご主人さまが使用なさっているのかと思って放置していたのですが……。犯人が別にいると分かると殺意が湧いてきました」

「…………」


 なんということだろう。
 どうやら俺はキャロライナから、仲間の下着を盗んでは夜な夜な淫行に励む変態みたいな眼で見られていたらしい。


「というかお主がやったんじゃろ。それ以外に考えられぬ」


 最後にゴミでも見るかのような蔑んだ眼差しをこちらに向けるのは、レイスのユウコである。

 クルクルの縦ロールの髪の毛を持ったこの少女は、現在屋敷の使用人としてキャロライナの下で働く立場にあった。


「うんうん。やっぱりどう考えてもソータが犯人としか考えられないのよね」

「ソータさんの場合……日頃の行いが悪すぎッス」

「ご主人さま。仮にご主人さまが下着を盗もうとも私は決して軽蔑したりしませんよ? それどころか私の下着でよろしければ幾らでも自由に差し上げます」


 どうやら俺の説得は無意味だったらしい。

 クソッ!
 揃いも揃ってこいつら……俺を犯人扱いしやがって!


「待ってくれ。たしかに俺はエロいことに興味はある! そこは否定しない。けれど、俺は下着泥棒なんてみみっちい真似はしねぇよ。どうせエロいことするなら俺は……もっと派手に堂々とやるぜ!」

「「「「あー」」」」


 俺の言葉を受けた4人の女の子たちは、一同にして妙に納得した感じの表情を浮かべていた。

 良かった。
 どうやらこれで俺の疑いは晴れたらしい。

 それにしても……今の言葉で納得するって酷くないか!?
 4人の眼から見て俺はどういう風に映っているのだろうか……。




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コメント

  • 真砂土

    あれ?なんか……デジャブ…

    0
  • ノベルバユーザー89126

    ユウコより強いキャロライナでレベルが上がらなかったのはなんでですか

    0
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