異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~
VS 怠惰の魔王2
闇堕ち。
その能力こそがベルフェゴールの所持する6つめの固有能力であり、彼の切り札と言えるスキルであった。
ベルフェゴールは《闇堕ち》の能力をウッドヘッドに使用する。
その直後。
ウッドヘッドの体は途端に膨張して巨大化していく。
「……ぬお。なんだこりゃ!?」
レアリティが詳細不明の能力は魔眼のスキルによって存在を認知することができない。
そのため。
悠斗は目の前で何が起きっているのか正確に判断することができなかった。
ウッドパスカル
種族:ウッドヘッド
職業:なし
固有能力:成長促進
成長促進 レア度@☆☆☆☆☆☆☆
(植物の成長を加速させる能力)
ただ1つ分かったことは、目の前にいた何の変哲もないウッドヘッドが巨大化して《ネームドモンスター》に進化を遂げたということである。
「お前さんマモンに関する情報が欲しいんだって? 良いだろう。オレ様の自慢のペットを倒すことが出来たら特別に教えてやるよ」
「ははっ。そりゃあどうも」
「……という訳で。いけ! ウッドパスカル! そいつを叩き潰せ!」
ベルフェゴールが命令するとウッドパスカルは全長20メートルを超える巨体を動かし始める。
鞭のようにしなる木の蔓が悠斗に向けて強襲。
悠斗は持前の身体能力でなんとかそれを回避する。
けれども。
ウッドパスカルの攻撃は止まらない。
合計16本の巨大な木の蔓を同時に操るウッドパスカルは、息を吐く暇もなく悠斗に攻撃を仕掛け続ける。
「っと!」
悠斗が攻撃を回避すると、木の蔓の1つが和也の死体に突き刺さった。
直後。
和也の肉体は養分を吸い取られてミイラ化して行く。
「……おいおい。マジかよ」
一度でも攻撃があたれば、それが致命傷になりかねない。
干からび上がった和也の肉体を目の当たりにして悠斗の緊張感は更に増して行く。
(……どうする。どうやってコイツを仕留める?)
本来であれば悠斗の目的はベルフェゴールからマモンについての情報を聞き出すことであり、目の前の相手と戦う理由はない。
けれども。
ウッドパスカルは16本の蔓の内の8本をベルフェゴールを守るために使っていた。
ベルフェゴールに接近するには、どうしてもウッドパスカルを撃退する必要がある。
(……やるしかないか)
悠斗は決意を胸に秘めると、木の蔓の隙間を縫うようにしてウッドパスカルとの距離を詰める。
相手が即死級の攻撃を有している以上、戦闘を長引かせるのは得策ではない。
そこで悠斗が使用したのは《破拳》と呼ばれる技であった。
人体の《内》と《外》を同時に破壊することをコンセプトに作ったこの技は悠斗にとって切り札とも言える存在である。
「おらあああっ!」
拳に力を込めて全力の《破拳》をウッドパスカルの巨体に捻り込む。
瞬間、轟音。
ウッドパスカルの体は《破拳》による衝撃をモロに受けて木の葉が無数に舞い落とす。
「嘘……だろ……!?」
「ブハハ! 人間にしてはスゲー攻撃だが……生憎だったな」
けれども。
驚いたことに吸血鬼すら一撃で屠るこの技を見事に耐え切って見せた。
その原因となったのは人体と樹木の身体構造の違いにある。
破拳の効果を最大限に発揮するには、対象となる物体に多量の水分が含まれていることが不可欠になる。
人間の体は60パーセント以上は水分であり、破拳による衝撃を拡散するのに適した構造をしている。
それに比べてウッドパスカルの体に含まれている水分量は人体の半分以下であった。
そのため。
ウッドパスカルの巨体を一撃で倒すほどの威力を発揮することは叶わなかったのである。
だがしかし。
悠斗の表情に焦りの色は見られない。
「……仕方がない。アレを使うか」
その直後。
悠斗が使用したのは《破拳》すらを凌駕する《近衛流體術》の究極奥義であった。
コメント
ばけねこ
理解するのに長い時間を必要としない人間が多い世界ですね