異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
死のダンジョン
一方、同刻。
悠斗・スピカ・シルフィアの3人はエアバイクを走らせてローナス平原に出現したダンジョンまで脚を運んでいた。
「うーん。改めて見ると凄い建物だなぁ」
ピラミッド型のダンジョンを目の当たりにした悠斗は、思わず感嘆の声を漏らす。
広大な敷地面積を誇り天に向かって伸びていくダンジョンは、圧巻の存在感を放っていた。
「なんでしょう。建物の素材はレンガに近い形をしていますが、表面がツルツルとしています。見たことのない材質です」
ダンジョンの扉の前に立ちながらスピカはそんな感想を漏らす。
「……まあ、ここで悩んでいても仕方がないし、とりあえず中に入ってみようぜ」
「分かりました」
「了解した」
ローナス平原に移動するまでの時間で、スピカとシルフィアにはベルゼバブと交わした約束の内容について話をしていた。
最初は何となく物見遊山の気分でダンジョンを探索をする予定であったのだが、事情が変わった。
今回のダンジョン攻略クエストを誰よりも早くクリアすることが出来れば、現代日本に戻るための有力な手掛かりを掴める可能性が高い。
そういう意味では悠斗にとって今回のクエストは是が非でも、クリアしなければならないものであった。
悠斗たちは足並みを揃えて、ピラミッド型のダンジョンの入口に足を踏み入れる。
異変が起きたのは、その直後であった。
「おいおい。なんだこりゃ……」
まず最初に悠斗たちのことを出迎えたのは、噎せかえるような血の臭いであった。
臭いのする方に目をやると、ダンジョンの通路の中心部に無数の死体が転がっているのが見えた。
「これは……酷いな。死体の状況から判断するに時間はそう経っていないだろう。おそらく彼らは我々と同じように今日になって初めてダンジョンに足を踏み入れたばかりの冒険者たちだ」
「そうみたいだな」
おそらくシルフィアの予想は当たっているのだろう。
死体をよく観察してみると、何人かは冒険者ギルドで見たことのある顔があった。
「……ご主人さま。何か様子がおかしいです。これほどまでの血の臭いを建物の中に入るまで全く感じることが出来ないだなんて」
「ああ。それは俺も思っていた」
疑問に思った悠斗が後ろを振り返ると、奇妙なことに気付く。
先程までは存在していたはずのダンジョンの入口が何処にも見当たらない。
扉が閉まったとか、そういった次元の話ではない――。
物理的に入口が綺麗サッパリ悠斗の目の前から消失していたのである。
「……どうやら俺たちはこの建物の中に閉じ込められたらしい」
今にして思えば、このダンジョンは冒険者が足を踏み入れると同時に、特定の別空間に転送させる仕組みになっていたのかもしれない。
そう仮定すると、スピカの嗅覚が血の臭いを知覚できなかったことにも納得が行く。
「……主君。私は詳しく知らないのだが、ダンジョンというものは、冒険者たちを閉じ込めるトラップが搭載されているものだろうか?」
「いや。少なくとも俺はそんな話は聞いていなかったな」
仮にそんな危険なトラップがあるのならば、冒険者ギルドから何かしら忠告があるはずだろう。
不自然な点はまだある。
それは周囲に転がっている冒険者の死体だ。
冒険者ギルドから受けた説明によると今回、出現したダンジョンのランクはE1。
難易度としては下から2番目のものらしい。
まだ入口だというのに、これほどまでの死人が出るものはおかしな話である。
「先に進もう。なんとなくだけど……ここに留まっておくのは危険な気がする」
とにかく今は少しでも情報が欲しい。
ダンジョンの奥に進んで生存者に出会うことが出来れば、今回の異変についての情報を得ることができるかもしれない。
主人の意見に従い悠斗たちが、通路を進んで次の部屋に入った直後であった。
「クソッ! このトカゲ野郎がっ!」
突如として、聞き覚えのある声が部屋の中に鳴り響く。
サラマンダー 脅威LV 24
瞬間、悠斗の視界に飛び込んできたのは二つの影であった。
1つは全長8メートルにも達しようかという巨大な赤竜。
そしてもう1つは――。
竜と対峙し満身創痍の女冒険者、ラッセン・シガーレットであった。
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