異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育成しています ~
エピローグ ~ 念願の屋敷 ~
それからの話をしようと思う。
裏切りものの勇者――ガルド・ウェストバーグとの戦いが終わってから暫くの時間が流れた。
色々あって俺は……ユウコの住んでいた屋敷を購入することにした。
それというのもユウコが魔族狩りの連中を幾度となく追っ払ったおかげで、『屋敷の中に魔族が住み着いている』という噂が流れ、屋敷の資産価値が暴落していたからである。
ふふふ。
ユウコから話を聞いていたときから「もしや?」と思っていたのだが……。
こんなに期待通りに事が運ぶとは嬉しい誤算であった。
キャロライナの話によるとこの屋敷の資産価値は、優に50億コルと超えているらしいのだが、購入金額はその10分の1くらいで済ませることができた。
どこからそんなカネが出てきたかって?
もしろんそれは鉱石採取クエストで手に入れた報酬からに決まっている。
今回の一件で資産の9割は使ってしまったが、それだけの価値がある買い物だったと思う。
「も~! どうして女神であるアタシが掃除なんてしないといけないのよ~」
「ゼェ…ハァ……。この廊下……いくらなんでも長すぎッス」
今現在。
俺たちは長らく使われていなかった屋敷の掃除をしていた。
アフロディーテ&シエルは、半ばヤケクソになりながらも廊下のゾウキンがけを行っている。
「まったくの同感じゃ。どうして魔族である妾が人間なんぞに使われなければならないのじゃ!」
「【つべこべ言ってないで働け】」
「ぐぬぅ……。忌々しい魔物使いめっ。覚えているのじゃ!」
俺が命令権を行使すると、ユウコは渋々といった感じで掃除を再開する。
自由に空を飛ぶことが出来るユウコには、天井に作られた蜘蛛の巣の撤去作業をお願いしている。
「「「ゴブッ! ゴブッ!」」」
「「「ヴゥゥゥゥゥ」」」
ちなみに今回の屋敷清掃作戦には、魔物たちにもフルに手伝ってもらっている。
俺が使役しているゴブリン軍団はもちろん、ユウコの眷属であるグールたちも総出であった。
最初に出会った時は腐った卵のような臭いを感じたが、あの臭いはグールたちが警戒時にのみ発するものらしい。
原理としてはスカンクと同じような感じである。
「……ご主人さま。このように貴重な本を頂いて本当に良かったのでしょうか?」
「ああ。屋敷の中に放置していても宝の持ち腐れだろうしな」
キャロライナにはボールの中に持ち込む本の選定作業を任せている。
ああ。
そうそう。
屋敷の中には、キャロライナが欲しがっていた書物を始めとして様々なものが置かれていた。
実を言うとそのことが俺が購入を決意した理由の1つだったりする。
まあ、元々ボールの中に契約した女の子たちを閉じ込めていることに対しては罪悪感があったし、大きな家が欲しいとは思っていたんだよな。
これだけの屋敷があればスキルの検証作業のために林の中にまで移動する必要もないし、魔物たちの訓練場を作ってやることもできるだろう。
こうして俺はボールの設備拡充計画にあった3つの課題を全てクリアーすることに成功するのであった。
~~~~~~~~~~~~
屋敷の清掃を終えてから翌朝のこと。
えーっと……どうしてこうなった!?
目を開けると、そこにいたのは同じベッドの上で眠る3人の美少女であった。
「むにゃむにゃ……。ソータ……ご飯はー?」
「スゥ……。流石はご主人さまです……」
「コタロウ……そんなところを舐めないで欲しいッス……」
3人はそれぞれ思い思いに俺の体にしがみ付きながらも寝言を口にしていた。
心臓がバクバクと鳴っているのが分かる。
いい加減にしろ!
こんな可愛い女の子たちに抱き付かれて眠れるはずがないだろ!
何故だろう。
3人の要求する設備はボールの中に入れたはずだし、それどころか個室まで与えているわけだが……。
ボールの設備を拡充したところで俺の生活は変わらなかったらしい。
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