異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
魔族会議
此処はエクスペインの中でも一際、治安の悪い《スラム》と呼ばれる地域である。
ガリガリに痩せ細ったストリートチルドレン。
麻薬のトリップにより呆けた表情で、地面で寝転がっている中年男。
ボロを纏った薄汚れた売春婦。
などなど。
スラムの中は奴隷商人たちにもソッポを向かれるような人間たちで溢れかえっている。
そんなスラムの中心部に貴族の屋敷と見紛うほどの豪邸が存在していた。
七つの大罪の1人――。
怠惰の魔王ことベルフェゴールの屋敷である。
「……ったく。ルシファーの旦那も酷いことするぜ。よりにもよってオレの家を集合場所に選ぶことはねーじゃないか!」
「すまんな。ベルフェゴールよ。七つの大罪を招集するには、スラムという環境は何かと都合が良いものでな」
今現在。
屋敷の中には最強の魔族集団――7つの大罪の内、6人の魔族が集結していた。
傲慢の魔王、ルシファー。
憤怒の魔王、サタン。
嫉妬の魔王、レヴィアタン。
怠惰の魔王、ベルフェゴール。
暴食の魔王、ベルゼバブ。
色欲の魔王、アスモデウス。
個人主義者の七つの大罪が一度にこれだけ集まるのは、500年前のレジェンドブラッドとの戦闘の時以来であった。
「テメェ! コラ! ルシファー! マモンの野郎はどうした!? あのキザ野郎……何時になったら現れるんだよ!」
何時まで経ってもマモンが顔を見せない状況に痺れを切らしたのはサタンであった。
整髪料により逆立てた頭髪とシルバーのアクセサリーを付けたサタンの外見は、スラムをうろつくゴロツキたちと大差がない。
しかし、外見に騙されてはならない。
魔族として日々の鍛練を欠かさないサタンは七つの大罪の中でも一二位を争う武闘派として、その名を知られていた。
「マモンは死んだ。先日、四獣の塔で遺体として発見されたよ。今日の集まってもらったのは他でもない。その事後対応の話をしようと考えていたのだ」
「「「「「「…………!?」」」」」」
ルシファーから仲間の死亡報告を受けた他の5人の魔族たちは、驚愕のあまり言葉を紡ぐことが出来ずにいた。
「ちょっとルシファー! それどういうこと!? たしかにアイツの戦闘能力はウチらの中では貧弱だった方だけど……。そう簡単に殺られるような玉ではなかったはずよ! その報告……間違いなんじゃないの!?」
この報告に対して最初に異議を唱えたのは、ルシファーの右腕として魔族たちを纏める立場にあるレヴィアタンであった。
七つの大罪一の美女として名を知られているレヴィアタンには、年齢を重ねた女性にしか出せない妖艶な色気があった。
「……レヴィアに同意する。そもそも奴の周りには『四獣』がいる。レジェンドブラッドクラスの相手が現れたところで遅れを取るはずもなかろう」
レアヴィアタンに同調するように声を上げたのは、メンバーの中でも最古参のアスモデウスである。
普段は寡黙な武人として名を知られているアスモデウスであったが、この時ばかりは声の中に動揺の色が混じっていた。
「私も最初聞いた時は何かの間違いだと考えていたよ。しかし、実際にこの目で確認した。残念だがマモンの死は紛れもない事実……」
「ふざけるな!」
ルシファーの報告を遮るようにサタンは怒気を孕んだ声を上げる。
「マモンが死んだだと……!? んなもん簡単に信じられるかよ! オレは絶対に信じねぇ! この眼で確認するまでは……絶対に信じねーからな!」
感情に身を任せたサタンはそんな言葉を残すと、無言のまま部屋を後にする。
「ちょっと! サタン! 貴方……どこにいくのよ!?」
「放っておけ」
「でも……」
「最初から分かっていたことだ。言葉で何か言ったところで奴を納得させることは出来ないだろう」
ルシファーにとって此処までの事態は想定の範囲内である。
軽薄なようでいて誰よりも仲間の輪を重んじていたサタンが、マモンの死を受け入れるようになるまでには暫く時間がかかるだろう。
「さて。今後のことを決めておこうか。まずはマモンを殺した犯人の特定だが……これについてはレヴィアタンとベルフェゴールに任せたいと思っている。レヴィアの能力があれば犯人の能力を割り出すことは容易だろう」
「了解」
「……チッ。なんでオレが」
ルシファーの予想が正しければマモンを殺した犯人は、過去に対立したどんな相手も凌駕するほどの難敵である。
能力の相性を考えるとレヴィアタンは当然として、不測の事態に備えて七つの大罪の中でもルシファーに次ぐ実力を持っているベルフェゴールは外せない。
「アスモデウスとベルゼバブは失踪したマモンの部下の行方を追ってくれ」
部下から受けた報告によれば、マモンの死亡を契機に四獣の塔から宝を持ちだして逃亡中の魔族がいるらしい。
地道な作業になるが、最古参のアスモデウスの人脈があれば居場所を割り出すことも出来るだろう。
メンバー最年少のベルゼバブは、仕事の内容に依らず経験豊富なアスモデウスとコンビを組んで仕事をすることが多かった。
(ヤッバ~。もしかしてマモンを倒したのはユートさまなのかな? でもアタシはまだマモンの情報を教えていないしなぁ)
悠斗がマモンの行方を追っていたのは部屋の中にいた魔族の中では、ベルゼバブのみが知っている情報であった。
ベルゼバブは以前にマモンの居場所が分かり次第、悠斗に報告をする約束を交わしていたのであった。
もし仮に――。
マモンと悠斗が接触するような事態が起きたのならば、二人が戦闘に入る可能性は十分に考えられる。
(あ~あ。どうしてアタシがこんな退屈な作業を……。早くユートさまに会いたいなぁ)
仕事の説明を聞いていても内容が全く頭の中に入ってこない。
悠斗に対して情熱的な恋心を抱くベルゼバブは深々と溜息を吐くのであった。
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コメント
ノベルバユーザー231017
やばい
清水 裕斗
ベルゼバブぅぅおっひさ〜☆
待ってたよ!!