チートなはぐれ魔王の規格外な学園生活

つくつく

3.手は出さない

気づけば体が勝手に動いていた。エリカは、食ってかかるように魔王の胸ぐらを掴んだ。
エリカ「一体何をしたの!」
いきなりのことで動揺しながら魔王が答えた。
魔王「!?な、何もしてねぇよ!」
しかし、エリカにはしらばっくれているようにしか見えず。
エリカ「そんな下手な嘘でー」
しかし、そこで彼女の言葉は止まった。
パンッと大きな音と共に痛みが頬を伝う。
私は叩かれたのだと理解するのにそれほどの時間はかからなかった。
「マオーは嘘なんてついてない。何も知らないくせに勝手なことばかりするな」
やたらと子供っぽい声が聞こえ、そちらを見ると声の主はベルだった。
エリカ「勝手?あなた達がそれを言うの!」
サオリ「お、落ち着いてよ。エリカ」
と怒っているエリカをサオリがなだめに入った。
魔王「ベルお前もだ」
と言って手刀を魔王はベルの頭に振り下ろした。
ベル「マオー。痛い」
魔王「どんな理由があっても手を出すのはいけないことだ。分かったか?」
ベル「うん」
とベルは素直に頷いた。そして、歩いてエリカのところまで行くと
ベル「ごめんなさい」
と謝った。
突然のことでエリカは驚いていたが、すぐに落ち着きを取り戻し。
エリカ「事情があるんでしょ?まずそれを聞かせて。じゃないと話にすらならないわ」
それにベルは黙って指をさした。
その方角には、こちらを睨んでいる他クラスの生徒がいた。
サオリ「私が説明するね!えっと。授業場所が被っちゃって、言い争いをしていたら、2組の生徒の一人が私たちに攻撃魔法を打ってきたの。それが彼に当たって。それで今の状況に」
とサオリは途中倒れている生徒を見ながら言った。
エリカが大体の事情を把握すると、前に出て
エリカ「攻撃魔法は危険なの。それを打つ意味を分かっているの?」
それに2組の生徒はお互いで顔を見合わせると、笑い出した。
「攻撃魔法を攻撃するためのものですよ」
エリカ「相手を選べと言っているの」
「あなた達が私の障害になるなら、あなた達は敵です。敵に向かって打っても何の問題もないと思うんですが?」
エリカに引けを取らずに男子生徒が言い返す。
エリカ「もう。これ以上彼らに時間を割いては無駄ね。行きましょう」
とエリカが言って立ち去ろうとした時、口論していた男子生徒がボソッと何かを言ったのがサオリには見えた。
そして、それが魔法詠唱だと言うとことにすぐに気づいたが、その時にはすでにエリカに向かって爆発する火の玉を飛ばした。
間に合わない!
サオリ「エリカ!避けて!!」
と叫んだ瞬間にエリカは驚いたようにサオリを見た。視線が交わった瞬間に、爆発し、エリカは炎に包まれた。
後から聞こえてくるのは男子生徒の笑い声だけだった。
「あ、あなた何をやってるの!?」
と聞き覚えのある声が炎の中から聞こえた。
やがて炎が消え去ると、一人の黒髪の男子生徒が立っていた。
誰もが何が起きたのかわからないでいた。
魔王「いやぁ悪い。お前に死なれたら俺が困るんだ」
と真紅の瞳で少年のような笑顔で言われてしまい、思わず顔を逸らしてしまった。
「お見事ですね。どうやって防いだんですか?」
と先程まで笑っていた男子生徒がマオを睨んでいた。
魔王「手で防いだんだよ」
と言って煙が出ている右手をヒラヒラさせた。
「なるほど。それほどの魔力障壁を持っているんでか」
と言って笑うと
「なら、これならどうですか?」
そう言うと槍のような形状の火が出現した。貫通力の増した攻撃だ。火をある程度の形状にするのは魔力制御をうまくしないといけないため、かなりの難易度が求められる。つまり、彼がそれだけ強いことがわかる。
サオリ「マオ君!」
とサオリが叫ぶと、マオは、大丈夫と言うようにこちらに微笑みかけた。
そこを炎の槍が飛んでいき、それをマオは動かずに左手で弾いた。この弾いたは文字通りの意味だ。左手を振って何の魔力を使うことなく生身で弾いたのだ。
さすがにこれには驚いたのか、男子生徒は驚愕を隠せないでいた。
そこをマオは、一歩で詰め寄り、拳を振り上げ当たる直前で止めた。
その瞬間、衝撃だけで男子生徒は吹き飛び、壁に激突しその場で倒れた。
そして、ニッと言うように振り返り
魔王「手は出してないぜ」
この人間離れした規格外にみんな渇いた笑いを見せた。



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