異世界モンスターブリーダー ~ チートはあるけど、のんびり育成しています ~

柑橘ゆすら

作戦決行



 コカトリスを誘き出す餌を用意したところで今度は魔物の配置である。
 とりわけ今回の作戦で大きなウェイトを占めるのはマッドマッシュだろう。

 俺はコカトリスの襲撃に備えて次々に魔物を召喚すると、最後にカギとなるマッドマッシュを呼び出した。


「ノコッー!」


 ピンク色のキノコ傘を持ったマッドマッシュは、クネクネと体をくねらせながらも奇妙な声を上げていた。

 俺はマッドマッシュをコカトリスが寝床にしている大樹の前まで移動させる。

(マッドマッシュ……乱れ粉だ!)

 こいつのスキルが予想外に広範囲に届くことは既に実験済みである。

 2匹のマッドマッシュが放った乱れ粉は、巣の中で羽を休めているコカトリスの元にまで到達した。


「グギャアアアアアアアス!」


 コカトリス 等級B LV24/30 状態(発情)

 よし! 
 作戦の第一フェーズ成功だ!

 鑑定眼のスキルを使ってみるとコカトリスのステータスが発情状態になっているのを確認することができた。


(ディー。こっちは上手くいった! 後は頼んだぞ!)

(うん。オッケー!)


 作戦が上手くいったことを確認した俺は、木の蔓に縛り付けられている女神さまに向かってサインを送る。


「うっふっ~ん。コカトリスちゃん~! こっちに来て、アタシと良いことしましょう❤」


 俺の合図を確認したアフロディーテは、わざとらしい台詞を吐きながらもセクシーなポーズ取っていた。

 発情状態に陥ったコカトリスは、地面を這うような低空飛行でアフロディーテに近づいていく。

 ところが――。


「ぎゃああああ! ソータッ!! ソータ早く! 助けて!!」


 先程までの色仕掛けは何処にやら――。
 接近するコカトリスの迫力に負けたのか、アフロディーテは手足をジタバタとさせながらも叫んでいた。


(ゴブリンナイト! 陣を組んでくれ!)


 俺は事前に配置していたゴブリンナイト10匹に指示を飛ばしてコカトリスの動きを封じにかかる。

 ここから考えられるコカトリスの行動パターンは2種類。
 正面にいるゴブリンナイトたちを避けてくるか、構わず突っ込んでくるかである。


「ぐごおおおおおおおおおおおおおお!」


 発情状態の効果恐るべし!
 結果は後者だったらしい。

 興奮したコカトリスは一切の減速をせずに、重量級のゴブリンナイトに突進していく。

 コカトリスがゴブリンナイトに衝突した瞬間、絶好のチャンスが訪れた。


(ライトマッシュ……痺れ粉だ!)


 俺は事前に配置していたライトマッシュに指示を投げて、動きの止まったコカトリスに向かって胞子を飛ばす。


「ゲッゲゲゲッゲッ!」


 大量の胞子を吸い込んだコカトリスは、巨大な翼を動かしながら地面の上をイモムシのように転がり回り大量の土煙を巻き上げる。


「クッ……。こいつ!」


 麻痺で動きを封じているのに凄まじい抵抗である。

 相手が麻痺状態から回復したら厄介だ。
 空に向かって逃げられたら次にコカトリスを倒す手段はない。

 俺はゴブリンナイトに指示を飛ばして、コカトリスの身柄を取り押さえるように命令する。


「グギャアアアアス!」


 それでも動きが止まらないので徐々に魔物の数を増やして対抗する。

 その結果――。
 14匹目のゴブリンナイトを向かわせた頃には、なんとかコカトリスを無力化することに成功した。

 暫く時間が経つと、コカトリスは体をピクピクと体を痙攣させて嘘のように大人しくなっていた。

 勝負に一区切りがついたことを確認した俺はホッと胸を撫で下ろすのであった。



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コメント

  • ノベルバユーザー291854

    痺れ粉のほうが射程短いからでは?

    0
  • ノベルバユーザー89126

    最初に乱れ粉当てれるなら痺れ粉開幕うった方が確実やったやん

    3
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