異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
VS ゴールドランク
「素直に驚いたよ。一体キミはどんな手を使ってウォームたちを倒したんだい? まさかボクの仕掛けたワナがこんなにもあっさり突破されるとは予想外だった」
後から洞窟に入ってきたエドワードは、ウォームを倒した人間が別にいることを知らない。
悠斗のことをウォームの巣に呼び出したのは、あくまで戦闘に入るまでに少しでも体力を削っておければという意図だったのである。
「1つ聞きたい。どうしてお前は俺の命を狙う?」
出会い頭に悠斗は素朴な疑問を口にする。
悠斗がエドワードと顔を合わせたのはただの1回だけで、特に何か恨みを買われるような行動をした記憶はなかったのである。
「ユートくん。ボクはね。この街のヒーローになるべくして生まれたきた男なんだよ」
エドワードの答えは悠斗の予想を悪い意味で裏切るものだった。
「ボクの名前はエドワード・ウィルソン。容姿端麗。頭脳明晰。貴族の血を引きながらも下々に優しく、ボランティアとして冒険者活動をこなしている。全ての女はボクを見て胸をときめかせ、全ての男はボクに対して尊敬の眼差しを向ける。
南の紛争では英雄的な活躍を遂げて、王都では華々しく凱旋を遂げる予定だった。そうだろう?」
妄想と誇張が入り混じったエドワードの言葉を悠斗は呆れ半分で聞いていた、
「ところがどうだい? せっかくボクが帰ってきてやったというのに下々の民の対応といったらガッカリなものだったよ。
それもそのはず――。ボクが戦争に出ている間、王都にはキミという新しいヒーローが誕生していたんだからね」
エドワードが打ち立ててきた武勇伝が冒険者たちの間で語り継がれてきたのは過去の話。
数々の凶悪なモンスター、魔族を打ち倒して瞬く間の間に名を上げた悠斗の存在は、すっかりとエドワードの影を薄くして行ったのである。
「この街に2人もヒーローはいらないんだ。だから悪いけど――偽物には消えてもらうよ」
高らかに宣言したその直後。
魔物の壺@レア度 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
(魔物を封じ込める効果を持った魔法の壺)
エドワードはバックの中からレア度9のアイテムを取り出した。
ヒートドラゴン 脅威LV32 状態 (テイミング)
アクアドラゴン 脅威LV32 状態 (テイミング)
フェザードラゴン 脅威LV32 状態 (テイミング)
魔物の壺の中から3匹のモンスターが出現する。
赤、青、緑、とそれぞれ特徴的な肌の色を持った3匹のモンスターは『属性竜』と呼ばれる、最も有名なドラゴンであった。
「テイミング……? ああ。そっか。ギリィも言っていたっけ。最近はやけに使役済みのモンスターと出会うと思っていたんだが、お前の仕業だったのか」
これまでの疑問が一気解消された瞬間であった。
冒険者としてのエドワードの手口は一貫している。
使役した強力なモンスターを冒険者たちが集まりそうなエリアに放ち、冒険者の大量虐殺を実施する。
やがて問題を察したギルドが緊急クエストという形でモンスターの討伐依頼を出した後、エドワードが華麗にクエストを達成してみせるのだ。
このマッチポンプによってエドワードは短期間でのゴールドランク昇格を成し遂げたのである
「なっ。貴様……魔眼のスキルホルダーだったのか!?」
悠斗の言葉を聞いたエドワードは動揺していた。
相手が魔眼のスキルホルダーと分かれば絶対に生かしておくわけにはいかない。
魔眼のスキルホルダーにかかれば、エドワードの仕掛けるマッチポンプが一瞬にして看過される危険性があるからである。
「やれ! ドラゴンたち!」
「「「ぐうおおおおおおおおおおおおおおお!」」」
エドワードの命令を受けた3匹のドラゴンたちは悠斗に向かって一斉にブレス攻撃を発射する。
火、水、風、3つの属性が入り混じった攻撃は洞窟の中に大爆発を引き起こした。
「フハハハ! どうだ! 3属性同時ブレスの威力は!? 骨も残るまい!」
自らの勝利を確信したエドワードだったが、そこは異変に気付く。
ズドオオオオオオオオオオオンッ!
突如として宙を舞うアクアドラゴンの巨体が地面に墜落していた。
ズドオオオオオオオオオオオンッ! ズドオオオオオオオオオオオンッ!
間髪入れずにフェザードラゴン、ヒートドラゴンまでもが続けて地面に墜落した。
一体目の前で何が起きているのか?
現実を受け止めきれずにいたエドワードはその場に呆然と立ち尽くしていた。
「あのさぁ。もしかしてお前バカだろ? 洞窟なんかでドラゴンを出したら長所を殺すようなもんだぜ?」
正論を突かれたエドワードは言葉を返すことができないでいた。
たしかにドラゴンを活かすには洞窟のような閉鎖的な空間は不向きだった。
だがしかし。
そもそもエドワードは先程のブレスで悠斗の体を完全に消し飛ばす予定だったのである。
一体何故?
どうして悠斗はブレス攻撃を掻い潜り、ドラゴンに接近することができたのか?
エドワードにはそれが理解できなかった。
影縫@レア度 ☆☆☆☆☆☆
(影の中限定で高速移動を可能にする力)
悠斗がブレス攻撃を回避してドラゴンに接近できた理由は、《影縫》のスキルにあった。
前後左右あらゆる場所に『影』のある洞窟の中ならば《影縫》を使用して、壁伝いに天井に向かってドラゴンの背中に飛び乗ることが可能だった。
レクト
(対象の重量を上げる魔法)
悠斗が一瞬でドラゴンを無力化できた理由は呪属性魔法のレクトにあった。
機動力を削がれたドラゴンたちは地面を泳ぐようにジタバタともがいている。
生物に対しては効果が薄い、というデメリットのあるレクトの魔法であるが、エドワードの使役しているドラゴンは鎧を装備していため、一瞬で無力化することができた。
「クククク。アハハハハ!」
頼りにしていたモンスターを同時に無力化されて気が触れたのだろうか?
突如としてエドワードは高らかに笑い始める。
「……何がおかしい?」
「いやいや。たった3匹のモンスターを倒したくらいで勝ち誇っているキミを見ていると不思議と笑いが止まらなくってね」
挑発的な態度を取ったエドワードは再び《魔物の壺》を振りかざす。
スケルトン 脅威LV7 状態 (テイミング)
リザードマン 脅威LV10 状態 (テイミング)
コボルト 脅威度 LV5 状態 (テイミング)
コボルトソルジャー 脅威度 LV16 状態 (テイミング)
中から出てきたのは2足歩行で移動する4種類のモンスターであった。
「そんなに地上戦がお望みならば受けてたってやろうじゃないか!」
その数、総勢50以上。
これだけの数のモンスターを同時に相手にするのは、悠斗としても初めての経験であった。
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