異世界支配のスキルテイカー ~ ゼロから始める奴隷ハーレム ~

柑橘ゆすら

魔物使い



 初めての「竜」との遭遇に悠斗は色々な意味で衝撃を受けていた。
 中でも驚いたのは、魔眼スキルにより浮かび上がったステータス画面である。


(脅威LV32……だと……!?)


 これまで戦った魔物の過去最高のLVが10であったことを考えるとパワーインフレも甚だしかった。

 そして気になるのは魔眼スキルにより確認できる『状態 (テイミング)』の文字である。

 今後のことも考えると、テイミングの状態が何を意味するかを是非とも確認しておきたいところであった。

「主君。今直ぐこの場から離れた方が良い……」

「? どうしてだ?」

 悠斗が尋ねると取り乱したスピカが代わりに答える。

「相手がドラゴンだからですよ! 野生のドラゴンは現存する魔物たちの中でも《最強種》としてその名を知られています! いくらご主人さまとは言っても単身でドラゴンと戦うのは無謀に過ぎます!」

「なるほど。最強種……か……」

 だがしかし。
 スピカの忠告は悠斗の好奇心を煽る逆効果のものであった。

「ご主人さま!?」

「主君!?」

 二人の少女の心配を余所に――。
 悠斗は意を決してドラゴンに近づくことにした。

 もちろん何の考えも無しに好奇心だけで危険を冒したという訳ではない。

 警鐘スキルが発動していないことから推測するに――。
 悠斗はブレアドラゴンに近づいても、命の危機に陥いるような事態にはならないだろうと考えていたのであった。

「ズギャァァァ!」

 ブレアドラゴンは咢を広げて巨大な牙を露わにする。

 けれども、悠斗は動じない。
 この時点で悠斗は、警鐘のスキルを抜きにしても相手が敵意を持っていないことを直感的に理解していた。

 ブレアドラゴンは長い舌を使って悠斗の頬をペロリと舐める。

「ふにゅ~。パナいのです! レアちゃんがわたし以外の人間さんに懐くなんて……。くーぜん絶後の大事件なのです」


 サーニャ・フォレスティ
 種族:ケットシー
 職業:魔物使い
 固有能力:懐柔


 懐柔@レア度 ☆☆☆☆☆☆
(魔物と心を通わし、使い魔にすることを可能にする力。懐柔に成功した魔物は『状態 (テイミング)』と表示される)


 大きなドラゴンの影に隠れていたことにより気付かなかった。
 ブレアドラゴンの隣には身長140センチにも満たない少女がペタンと地面に腰を下ろしていた。

 歳の頃は10歳前後だろうか。
 頭の上に生やした猫耳と、大きなリボンで結ったツインテールが印象的な美少女であった。

「キミは……? どうしてこんなところに?」

 魔眼スキルによって少女の所持している固有能力『懐柔』の効果を知り――。
 悠斗は大まかに状況を掴んでいた。

 俄かには信じられない話だが、このドラゴンは彼女のペットのような立場であるらしい。

「サーニャはレアちゃんのお散歩中なのです」

 舌足らずで幼い印象を与える声音でサーニャは答える。

「散歩って……」

 正直に言ってツッコミたい部分は山ほどある。

 けれども。
 少女が『散歩』と公言しているので悠斗はそれ以上を言及は避けることにした。

「でも。キミみたいな小さい子が森の中をうろつくのは危ないんじゃないかな? だってほら。この辺りは魔物が出現するし」

「大丈夫なのです。サーニャの住んでいる村はここから直ぐのところにありますし」

「えーっと。本当に?」

 悠斗は少女の言葉を俄かに信じられずにいた。

 何故ならば――。
 オルレアンの森(中級)から一番近いエクスペインの街まで片道90分の距離が存在するのである。

 ギルドで貰った地図にも森の中に村があるとは書かれていなかった。


「おそらく彼女の言っていることは本当だろう」


 悠斗たちの会話にシルフィアが割って入る。

 冷静さを取り繕っているが、巨大ドラゴンに対する怯えを隠しきれていない様子が垣間見えた。

「彼女たちケットシーは独自の文化を築いていることで知られている。文明に触れることを良しとせず……森の中でひっそりと暮らすのが彼女たち種族の特徴なのだ」

「なるほど。そういう種族もいるのか」

 シルフィアの説明は悠斗の胸にストンと落ちる。

 何故ならば――。
 悠斗の元いた世界でも大量消費型の物質文明を忌避して、人里離れた場所で暮している民族は数多く存在していたからである。

「そういう訳なのです。あ! サーニャの村がこの近くにある……という話はくれぐれも秘密にしておいて欲しいのです。ソンチョーが言っていたの。村の場所がバレてしまうと怖い人たちがやってきて……サーニャのことをパクリと食べてしまうって……」

「ああ。うん。それは分かったけど……」


(そんな大切なことをフツーに話してしまって大丈夫なのか?)


 けれども。
 そんな悠斗の心配を余所にサーニャの様子は、非常にマイペースなものであった。

「それでは冒険者さん。サーニャは村に戻ることにします」

 サーニャはそう告げると、ツインテールをはためかせてブレアドラゴンの背中に飛び乗った。

「この辺りは暗くなると魔物さんたちの行動が活発になるので危険だとソンチョーは言っていたのです。冒険者さんもお気をつけて」

 直後。
 ブレアドラゴンはサーニャを背中に乗せたまま空高くに飛翔。

 そのまま悠斗たちの視界から消えて行った。

 サーニャ・フォレスティ。
 その少女は悠斗が出会ったどの人間よりもマイペースな性格であった。


(この世界にはまだまだ……俺の知らないことがあるんだなぁ)


 身長140センチにも満たない幼女と巨大ドラゴン。
 世にも奇妙な組み合わせに遭遇した悠斗はそんなことを思った。

 今回の出来事をきっかけに――。
 悠斗たちがケットシーの一族と関わり合いを持つようになるのは、それから少し先の話になる。



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コメント

  • ノベルバユーザー61733

    めっちゃ伏線はるやんw

    1
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