天下界の無信仰者(イレギュラー)
まさに究極の一撃
速い。音速など話にならない。空気抵抗がないという最高の条件の下、太陽は光速に匹敵する速度で神愛に接近していた。
躱せない。数百万キロメートルという戦闘放棄かと思わせるほどの余裕を十五秒で走破し、百四十キロメートルもの熱源が目前に迫る。壁と表現するのもおこがましい。まるで世界の体当たりだ。躱す躱せないの次元ではない。加えてこの熱量と質量。耐える耐えれないの問題ではない。
まさに究極の一撃。
だが、これは聖戦。どちらも尋常ではない。であるならば、片方のミカエルが繰り出せば、もう片方の神愛に突破できないはずがない。
「ミルフィア、いけるか?」
『当然です!』
舐めるな。ここにいるのは真祖の神、世界を創造した神がこの程度で負けるわけがない。
太陽が迫ると同時、ミルフィアの体が巨大化した。その全長、太陽の約十倍! 光速を用いても三十秒は掛かるその巨大化をミルフィアはゼロ秒で行っていた。
そして、拳を太陽目掛け打ち付けた。彼女の拳はちょうど太陽と同じくらいの大きさであり、両者の衝突は太陽の破壊によって決着した。目の前で起こる圧倒的な光の散華。視界を覆う熱と光が後方へと通り過ぎていく。
視界は開かれここは元の暗闇、宇宙空間となっていた。
健在。神愛は傷一つ負うことなく存在していた。ミルフィアは体を元のサイズに戻し神愛の背後に控える。鋭い視線をミカエルに向け太陽を破壊した手を横に振った。
生命の母が海なら星の母は宇宙だ。すべての始まりの場所であるその暗黒と星々の輝きに神秘的なまでの美しさ。そこで、天下界の行方を賭けた戦いが行われている。
それは神一歩手前の戦いではあるが、宇宙レベルの激突だった。
「どうしたミカエル、そんな風船一個じゃ俺は倒せないぜ?」
不敵な笑みを向け、神愛はミカエルを挑発する。
「ふん。太陽一個壊したくらいでいい気になるなよッ」
ミカエルの顔が怒りに歪んでいる。倒せると確信した一撃を容易く破壊され、さらには余裕まで見せつけられるなど屈辱だ。
ならばこそ、すべてを無に帰そう。
初めから全力でいくべきだったのだ。ミカエルは反省した。悪かったな、手を抜いて。安心しろ、次こそ殺してやる。
ミカエルは呼び寄せた。こことは別の平行世界、その宇宙にある『すべての星』を。
さらに星々を衝突、圧縮していく。それはミカエルが掲げた手の平で行われ、多くの超爆発と再構築が行なわれていた。
それが終わった時、ミカエルの頭上には暗黒の天体が浮いていた。大きさは三メートルほど。さきほどの太陽に比べあまりに小さい。
だが、この闇が持つ力は文字通り光を超える。
この瞬間、二人がいる空間、それすら点にしか見えない広大な闇の海原である宇宙そのものが、『ピタリと動きを停止した』。『さらには収縮し始めた』。
ミカエルは暗黒の天体を神愛目掛け投げつける。
それはブラックホール。膨大な質量は引力を持つ。それが重ければ重いほど重力は強力となっていく。その完成形とも言えるのがブラックホールだ。その重力はすさまじく光すら逃さない。ゆえに見えない。暗黒なのだ。さらに宇宙すべての星を圧縮したこれの重力はその中でも群を抜き、『その引力は宇宙の膨張すら止め、収縮すらさせるほどだ』。現にミカエルがブラックホールを完成させてから宇宙は膨張を止め、縮まっている。いずれ宇宙は限界まで縮まり、耐えきれなくなった宇宙は弾け爆発する。
ビッグバンの始まりだ。宇宙が終わる。
これはもはやただの重力攻撃ではない。宇宙破壊攻撃だ。
躱せない。数百万キロメートルという戦闘放棄かと思わせるほどの余裕を十五秒で走破し、百四十キロメートルもの熱源が目前に迫る。壁と表現するのもおこがましい。まるで世界の体当たりだ。躱す躱せないの次元ではない。加えてこの熱量と質量。耐える耐えれないの問題ではない。
まさに究極の一撃。
だが、これは聖戦。どちらも尋常ではない。であるならば、片方のミカエルが繰り出せば、もう片方の神愛に突破できないはずがない。
「ミルフィア、いけるか?」
『当然です!』
舐めるな。ここにいるのは真祖の神、世界を創造した神がこの程度で負けるわけがない。
太陽が迫ると同時、ミルフィアの体が巨大化した。その全長、太陽の約十倍! 光速を用いても三十秒は掛かるその巨大化をミルフィアはゼロ秒で行っていた。
そして、拳を太陽目掛け打ち付けた。彼女の拳はちょうど太陽と同じくらいの大きさであり、両者の衝突は太陽の破壊によって決着した。目の前で起こる圧倒的な光の散華。視界を覆う熱と光が後方へと通り過ぎていく。
視界は開かれここは元の暗闇、宇宙空間となっていた。
健在。神愛は傷一つ負うことなく存在していた。ミルフィアは体を元のサイズに戻し神愛の背後に控える。鋭い視線をミカエルに向け太陽を破壊した手を横に振った。
生命の母が海なら星の母は宇宙だ。すべての始まりの場所であるその暗黒と星々の輝きに神秘的なまでの美しさ。そこで、天下界の行方を賭けた戦いが行われている。
それは神一歩手前の戦いではあるが、宇宙レベルの激突だった。
「どうしたミカエル、そんな風船一個じゃ俺は倒せないぜ?」
不敵な笑みを向け、神愛はミカエルを挑発する。
「ふん。太陽一個壊したくらいでいい気になるなよッ」
ミカエルの顔が怒りに歪んでいる。倒せると確信した一撃を容易く破壊され、さらには余裕まで見せつけられるなど屈辱だ。
ならばこそ、すべてを無に帰そう。
初めから全力でいくべきだったのだ。ミカエルは反省した。悪かったな、手を抜いて。安心しろ、次こそ殺してやる。
ミカエルは呼び寄せた。こことは別の平行世界、その宇宙にある『すべての星』を。
さらに星々を衝突、圧縮していく。それはミカエルが掲げた手の平で行われ、多くの超爆発と再構築が行なわれていた。
それが終わった時、ミカエルの頭上には暗黒の天体が浮いていた。大きさは三メートルほど。さきほどの太陽に比べあまりに小さい。
だが、この闇が持つ力は文字通り光を超える。
この瞬間、二人がいる空間、それすら点にしか見えない広大な闇の海原である宇宙そのものが、『ピタリと動きを停止した』。『さらには収縮し始めた』。
ミカエルは暗黒の天体を神愛目掛け投げつける。
それはブラックホール。膨大な質量は引力を持つ。それが重ければ重いほど重力は強力となっていく。その完成形とも言えるのがブラックホールだ。その重力はすさまじく光すら逃さない。ゆえに見えない。暗黒なのだ。さらに宇宙すべての星を圧縮したこれの重力はその中でも群を抜き、『その引力は宇宙の膨張すら止め、収縮すらさせるほどだ』。現にミカエルがブラックホールを完成させてから宇宙は膨張を止め、縮まっている。いずれ宇宙は限界まで縮まり、耐えきれなくなった宇宙は弾け爆発する。
ビッグバンの始まりだ。宇宙が終わる。
これはもはやただの重力攻撃ではない。宇宙破壊攻撃だ。
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