紫電の英雄 ヴァイオレット レジェンド

北村佳

第7話『刀』


フィンがギルドを出た時にはすっかり暗くなっていた。

「宿探さなくちゃなぁ ギルドで聞いとけばよかった」

あてもなく街中を歩いていると木造建築で二階建ての宿を見つけた。
これ以上探しても宿が見つかるとは限らないし 何より時間がどんどん遅くなってしまうため『リズ』という名が書かれた看板がついてる宿に止まることにした。

「いらっしゃいませお泊まりですか?」

「はい、とりあいず1泊したいのですが大丈夫ですか?」

迎えてくれたのはショートヘアーの見た目14歳位の女の子だ。
宿の中は食堂のようになっており2階に泊るへあがあるようだった。

「大丈夫です。1泊4000リフ ご飯は付いていません。家の食堂を使ってくれたらサービスしますよ。」
  
フィンは4000リフを払いヘアの鍵を受け取った。そのままの足で食堂のカウンターに座り食事をすることにした。

「今日はいいオークの肉が入ったからオーク肉のステーキがおおすめです!」

「それをお願いします。」
 
「それと飲み物はどうしますか?おすすめはディラナ名産のエールでーす」

「じゃあ、それもお願いします」

少しして運ばれてきた、巨大なステーキ は、スパイスの香りがきいたタレがかかっており匂いだけでご飯が何杯も行けるような なんとも食欲をそそる匂いを漂わせている。

「いただきます。」

これは、中々の行ける。オークの肉という事でそこまで期待はしていなかったが、野性味のある肉がタレの力でものすごく暴力的な旨みを引き出している。
そしてここで、エールを1口。
旨い!かなり強めの酒だが、それがこの食事にものすごく会う!

そして食事を楽しみながら宿のオーナーであり料理人である男から色々の話を聞くことが出来た。この宿の名前は娘と同じ名前らしく娘が生まれた年にこの宿が出来たのが理由だそうだ。娘とは先程迎えてくれたショートヘアーの女の子だ。明日色々と買い物に行く予定だったのでそれぞれの売っている場所も教えて貰った。

食堂を後にしてフィンは今までの疲れが出たのかベットに横になるとすぐに眠ってしまっていた。



次の日フィンはリズの食堂で朝食をとり まずはじめに武器屋に行くことにした。昨日聞いた武器防具の鍛冶屋が多く並んだところだ。

フィンは一軒一軒虱潰しに見ていこうと思い店に入った。

そこには色々な剣が並べられていた。高いものから安いものまで様々だ。
フィンは元々剣士だったので剣を見る目はかなり優れている。

「この、値段が一番高い剣ですら微妙だなぁ」

フィンは剣が乱雑に置いてあるだけの値段の安い物が置いてある場所で止まった。

「これは、なんだ」

そこには鞘に収まった一本の刀があった。見た目は日本刀のように細い。ただ、鞘の上からでも分かるように日本刀独自の曲がりがない。
その刀を見ていると店主が話しかけてきた。

「お客さんその剣はおすすめしませんよ。東の方にそのように細い剣があって家にも希に回ってきますがその刀はいくら鞘から抜こうとしてもビクともしませんで、しかも出来損ないの刀ですよ」

「出来損ないと言いますと?」

「見ればわかると思いますけどその剣は大剣のような重量がありませんから力がかかりにくいんですよ。その難点を解消するために東の剣は少し曲ってましてその剣はそれすらないんですよ。」

「なるほどよく分かりました。これを買います。」

「えぇ!?話し聞いてました!?」

「勿論聞いてました。聞いた上でこの刀にきめたんです。」

フィンはその刀を買い店を出た。

「何のために作られた刀か知らないけどかなりの上物だ。」

先程の店主から鞘から抜けないと聞いていたがあの時抜こうとしてみたら動いた事を確認していた。なぜ店主には抜けないのか、なぜフィンには抜くことが出来るのか謎のままだがフィンはこの刀が自分を受け入れているのだと確信した。
 
この後フィンは旅で必要なものを買い冒険者ギルドに向かうのであった。

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  • ノベルバユーザー385074

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