異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
VS 強欲の魔王1
時刻はマモンがワインを口から吹き出す10分ほど前まで遡る。
塔の中に足を踏み入れようとした悠斗は今まで体験したことのないほど大ボリュームの、アラーム音を聞くことになる。
警鐘@レア度 ☆☆☆☆☆
(命の危機が迫った時にスキルホルダーにのみ聞こえる音を鳴らすスキル。危険度に応じて音のボリュームは上昇する)
「どうした主君? 中に入らないのか?」
「あー。シルフィア。やっぱり玄関から入るのは止めにしよう」
どうやら塔の中には侵入者を殺すための仕掛けが幾つも容易されているらしい。
そうでもなければ警鐘のスキルがこれほど大きな音を鳴らすはずがないだろう。
「しかし、主君。マモンに会いに行くにはこの扉から入らないことには……他に方法がないぞ」
「いいや。1つだけ方法はある……!」
突如として悠斗はお姫様抱っこの要領で腕に抱える。
「なっ。ななな!? 主君……何をするのだ!?」
「いいから。舌を噛まないように口を閉じていろよ」
「…………!?」
悠斗はそれだけ言うと呪魔法と風魔法を合成して編み出した《飛行魔法》を発動して、グングンと最上階に近づいていく。
四獣の塔には空からの外敵を排除するトラップが幾つか用意されていたのが――。
《魔力圧縮》の効果で飛行スピードを上げていた悠斗に攻撃が届くことはなかった。
このような経緯により――。
悠斗は2分としないうちに最上階の《黄金の間》に辿り着くことに成功したのであった。
~~~~~~~~~~~~
マモン
種族:堕天使
職業:七つの大罪
固有能力:読心 隷属契約
読心@レア度 ☆☆☆☆☆☆
(対象の心の状態を視覚で捉えることを可能にするスキル)
隷属契約@レア度 ☆☆☆
(手の甲に血液を垂らすことで対象を『奴隷』にする能力。奴隷になった者は、主人の命令に逆らうことが出来なくなる。契約を結んだ者同士は、互いの位置を把握することが可能になる)
羊の角を頭から生やしたマモンという魔族は、この世界ではあまり見かけないメガネをかけていた。
その風貌を一言で表すなら『インテリヤクザ』という言葉が相応しい。
保有している固有能力の数は2つだけに見えるが、油断してはならない。
魔眼の能力ではレアリティ《詳細不明》のスキルまでは看破することが出来ないのである。
「なっ。貴様は一体どうやって……?」
「あー。玄関から入ると上の階に着くのが大変そうだったからな。空から侵入させてもらったよ」
「…………ッ!?」
マモンにとっての誤算は、悠斗が人間でありながらも《飛行魔法》を有していたからに他ならなかった。
「それで一体ボクに何の用だというのだ? 遠路はるばるこの塔を訪れたということは何か訳があったのだろう?」
動揺していないと言うと嘘になる。
けれども。
魔族の頂点に君臨するマモンは不測の事態を前にしても平静を取り繕っていた。
マモンの中には『人の上に立つものは下々に動揺を見せてはならない』という確固たる信条が存在していたのである。
「俺はこの世界とは違う世界から来たんだが……元の世界に帰る方法を探している。もし何か知っていることがあれば教えてくれ」
「…………」
(どうやら……嘘は言っていないようだな)
マモンは他人の心の状態を把握する《読心》のスキルを有している。
嘘を吐けば少なからず心に乱れの色が見られるものだが、眼の前の少年にはそれが見られない。
「なるほど。要件は分かった。そこで待っていろ。貴様の用事なら直ぐにでも終わるだろう」
マモンは思案する。
異世界から召喚した人間を元の場所に戻す《帰還の魔石》というアイテムは、所有する鉱山から偶然に発見したものである。
希少価値でいうと《召喚の魔石》の数百倍は下らないが、珍しいというだけで自分が所持していても持て余すだけである。
ならばここは素直に《帰還の魔石》を引き渡して、大人しく出て行ってもらう可能性に賭けるべきだろう。
「貴様が探していたのはこのアイテムだろう」
マモンは金庫の中から目当てのアイテムを取り出すと、悠斗に対して投げ渡す。
帰還の魔石@レア度 詳細不明
(異世界から召喚された人間を元の世界に戻すアイテム。魔力を込めることで次元の扉が開かれる。このアイテムで元の世界に戻ることができる人間は1人まで)
そこで悠斗が眼にしたのはトライワイドに召喚されて以来、探し続けてきた『元の世界に帰る方法』そのものであった。
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