異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

VS ジュエルウォーム



 ポッチョに案内されて向かった先にあったのは、岩肌の中に切り開かれて作られた洞窟であった。
 入口こそ小さく、分かりくい場所にあるものの中はひょうたん型の構造になっているらしく広々としていた。


「おい。ポッチョ。本当に大丈夫なんだろうな? 何だか見るからにヤバそうな雰囲気だが……」


 早々に怖気づいたヒラリーは悠斗たちに気付かれないよう仲間と密談を交わしていた。


「知らねえよ! 離せ! オレだって怖いんだ!」

「なぁ。やっぱり辞めにしないか? 今ならまだ引き返せる」

「行きたいなら1人で行きな。オレはこのまま手ぶらで帰りたくはねえ」

「そ、そうだけどよ……」


 出現するモンスターのレベルが上がるということは、必然的に2人の命が危険に晒されるリスクも上がるということである。

 この作戦の欠点は、2人が未知のモンスターに対応できるかが不確定という部分にあった。


 ズゴゴゴゴゴゴッ!


 探索を続けていくと突如として周囲の土が盛り上がっていく。
 何事かと思い身構えると、今までに見たことのないタイプのモンスターが土の中から顔を出した。


 ジュエルウォーム 脅威LV11


「「で、出たぁぁぁぁ!?」」


 ヒラリー&ポッチョは互いに体を寄せあったまま、腰を抜かしていた。

 頭の先端部分がキラキラと光っているジュエルウォームは、体長2メートル近い巨大なミミズのモンスターであった。


(脅威LV11か……。この辺に出てくるモンスターとしては結構強めだな)


 敵の数は2体。
 巨大ミミズが並んで頭を出す光景は見ていて生理的な嫌悪感を煽るものがあった。

 グロテスクな外見を持ち、雑食で、時には人間の肉すら食べるウォーム系のモンスターは冒険者たちの間では畏怖の対象となっていた。


「ユウコさん。前衛は私に任せて下さい」


 男たちとは対照的に果敢な行動を取ったのはスピカであった。


「たぁぁぁ!」


 スピカは持前の身軽な剣技を駆使してジュエルウォームの1匹に切りかかる。

 シュパンッ。

 一閃。スピカの振るった剣はジュエルウォームの頭を捉え、大ダメージを与えることに成功する。


「キュピイイイイイイ!」

「なっ。土の中に……!?」


 危険を察知したジュエルウォームは2匹同時に土の中に隠れてしまう。
 土の中を高速で移動することが出来るウォームは、何より止めを刺すことが難しいモンスターだと言われていた。


「大丈夫。俺が敵を引きずり出すからスピカは追撃を頼んだ」


 不敵に笑った悠斗はジュエルウォームが作った穴の1つに手を翳す。


(ホットウォーター!)


 水属性魔法のウォーターと火属性魔法のファイアを組み合わせた《ホットウォーター》の魔法は、悠斗が開発した合成魔法の1つである。

 蒸気にならないギリギリの温度を持った大量の熱湯は、穴の中をたちまち灼熱地獄に変えていく。

 熱さに負けたジュエルウォームは穴の中から顔を出す。


「はあああぁぁぁ!」

「「キュピイイイイイイ!」」


 会心の一撃。
 嗅覚レーダーによって事前に相手がどの穴から出てくるのか当たりをつけていたスピカは見事にジュエルウォームを討伐することに成功する。

 悠斗はそこでステータスを確認。


 近衛悠斗
 固有能力: 能力略奪 隷属契約 魔眼 透過 警鐘 成長促進 魔力精製 魂創造 魔力圧縮 影縫
 魔法  : 火魔法 LV4(12/40) 水魔法 LV7(0/70)
       風魔法 LV6(18/60)  聖魔法 LV6(37/60)
       呪魔法 LV6(6/60)
 特性  : 火耐性 LV6(16/60) 水耐性 LV3(15/30)
       風耐性 LV7(61/70)


 水耐性の項目が6上がっていた。
 どうやらジュエルウォームから取得できるスキルは水耐性プラス3らしい。


(水耐性を持ったモンスターにも熱湯攻撃は有効っていうことだろうな)


 たまには魔法をメインに戦ってみるのも悪くない。
 悠斗にとって今回の遠征は、武術をメインに据えた戦闘では気付けなかった発見の連続であった。


「びえええええ! 見て下さい! ユウコさん! モンスターの体から綺麗な石が出てきましたよ!」

「おお。やったなスピカ」


 ウォームの宝石@レア度 ☆☆☆
(ウォームの体内から採れる綺麗な石。別名、山の真珠と呼ばれている)


 ジュエルウォームから採取できる『ウォームの宝石』は装飾品として根強い需要を持ったアイテムだった。

 ウォーム系統のモンスターの中には、体内に取り込んだ石を宝石に変える種が存在しているのである。


「な、なんなんだよ……? こいつら……!?」


 ポッチョは戦慄していた。
 ポッチョの眼から見て2人の実力は明らかにブロンズランクの冒険者か、下手をすればそれ以上のものに感じられた。


「じ、冗談じゃねぇ! こんな化物だらけの洞窟にいられるか! 悪いが、オレは死にたくねえんだ!」

「あっ。おいっ。待てよ! ヒラリー!」


 臆病風に吹かれたヒラリーは元来た道を引き返して、ポッチョはそれに続く。


(なんだ……。何か……来る……?)


 その時、悠斗はたしかに洞窟の入口から迫ってくる気配を感じ取っていた。


 サラマンダー 脅威LV 24  状態 (テイミング)


 逃げ出そうとするヒラリーを塞ぐかのように出現したのは、全長8メートルにも達しようかという巨大な赤竜であった。

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