召喚された賢者は異世界を往く ~最強なのは不要在庫のアイテムでした〜

夜州

第11話 冒険者稼業


 心地よい日差しを感じ俺は目を覚ます。
 寝起きで辺りを見渡すと豪華な部屋が目に入ってくる。

「夢じゃなかったんだよな……」

 屋敷を借りたことを実感し、着替えをした後に部屋を出て階段を降り、ダイニングへと向かう。
 とりあえずの食事は次元収納ストレージの中に入っているとはいえ、やはり自分で作った物を食べたかったが、まだキッチンなど試していなかった。
 次元収納ストレージからパンを取り出して噛り付く。やはりこの世界の物より美味しく感じられる。
 宿屋で食べたパンも良かったが、それよりも美味しいと実感するが、アイテム欄には残り『92』と表示されていた。
 いくら美味しいからといってアイテム欄から出したパンを食べていたら数日でなくなってしまう。そんな事を避けたかった。

「このまま食べてたらすぐに無くなっちゃうな……どうにかここの食事でなんとかしないと。非常食として大事にしよう」

 ふと視線に気になりその方向を向くと、フェリスが無言で佇んでいる。

「フェリス、おはよう」

 フェリスに笑顔で挨拶をすると、少しだけ頬が緩んだように感じる。少しだけ頷くと消えていってしまった。

 食事を済ませた後、ローブを纏いギルドに行く準備を行った。今回は、森の奥まで行き、レベル上げに励むためだ。

「フェリスいるかー?」

 誰もいないホールで叫ぶと、目の前に白い靄ができ、フェリスが現れてくる。
 俺は笑みを浮かべ、依頼で出かけることを伝えた。

「少し、日数がかかるかもしれない。森の奥に潜るつもりだから。その間の管理任せたよ」

 俺がそう伝えると、フェリスの顔は少しだけ寂しそうな表情をしたように感じる。
 本当に僅かな表情の変化だけであり、気にしなければ見落としてたかもしれない。

「大丈夫、こう見えて強いんだぜ? ちゃんと帰ってくるから!」

 笑顔で伝えると、少しだけフェリスの表情も緩む。
 俺は屋敷を出ると、鍵を掛けギルドへと向かう。コクヨウは街の中では目立つので街を出てから次元収納ストレージから出そうと思っている。

 冒険者ギルドに到着すると、ホールに貼りだされている依頼ボードの確認をする。
 ランクごとに貼られており、早々にEランクに上がったことで、その上のDランクまでの依頼を受けることができる。

 ====================
 依頼:ランクD
 内容:オークの討伐
 採集:オークの右耳
 報酬:3体討伐/10万ギル
 期限:なし(常時依頼)
 場所:西の森
 ====================

「オークか……レベル上げにはちょうどいいかな。これにしておくか」

 依頼内容を確認した俺は、他にも同じ場所で出てくる魔物の依頼を確認していく。
 出没する魔物は、オークの他にゴブリンやウルフ系、たまにCランク以上のベア系の魔物も出てくる。
 俺は魔物の素材をそのまま次元収納ストレージに仕舞えることで、苦にならない。実際に魔物を丸々1頭持ってくれば肉も売れ、買い取り金額も増えるのだ。
 ギルドを後にし、西門へと向かう。門で衛兵にカードを見せてから出ると、少し歩いて人目のつかない場所でコクヨウを次元収納ストレージから出す。
 1日仕舞われていたコクヨウは少し不機嫌な様子で、尻尾を使い俺の頭を叩き始めた。

「わかったよー。ごめんごめん。屋敷についたら厩舎にいてもいいから。とりあえず西の森まで行きたいんだ」

 コクヨウに乗り走りはじめると、馬車で1時間の距離をあっという間に駆けていく。
 10分ほどで到着し、俺の目の前に森が広がっていた。

「コクヨウ、ありがとな」

 コクヨウから降り、首を撫でてあげると気持ちよさそうにし――また俺の頭に噛みつく。
 頭を拭いながら、森へと入ると告げると、今日はコクヨウもついてきた。
 次元収納ストレージに戻るかと聞くと、首を横に振るのでそのままついてくる。
 森に入るとすぐにゴブリンが数体現れた。

「コクヨウ、ゴブリンだ。気をつけろよ」

 俺が声をかけた途端、コクヨウはそのまま走り出し、いきなりゴブリンを踏みつぶした。
 4体のゴブリンは俺が何もすることなくあっという間に絶命した。

「…………」

 ただ、何もしてないくても身体が沸き上がるように感じた。
 俺はステータスを開く。

◇――――――――――――――――――――◇
 【名前】トウヤ・キサラギ
 【種族】人間族
 【性別】男
 【年齢】16歳
 【職業】回復術師プリースト
 【称号】召喚されし者
 【レベル】36
 【特殊スキル】神眼 全属性魔法使用可 全スキル取得可
 【スキル】剣術
 【従魔】黒曜馬バトルホース
◇――――――――――――――――――――◇

「あれ……レベルが上がっている。前に戦った時は上がらなかったのに……もしかして……」

 その時からの違いを考えてみると、すぐに答えは出た。従魔登録をする前とした後なだけだ。

「コクヨウが倒しても俺に経験値が入るのか……」

 思わず俺は口角を上げる。

「よし、コクヨウ。レベル上げるぞ!」
「ヒヒィーン」

 俺の言葉に応えるようにコクヨウが返事をする。

 両手剣バスターソードを肩にかけ意気揚々と俺は森の奥へと進んでいった。


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コメント

  • 南川 真尋

    あれ、レベル上げは?査定したやつはどうしたの?

    0
  • ノベルバユーザー249568

    なら前回、コクヨウが森の外で倒した分を足すとレベル低いんじゃない?

    1
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