天下界の無信仰者(イレギュラー)
怒れる暴君
その中で、ルシファーだけは悠然と立っている。峻厳のセフィラーが強化だけでなく魔を払っていた。
サリエルが振るう刃を見事に躱していく。頭上からの攻撃を体をわずかに横にずらし、横薙ぎの一撃を一歩後退する。
その躱し方には余裕すらあった。サリエルは舐められた態度に怒りを増し、踏み込みながら鎌を振り下ろした。頭蓋から股下まで断ち切る全力の斬撃。
それは、ルシファーが軽く振るった剣撃によって弾かれた。
「ぐあ!」
鎌を持った両手ごと頭上にまで戻される。隙の出来た正面へ、ルシファーは躊躇いなく剣先を突き刺した。
「させん!」
それを駆けつけたガブリエルが受ける。剣筋を外しルシファーの突きはサリエルの胴体側面を通り過ぎていった。
「ふん!」
ルシファーを二人から引き離すためラファエルが弓矢を発射する。一つの光矢は空中で分裂し幾条もの光が襲いかかる。
ルシファーは空間転移で場所を変えるがラファエルの矢は追尾機能を持っており出現したルシファーへ軌道を変えてきた。
ラファエルは次弾を発射した。今度はさらに数が多い。そのすべてがルシファーを追いかけていく。ルシファーも躱すがその間にラファエルは弦に手をかけ、光矢を射った。
その数、百にもなる光の矢が空中を走り回っていた。他の堕天羽には目もくれず本命へ突き進む。
ルシファーは勢いよく上昇した。その後を矢の群れが追いかける。ルシファーが上昇を止めると矢は彼を囲い込み全身へと突撃した。
時間操作は使えない、ガブリエルが止めてくるはずだ。百にもなる矢の群れをどう躱すか。いや、躱すまでもない。
ルシファーは声を発し周囲へ気合を叩き付けた。赤いオーラが急激に膨張し、迫る矢を全弾吹き飛ばし、砕いていた。光の矢はガラスのように飛び散っていく。
ルシファーは悠然と宙に立ち、真下にいる三体を見下ろした。四大天羽たちは三体とも厳しい表情で見上げ、それぞれの武器を手にルシファーへと飛び出した。
ガブリエル、サリエル、ラファエルがルシファーを囲い攻撃していく。それらをルシファーは応戦していく。
峻厳のセフィラーで強化された圧倒的な力は三体を以てしても打倒できないほど強大だった。
ルシファーの振るう刀身に押される。自分の武器とルシファーの剣がぶつかり合う度に後退させられ、負けじと突撃していく。
ルシファーもただ受けているだけでなく相手の隙を見つけては全力を込めた一撃を打ち放っていった。
そうして四体は流星のようにこの戦場を飛びながら武器を交わしていった。
数では有利なガブリエルたちだったが三体とも表情を険しくしている。力に差があり過ぎる。
彼らが決して弱いわけではない、四大天羽の単純な肉体強度はその他の天羽を超えている。
ルシファーが頭一つ抜けて強いのだ。ならば他の手段で倒そうにもあらゆる手段を無効にしてくる。
ガブリエルの能力も相殺され、サリエルの邪眼も通用しない。ラファエルのセフィラーによる即死もそれを操れるルシファーには通じない。
唯一の戦法が白兵戦だった。強大な力を振るうルシファーに苦い表情をしながらも三体とも果敢に攻めていく。
対してルシファーは、怒りの形相を浮かべ激しく剣を振るっていた。鬼気とも呼べる迫力でかつての仲間へ殺意を突き刺す。
五年前のルシファーを知っている者ならば敵視しながらも目を疑う光景だったかもしれない。
まだルシフェルと呼ばれた頃の彼は優しく、なによりも仲間を大切にする者だった。
そんな男が親しかった者を手にかけるという非情な行いを躊躇いなく行っている。
その姿は必死で激しい怒気を発していたが、同時に悲しいくらいに痛々しかった。
仲間を失った悲しみがルシファーを支配している。その感情を怒りと憎しみに変え、ルシファーは狂ったように戦っている。
怒れる暴君。彼が激しく戦うほどに、比例して彼の悲しみが伝わってくる。
その様は、痛ましかった。
だが、そうだとしても彼は倒さねばならない敵だ。ガブリエルは全力でルシファーの剣撃に応じ、吹き飛ばされたサリエルも戦闘に加わった。ラファエルが援護する。
ルシファーの連撃がガブリエルを狙い撃ちにしていた。上段、横薙ぎと続く攻撃をガブリエルは両手で支えた刀身で必死に受け止めていく。
一撃が当たるたび衝撃が全身を駆け抜ける。このままでは防ぐ剣が吹き飛ばされ斬られる!
「無視してんじゃねえ!」
サリエルが背後から強襲した。ガブリエルの窮地に駆ける。鎌を両手で振り上げ無防備な背中に突き刺そうとした。
「はあ!」
ガブリエルもタイミングを合わせルシファーに剣先を突き出した。咄嗟のコンビネーションは最高の形で挟撃を完成させた。
「く!」
「な!?」
だが、望んだ結果は得られなかった。
ガブリエルの剣先を、ルシファーは素手で掴んでいた。振り払おうとしてもビクともしない。ルシファーはガブリエルの動きを止めると振り返り、両手を上げていたサリエルを切り裂いた。
「がああ!」
見透かされていた。サリエルは胴体を斜めに斬られ、傷口に手を当てながら急いで後退していく。出血がひどい、重傷だ。
サリエルが振るう刃を見事に躱していく。頭上からの攻撃を体をわずかに横にずらし、横薙ぎの一撃を一歩後退する。
その躱し方には余裕すらあった。サリエルは舐められた態度に怒りを増し、踏み込みながら鎌を振り下ろした。頭蓋から股下まで断ち切る全力の斬撃。
それは、ルシファーが軽く振るった剣撃によって弾かれた。
「ぐあ!」
鎌を持った両手ごと頭上にまで戻される。隙の出来た正面へ、ルシファーは躊躇いなく剣先を突き刺した。
「させん!」
それを駆けつけたガブリエルが受ける。剣筋を外しルシファーの突きはサリエルの胴体側面を通り過ぎていった。
「ふん!」
ルシファーを二人から引き離すためラファエルが弓矢を発射する。一つの光矢は空中で分裂し幾条もの光が襲いかかる。
ルシファーは空間転移で場所を変えるがラファエルの矢は追尾機能を持っており出現したルシファーへ軌道を変えてきた。
ラファエルは次弾を発射した。今度はさらに数が多い。そのすべてがルシファーを追いかけていく。ルシファーも躱すがその間にラファエルは弦に手をかけ、光矢を射った。
その数、百にもなる光の矢が空中を走り回っていた。他の堕天羽には目もくれず本命へ突き進む。
ルシファーは勢いよく上昇した。その後を矢の群れが追いかける。ルシファーが上昇を止めると矢は彼を囲い込み全身へと突撃した。
時間操作は使えない、ガブリエルが止めてくるはずだ。百にもなる矢の群れをどう躱すか。いや、躱すまでもない。
ルシファーは声を発し周囲へ気合を叩き付けた。赤いオーラが急激に膨張し、迫る矢を全弾吹き飛ばし、砕いていた。光の矢はガラスのように飛び散っていく。
ルシファーは悠然と宙に立ち、真下にいる三体を見下ろした。四大天羽たちは三体とも厳しい表情で見上げ、それぞれの武器を手にルシファーへと飛び出した。
ガブリエル、サリエル、ラファエルがルシファーを囲い攻撃していく。それらをルシファーは応戦していく。
峻厳のセフィラーで強化された圧倒的な力は三体を以てしても打倒できないほど強大だった。
ルシファーの振るう刀身に押される。自分の武器とルシファーの剣がぶつかり合う度に後退させられ、負けじと突撃していく。
ルシファーもただ受けているだけでなく相手の隙を見つけては全力を込めた一撃を打ち放っていった。
そうして四体は流星のようにこの戦場を飛びながら武器を交わしていった。
数では有利なガブリエルたちだったが三体とも表情を険しくしている。力に差があり過ぎる。
彼らが決して弱いわけではない、四大天羽の単純な肉体強度はその他の天羽を超えている。
ルシファーが頭一つ抜けて強いのだ。ならば他の手段で倒そうにもあらゆる手段を無効にしてくる。
ガブリエルの能力も相殺され、サリエルの邪眼も通用しない。ラファエルのセフィラーによる即死もそれを操れるルシファーには通じない。
唯一の戦法が白兵戦だった。強大な力を振るうルシファーに苦い表情をしながらも三体とも果敢に攻めていく。
対してルシファーは、怒りの形相を浮かべ激しく剣を振るっていた。鬼気とも呼べる迫力でかつての仲間へ殺意を突き刺す。
五年前のルシファーを知っている者ならば敵視しながらも目を疑う光景だったかもしれない。
まだルシフェルと呼ばれた頃の彼は優しく、なによりも仲間を大切にする者だった。
そんな男が親しかった者を手にかけるという非情な行いを躊躇いなく行っている。
その姿は必死で激しい怒気を発していたが、同時に悲しいくらいに痛々しかった。
仲間を失った悲しみがルシファーを支配している。その感情を怒りと憎しみに変え、ルシファーは狂ったように戦っている。
怒れる暴君。彼が激しく戦うほどに、比例して彼の悲しみが伝わってくる。
その様は、痛ましかった。
だが、そうだとしても彼は倒さねばならない敵だ。ガブリエルは全力でルシファーの剣撃に応じ、吹き飛ばされたサリエルも戦闘に加わった。ラファエルが援護する。
ルシファーの連撃がガブリエルを狙い撃ちにしていた。上段、横薙ぎと続く攻撃をガブリエルは両手で支えた刀身で必死に受け止めていく。
一撃が当たるたび衝撃が全身を駆け抜ける。このままでは防ぐ剣が吹き飛ばされ斬られる!
「無視してんじゃねえ!」
サリエルが背後から強襲した。ガブリエルの窮地に駆ける。鎌を両手で振り上げ無防備な背中に突き刺そうとした。
「はあ!」
ガブリエルもタイミングを合わせルシファーに剣先を突き出した。咄嗟のコンビネーションは最高の形で挟撃を完成させた。
「く!」
「な!?」
だが、望んだ結果は得られなかった。
ガブリエルの剣先を、ルシファーは素手で掴んでいた。振り払おうとしてもビクともしない。ルシファーはガブリエルの動きを止めると振り返り、両手を上げていたサリエルを切り裂いた。
「がああ!」
見透かされていた。サリエルは胴体を斜めに斬られ、傷口に手を当てながら急いで後退していく。出血がひどい、重傷だ。
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