異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

訳あり物件



 3軒目。
 リカルツが紹介したのは、街の外れにある超豪邸であった。

(これはもう……家って言うよりも屋敷って感じの雰囲気だな……)

 100人どころか200人でも300人でも住めそうな外観であった。

 それに輪をかけるように庭も広い。
 自宅で農作業をすれば、一財産を築けてしまえそうな規格外の敷地面積である。

「色々と訳があってな。この物件は諸々の必要経費を込みで、200万リアで売りに出ているぜ」

「200万!?」

 リカルツの言葉は悠斗にとって衝撃的であった。

 何故ならば――。
 リカルツの提示した価格は、悠斗の予想の10分の1にも満たないものであったからである。

「……どうしてそんなに安いんですか?」

「兄ちゃんはこの街の大貴族だったアンドレア・スコット・マルニッシュという人物を知っているかい?」

「……ええ。まあ」

 アンドレア・スコット・マルニッシュ。
 その人物は悠斗とは決して浅からぬ縁を持った人物であった。

 突如としてエクスペンの街に襲来した吸血鬼――ギーシュ・ベルシュタインによって肉体を乗っ取られたアンドレアはその生涯を終えることになる。

 ギーシュはアンドレアの資金力を利用し、街の奴隷たちを買い漁り自らの贄としていた。

 その最中に悠斗との死闘を繰り広げたギーシュは、命を落とすことになったのであった。


「なら話は早いな。この屋敷はアンドレア卿の別荘で生前は、かなりの頻度で使用していたらしいんだ。アンドレア卿の怪死事件は今も尚、その真相が明らかになっていない。特にアンドレア卿に寄生していた吸血鬼の死因ときたら奇天烈なものでな。
 何でも……外的な傷がほとんどないにも関わらず、全身の骨や内臓がズタズタに破壊されていたらしいんだ。恐ろしいぜ……」

「そ、そうなんですか」

 実はその吸血鬼を倒したのは悠斗本人であるのだが、そんなことは口が裂けても言えるはずがなかった。

「そういう事情があって……この屋敷の傍には誰も近寄ろうとはしないんだ。だってそうだろう? あの事件に関することは実質的に何も分かっていないんだ。
 下手に近づいて……魔族同士の抗争に巻き込まれでもしたら悲惨だろ? だからこそ……200万リアという破格の値段で売りに出されているという訳だ」

「……なるほど」

 リカルツの言葉を聞いた悠斗は、内から湧き上がる笑みを必死に堪えながらも平静を取り繕っていた。


(……これはラッキーだっ!)


 何故ならば――。
 悠斗は吸血鬼の事件の真相を知る数少ない人物であったからである。

 吸血鬼の死因についても自分のオリジナルの拳技によるものだと分かっている以上、何も不安な点はない。

「まあ。そう言った事情が気にならないのであれば、これ以上の物件はないと思うぜ。高価なものこそ外に持ち出されてしまったが、必要最低限の家具は残っているし。暮らそうと思えば、明日からでも住めるだろうな。何よりこの敷地面積は……エクスペインでも1位、2位を争うもんだろうよ」

「……なるほど。この家に決めました。買わせて頂きます」

 悠斗は即決した。
 諸々の条件を聞いた上で、これ以上の物件は存在しないと考えたからである。

「おいおい。良いのかよ!? 兄ちゃんは魔族が怖くないのかい?」

「ええ。まあ。そういう理由で安く買えるのならば運が良いな、と思いました」

「……な、なんという豪傑! 流石はアドルフの兄貴が目を付けた男だぜ! どうしたもんかな。俺は益々、兄ちゃんのことを気に入っちまったぞ……」

 リカルツは頬を赤く染めながらも熱っぽい視線を悠斗に対して向けていた。

「……と、ところで。どうだい? 今夜辺りでも。兄ちゃんの新居購入祝いということで一杯付き合ってくれないか?」

「いえ。結構です」

 悠斗はリカルツの誘いを適当にあしらった後――。
 屋敷の購入手続きを済ませて宿屋に戻ることにした。

 スピカたちの驚く顔が楽しみである。


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コメント

  • ノベルバユーザー257779

    いや、ちょっと待てよ?
    その屋敷で吸血鬼が何十人という美女を吸血死させてきたんだよな?そこに、お前住むのか?
    絶対気分悪いわ。ヤバいなこいつ笑

    0
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